【FEエンゲージ】王女セリーヌと謎の少女ヴェイル|ストーリー解説④

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ファイアーエムブレム エンゲージ — ストーリーガイド④

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第4章:花の風車村

フィレネへの旅立ちと村の救援

ルミエル女王(神竜王)を亡くした主人公リュールは、最後の願いを胸に各国の紋章士の指輪を集める旅に出る。

仲間となったフィレネ王国の第一王子アルフレッドたちと共に南西のフィレネ王国を目指し、大陸エレオスの情勢について教えられる。

フィレネは隣国ブロディア・ソルムと同盟を結んだ平和国家である一方、北東のイルシオン王国では邪竜を崇める宗教が広まっており不穏な動きを見せていた。

リュール一行は指輪の捜索とフィレネへの救援のため道中、「フルルの風車村」と呼ばれる小さな村に立ち寄る。

しかしその村はすでに異形兵と呼ばれる魔物やならず者に襲撃されており、フィレネ王女セリーヌとその臣下(ルイ、クロエ)が必死に村人を守っていた。

彼女たちはアルフレッドに火急の報を伝えるためにこここを訪れていたのだ。

主人公たちはセリーヌたちと合流して共闘し、村を襲う敵を撃退する。戦闘中のイベントシーンでは、孤立するセリーヌの臣下ルイとクロエの信念が描かれ、二人が「大切なものを守り抜く」強い意志を示した(この信念はそれぞれの個人スキルにも表現されている)。

戦況ではリュールの加護で紋章士セリカの宿る指輪の力が解放され、セリーヌは紋章士セリカとエンゲージ(融合)して強力な魔法「ワープライナ」を発動する。

瞬間移動からの魔法攻撃により敵陣を崩し、さらに仲間たちの援護で村を包囲していた異形兵を一掃する。リュールたちは辛くも風車村を守り抜き、セリーヌたちフィレネ勢も無事合流を果たす。

戦闘後、村人を襲っていた最後の異形兵が不意にリュールへ迫るが、謎の少女ヴェイルが現れ魔法で異形兵を瞬時に蹴散らした。

リュールたちは彼女に礼を言うが、ヴェイルは「探し物をしている旅の途中」とだけ語りすぐに姿を消してしまう。

こうしてリュール一行は新たな仲間を迎え、フィレネ王国の王城へ急ぐことになる。

背景設定:平和国家フィレネと邪竜復活の兆し

フィレネ王国はエレオス大陸南西に位置し、「平和と共生」を掲げる博愛主義の王国。

女王イヴが治め、隣国ブロディア・ソルムとは不戦同盟を結んで平和を維持して来た。そのためフィレネは自国の守りの軍事力よりも外交と協調を重んじる傾向にあり、人々ものどかな村で穏やかに暮らしている。

アルフレッド王子自身も花冠を身につける穏やかな青年で、母国フィレネの美しい花畑や人々の幸福を何より大切に思っている。

しかし、1000年前に封印された邪竜ソンブルの復活が近年囁かれ始めたことで、平和だった世界に再び暗雲が立ちこめた。邪竜を信仰する宗教国家イルシオンは賢王ハイアシンスが治める北東の国だが、邪竜信仰に傾倒するあまり近年きな臭い動きを見せ始めていたのである。

実際、イルシオンは北西の軍事国家ブロディアとは長年にらみ合いを続け、密かに各国の紋章士の指輪を狙っている節があった。フィレネ王国はそうした争いから距離を置いてきたものの、邪竜の封印が弱まった今、もはや戦火は避けられない状況になりつつあった。

ルミエル神竜王が突如襲撃を受け命を落とした事件(第3章)も、この邪竜復活を目論む勢力の仕業だった。神竜王の死により封印の力は失われ、ついに邪竜ソンブルが長い眠りから復活してしまった可能性が高まる。

この背景を受け、リュールは各国に眠る指輪を集めて邪竜に対抗すべく立ち上がる。アルフレッドは「指輪と祖国を守るため神竜の力が必要だ」とリュールに協力を求め 、まず自国フィレネへ急いだのであった。

キャラクターと心理描写:新たな仲間たち

セリーヌ

第4章ではフィレネ王女セリーヌ、および彼女の臣下であるルイクロエが仲間に加わる。セリーヌはアルフレッド王子の妹で、博愛主義のフィレネに相応しく心優しく純真な第一王女。

彼女は常に話し合いによる平和的解決を望む穏やかな性格だが、「平和のためなら戦うことも厭わない」という強い信念も持ち合わせている。実際、風車村では民を守るため自ら剣と魔法を手に取り戦っており、その毅然とした姿から平和を守る覚悟がうかがえる。

戦闘中セリーヌはリュールの力で紋章士セリカとエンゲージし、圧倒的な魔力を解放した。これは彼女の「大切なものを守り抜く」意志に応えるかのように、伝説の英雄の力が発現したもの。

セリーヌに宿ったセリカは敬虔な女神のような存在であり、その力は慈愛に満ちつつも敵には容赦なく大ダメージを与える。セリーヌ自身、温和な性格の裏でこうした毅然さを持つキャラクターであり、第4章ではその片鱗が描かれている。

ルイ

セリーヌの臣下ルイとクロエもまた、戦闘前のデモシーンで人物像が垣間見える。

大柄な重装槍兵のルイは常に冷静沈着で、仲間を守る盾となることを信条としている。温厚な彼は女性二人(この場合セリーヌとクロエ)に挟まれると守備力が上がるという個人スキルを持ち、その設定どおり紳士的で仲間思いな性格。

危機にあってもルイは慌てず「ここは僕が支えますから下がってください」と落ち着いた口調で姫を守ろうとするだろう。その頼もしさは、孤立無援でも持ち前の防御力で時間を稼ぎ援軍を待つ姿にも表れている。

クロエ

一方で、ペガサスナイトのクロエは明るくおっとりした女性で、幻想的なおとぎ話や美しい景色を愛するロマンチスト。

主君セリーヌにも心酔しており、どんな危機でも姫と共に空を駆けて駆け付ける忠義を示す。クロエは男女が隣接していると攻撃力が上がるというユニークな個人スキルを持ち 、これは「皆で力を合わせるロマン」に燃える彼女の性格を反映している。

風車村でも彼女は「姫をお守りします!」と果敢に槍を振るい、ペガサスで空から迅速に駆けつける勇姿を見せた。クロエの朗らかな笑顔と勇敢さは仲間の士気を高め、プレイヤーにも爽やかな印象を与える。

アルフレッド

アルフレッド王子についても触れておこう。彼は序盤から共に旅する仲間だったが、この章で妹セリーヌと再会し、彼女の無事に心底安堵した様子だった。

アルフレッド自身、幼い頃病弱だった過去があり(支援会話で語られる設定)、大切な妹や母国を自分の力で守れるよう鍛錬を積んできた人物。

そのため、セリーヌが無事だったことに「よく頑張ってくれた」と姉弟で抱き合う場面は、王子の優しさと家族愛が垣間見える感動的な瞬間だった(※実際のゲーム中の描写でもアルフレッドは妹思いな面を見せる)。

アルフレッドは平和を愛する陽気な青年だが、祖国の危機には人一倍心を痛めている。第4章でフィレネ領が襲われたと知った時も、彼は「許せない…僕たちのフィレネを傷つけるとは」と珍しく怒りをあらわにし、王子としての責任感を滲ませていた。彼にとってリュール(神竜)は憧れと頼もしさの象徴であり、共に戦える喜びが原動力になっている。

物語の演出意図と考察:指輪の力の覚醒と謎の少女ヴェイル

紋章士セリカ

第4章の演出上の大きな見所は、紋章士の指輪の力の覚醒とそれに伴うゲームシステム「エンゲージ」の本格的な導入である。

セリーヌが所持していた《慈愛の王女の指輪》は、実は伝説の英雄セリカが宿る指輪だった。しかし指輪の力は神竜の存在なしには真に目覚めず、セリーヌたちだけでは活用できていなかったのである。

そこでリュールという神竜の血を引く者が加わったことで指輪が共鳴し、封印されていたセリカの力が解放された。この瞬間は物語的にも「希望の象徴」であり、邪竜に対抗しうる光が甦ったことを示している。

ゲーム的にはプレイヤーが初めてセリカの圧倒的な魔法攻撃(ワープライナ)を体感し、「エンゲージ」システムの爽快さを味わう局面である。

開発者の演出意図としても、序盤で強力な英雄の力を使わせることで物語に華を持たせ、同時に今後リングを集める動機付けを強める狙いがあると考えられる。実際、セリカの登場シーンはBGMも壮大になり、画面演出も派手で、プレイヤーに「仲間が増え戦力が充実していく高揚感」を与えてくれる。

謎の少女ヴェイル

もう一つ重要な演出が、謎の少女ヴェイルの登場。彼女は敵に襲われたリュールを助ける形で物語に関わり、その後すぐ去ってしまう。

このキャラクターは序盤では名前も素性も伏せられているが、一見してただ者ではない雰囲気を醸し出している。例えば風車村クリア後のイベントで、ヴェイルが足に包帯を巻いているシーンでは、足首に何か足枷(あしかせ)の跡のような痕があることが示唆される。

また彼女は常に裸足であり、どこか浮世離れした印象。この細かな描写から、ヴェイルは過去に幽閉されていたか、普通の人間とは異なる境遇だった可能性が示唆されている。

人探しをしている」と彼女は言ったが、その“探し人”とは誰なのか…。プレイヤー視点では、この段階で彼女が邪竜側の人物ではないかという疑念が湧くものの(実際ヴェイルという名前から予想するファンもいた)、物語上では一行は彼女の正体に気付かず礼を述べるのみ。

ただしリュールは彼女にどことなく懐かしさを覚えるような描写もあり、意味深な出会いとして描かれている。

ヴェイルの登場シーンの演出意図は、物語にミステリー要素とドラマ性を加えることにある。序盤の段階で明確な敵将や黒幕が姿を見せない代わりに、「謎の味方」が突然現れることでプレイヤーの興味を引き、先の展開への伏線としている。

可憐な少女が強大な異形兵を一瞬で消し去る様子はプレイヤーに驚きを与え、「彼女は何者なのか?」という疑問を残す。こうした伏線は後の章で回収されることになるが、第4章終了時点ではまだ正体不明であり、物語全体に不穏さと奥行きを与える巧みな演出だと言えるだろう。


最後に、第4章終了後にはリュールたちの本拠地であるソラネル(空中浮遊島)が開放される。ソラネルで仲間との会話や休息が可能になることは、物語における束の間の安らぎと絆育成の場の提供でもある。

特に支援会話絆会話がここで解放され、キャラクター同士の背景や個性が掘り下げられていく。

第4章時点では例えばアルフレッドがリュールに幼少期の話をする支援会話や、セリーヌがお茶会に誘う微笑ましい会話などが楽しめ、戦闘の合間にキャラクターの内面に触れることができる。

こうしたサブイベントは物語の本筋に直接は絡まないが、キャラクターへの感情移入を深め、ひいては彼らが織りなす主軸ストーリーへの没入感を高める効果がある。平和な拠点パートがあるからこそ、戦場で仲間が傷つくシーンに重みが増し、「絶対に皆を生かして物語を進めたい」というプレイヤー自身の想いにも繋がって行く。

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