プラント42のメモ
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ある事故から四日後、ポイント42のプラントの成長速度には目を見張るものがある。
他のプラントに比べ、t-ウイルスの強い影響を受けており、その形状に見合う生態は、もはや宿主の植物が何であったのか想像することすら困難な程である。
42の栄養源は二種類ある。
一つは、地下室まで達した根から得ている養分だ。
事故直後、発狂した職員が地下室の水槽を壊したため、現在地下室は水浸しだ。
そこに流出している何らかの薬品成分が、プラント42の急速な成育を促進させている事は想像に難くない。
さらに地下室から伸びたプラント42の一部は、ダクトを通り、一階の天井から球根状になってぶら下がっている。
その球根から伸びている何本ものツルが、もう一つの養分の入手手段となっている。
プラント42は獲物を感知すると、丁度イカの触手のように獲物にツルを巻きつけ動けなくしてから、ツルの裏についている吸入器で血を吸うのだ。
しかもそれなりに知能があるらしく、獲物を得た時や、睡眠中はツタを扉にからませ、外敵の侵入を防いでいる。
既に数人の職人がその犠牲となった。
May 21, 1998
ヘンリー=サートン