『スーパードンキーコングGB』とは?

- 発売日:1995年7月27日(日本)
- ジャンル:横スクロールアクション
- プラットフォーム:ゲームボーイ/ニンテンドー3DS/Nintendo Switch
- 開発:レア
- 発売:任天堂
はじめに
1995年にゲームボーイに発売された『スーパードンキーコングGB』。
SFCのスーパードンキーコングシリーズが本当に大好きだった筆者は、このゲームを緑色のゲームボーイポケットと一緒に買ってもらったことが良い思い出として残っている、、、🥺
このタイトルのカートリッジってとても印象的な黄色カラーだったから、緑と黄色の組み合わせがまるで車に貼り付ける初心者マークのようになっていた…笑
しかし、いざプレイしてみると、独特な操作感とキャラクターの挙動に苦戦し、とんでもなく難しい作品であった。結局、筆者はエリア1のボスに到達することなく挫折するという…。
そこで今回、この記事を書くに至って、改めてプレイし直したんだけど、やっぱり難しい。頭の中でSFC版の操作感とかのイメージが強く根付きすぎてて、未だに「難しい!」と感じてしまった…。
てことで本記事では、『スーパードンキーコングGB』についてとにかく詳しく紹介して行こうと思う。
第1章:ストーリー概要 – クランキーの挑戦と新たな冒険

本作の物語は、前作の冒険を終えたドンキーコングとディディーコングが、島の長老クランキーコング(元祖ドンキーコング)から説教を受けるコミカルな場面から始まる。
クランキーは「あの前回の冒険は綺麗なグラフィックと最新サウンドのおかげで子供たちにウケただけだ」と二人をからかえた。それに対しドンキーとディディーは「ゲーム自体が面白かったからだ!色数や画面の綺麗さは関係ない!」と反論する。
するとクランキーはニヤリと笑い、「ならば白黒8ビットのゲームボーイでも面白い冒険が作れるか試してみろ」と提案する。
クランキーは海賊キング・クルールに再びバナナを盗ませ、新たな敵や罠を用意すると宣言し、二人に挑戦状を叩きつけた。こうして二人は「もちろんだ、やってやろうじゃないの!」と再び冒険に乗り出すことになる。
このように、本作のストーリーは前作の直接の後日譚(アフターストーリー)にあたり、メタフィクション的な設定がユニーク。前作では単にキング・クルール一味によってバナナが奪われたのが発端だったが、本作では「スーパーファミコンの高性能に頼らずゲーム性で勝負できるか」というクランキーの挑発が物語の動機となっている。(斬新すぎる)
その結果、またもクレムリン軍団にバナナを根こそぎ盗まれてしまい、ドンキーとディディーは意地と島の平和を賭けてバナナ奪還の旅に出ることになるのだ。
登場キャラクターと舞台設定

プレイヤーキャラクターとして、引き続きドンキーコングとその相棒ディディーコングが操作可能。ドンキーは力が強く重量級、ディディーは身軽で素早いという前作同様の特性を持ち、プレイヤーは任意にキャラを交代しながら2人で冒険を進める。
ただしゲームボーイの性能上、画面に表示できるのは一度に1キャラクターのみとなっており(相方は待機状態) 、2人同時表示で追従してくる演出は省かれている。
この点以外は基本的に前作と同様、残機がある限り交代で挑戦を続けられる。
物語上重要なクランキーコングは、相変わらず辛口コメントで二人を焚き付ける長老として登場します。(ただし、説明書でのみの登場)
敵の首領キング・クルールも引き続き悪役を務め、本作ではクランキーの依頼(?)を受けて再びクレムリン達にバナナを略奪させるという役回り。
他にもザコ敵としてワニのクリッターやワニの手下たち(クラップトラップやクランチャ等)、蜂のジンガー、ビーバーのノーティなど前作おなじみの面々が多数登場。
一方で、本作オリジナルの敵キャラクターも存在し、空飛ぶブタの敵などユニークな新種が追加された。
これらの新キャラクターは携帯機ならではの新鮮さを演出しており、前作を遊んだファンにも意外性のある敵との戦いを提供する。

ボスキャラクターも、本作では4体のユニークな顔ぶれが揃っている。例えばワールド1のボスはエイのワイルドスティング、ワールド2では巨大な貝のボス・クランボー、ワールド3では穴掘り名人のモグラ・ハードハットが立ちはだかり、最終ワールド4では満を持してキング・クルールとの決戦が待ち受ける。
これらのボスは前作のボスとは異なる新キャラクターであり、それぞれ戦闘パターンも独自のものとなっている。
特に“ハードハット”はヘルメットを被ったモグラで、落石を引き起こす攻撃など携帯機で新たに考案されたギミックを持ち、プレイヤーを驚かせた。
また最終ボスのキング・クルール戦も、飛行船で対決する演出となっており、前作の海賊船デッキ上の戦いとは一味違う雰囲気を醸し出している。
第2章:ゲームシステムとステージ構成
プレイヤーアクションと操作性の特徴

ゲームの基本的なアクションやルールは前作『スーパードンキーコング』に近い横スクロールアクション。プレイヤーはドンキーまたはディディーを操作し、ジャンプで穴や障害物を越え、敵を踏みつけたり転がりアタック(ローリングアタック)で倒しながらステージを進んで行く。
ツタやロープに飛び移って移動したり、樽大砲に入って遠くまで発射されるといったダイナミックなギミックも健在。
基本操作は十字キーで移動・しゃがみ、Aボタンでジャンプ、Bボタンでローリング攻撃兼ダッシュ(押しっぱなしで走る)となっており、SELECTボタンで操作キャラの切替を行う。
ゲームボーイはボタン数が少ないため前作でのキャラ交代ボタン(Aボタン相当)が無く、代わりにセレクトで交代する仕様だが、操作系統自体はシンプルで直感的。
ドンキーコング固有のアクションであった「ハンドスラップ」(地面叩き攻撃)は、本作では使用できなくなっている。これはボタン数や必要性の観点から省略されたもので、ゲームクリアに支障はない。
一方、ディディーコングは引き続き素早い動きと跳躍力が武器で、特に高所からの着地時に前方ロールする特性も健在。
また本作ではエクスプレッソ(ダチョウのアニマルフレンド)に新たな能力が追加され、敵を踏んで倒せるようになった。前作ではエクスプレッソは踏んでも敵を倒せず無力化のみだったが、本作ではその弱点が補強されており、ダチョウに乗った高速移動で敵を蹴散らす爽快感が味わえる。
難易度と操作性の調整については、ゲームボーイの小さな画面に合わせた工夫がなされている。開発チームは「画面が狭く反応しづらい分、敵配置や仕掛けの難易度を調整した」と述べており、具体的にはボス戦のパターンを読みやすくシンプルにする、罠の動きを遅くするなどの調整が加えられた。
例えば前述のボス「ハードハット」はモグラ叩きのように穴から顔を出す攻撃を繰り返すが、動きは比較的予測しやすく設定されている。
またエクスプレッソが敵を倒せるようになったのも、ゲームボーイ環境でのプレイを少しでも楽にするための改良点だったという。とはいえ画面解像度(160×144ピクセル)の制約から、見えていない足場へジャンプするとそのまま奈落に落ちてしまうケースもあり、不意のミスが起こりやすい難しさはある。
特に高速で走り抜けるプレイスタイルだと画面外の敵にぶつかりやすいため、本作では慎重なスクロールが求められる。こうした点も含め、携帯機向けにゲームバランスの微調整が図られている。
ステージ構成

ステージ数と構成は全4ワールド・全30ステージ(+ボス4戦)で構成されている。各ワールドのステージ数は前述のとおりワールド1のみ少し多め(9ステージ+ボス)で、ワールド2以降は6~7ステージ程度+ボス戦という内訳。
各ステージには公式のユニークな名称が付けられており、例えばジャングルのステージ名は「ランビ・ジャングル」や「ロープ・ジャングル」、遺跡では「クリッターの遺跡」や「トルネードの遺跡」などとなっている。(ゲーム内では確認不可)

マップ画面は前作『スーパードンキーコング』と同様に、各ワールドごとのオーバーワールドマップが存在する。ゲームボーイの画面サイズに合わせシンプルな2Dマップだが、コース間の分岐は基本的になく直線的にステージが並ぶ構成(ワールド2のみ道が折れ曲がる程度の変化があります)。
各ステージをクリアすると次のステージへマップ上で進めるようになり、ワールド最後のボスステージをクリアすると次のワールドへ移行する。前作にあったようなフリーザー(キャンディー)コングのセーブポイントやファンキーコングのワープといった施設は、本作には登場しない。
その代わりに、後述する独自のセーブ方法が導入されたため、マップ上でセーブポイントを探す必要がなくなっている。
各ステージ内には中間ポイント(スターが描かれたタル)や隠しボーナスステージも用意されている。中間ポイントを取ると万一やられてもその地点から再開可能。
隠し部屋(ボーナスステージ)は壁の中に隠れたタル大砲や特定の場所での下落で見つかる場合があり、バナナ集めや敵全滅などのミニゲームにチャレンジできる。
ボーナスステージのクリア報酬としては1UPに相当するコングコインが用意されており 、これを取ることで残機を増やすことができる(本作ではアニマルボーナスステージのような前作の仕掛けはなく、このシンプルな方式に統一されている)。
アイテム類も前作から引き続き登場。島中に散らばるバナナは100本集めるごとに1UP(残機+1)になり、10本分のバナナの房も存在する。
風船(バルーン)も健在で赤色風船1個で残機+1となる。敵や壁を壊すタルやTNTバレル、相棒を復活させるDKバレルも各所に配置され、攻略の助けとなる。
さらに、本作ならではのアイテムとしてボムバレル(爆弾入りタル)がある。これは特定のステージ終盤に置かれており、持ち帰ってマップ上の岩を破壊するのに使用する。
例えば、ワールド1では「雪山のタル置場」で見つかるボムバレルを持ってゴールすると、マップ上の岩を爆破して進路を開拓し、新たなステージへ進める仕掛けになっていた。ボムバレルは同じステージを再プレイすれば何度でも取得可能だが、一度岩を壊せば以後は不要になる。このようにマップとステージが連動したギミックは携帯機ならではの凝った工夫と言える。

登場ワールド
冒険の舞台となるのは、前作と同じくドンキーコングが暮らすドンキーコングアイランド周辺だが、本作ではその島内外に新しいエリアが登場ふる。全体は4つのワールドで構成され、それぞれにテーマが設けられている。
- ワールド1「海賊船がやってきた!」
- 序盤はジャングルや雪山から始まり、中盤にクレムリン海賊船の甲板ステージが挟まるユニークな構成。
- 名前の通り突然島に現れた海賊船が舞台となり、ジャングルと船上を行き来する展開が特徴。
- ワールド2「巨大遺跡」
- 古代遺跡とその水中エリア(サンゴ礁)を舞台にしたエリア。
- 沈んだ神殿や海底遺跡が広がり、水中では酸素の心配は無いものの敵魚やウニ(ノーチラス)などの妨害が待ち受ける。クランボーとのボス戦も水中戦となっている。
- ワールド3「モンキー・マウンテン」
- 島の山岳地帯がテーマで、洞窟や断崖、スカイエリアまで多彩なステージが連なる。
- リフトに乗って山を登るコースや、強風に煽られる高空エリア(スカイ・ハイ)など、スリリングな構成。
- ボスのハードハットは洞窟内で登場し、天井から石を落とす攻撃でプレイヤーを苦しめる。
- ワールド4「大都会(ビッグエイプシティ)」
- シリーズでも異色の都市ステージで、ビルの建設現場や飛行船、摩天楼の屋上などが舞台になる。
- 街の名前はビッグエイプシティとされ、近代的なビル群が広がる中でドンキー達が跳び回る。
- クライマックスではビル群の頂上でキング・クルールと対決し、物語に決着がつく。
このように、本作の舞台設定は前作のジャングル・工場・雪山・洞窟などの雰囲気を踏襲しつつ、「海賊船」や「大都会」といった新規ロケーションをフィーチャーしているのが特徴。
特に最終ワールドの都会ステージは、ドンキーコングシリーズとしては珍しい現代的な街並みが描かれており、背景にはビル群やクレーンが立ち並ぶなど、モノクロながら新鮮な景観が話題を呼んだ。
また開発者によれば、本作で追加した新ワールドや新要素の数々は、ちょうど同時期に開発されていたスーパーファミコン向け続編(『2』『3』)における新展開と歩調を合わせる意図もあったとのこと。
つまり据置機と携帯機で並行してシリーズの世界が拡張されていたわけで、ファンにとっては両方遊ぶことでドンキーコングの世界をより広く楽しめる工夫が凝らされていた。
第3章:スーパーファミコン版との違い

『スーパードンキーコングGB』は前作『スーパードンキーコング』(SFC版)をベースに開発された作品だが、単なる縮小移植ではなく「外伝的な新作」として多くの相違点がある。
ここではストーリーやステージ構成、グラフィック・演出、ゲームシステム面の違いについて詳しく見ていこう。
ストーリー・設定上の違い
前述した通り、本作の発端はクランキーコングの挑発によるもので、「グラフィックに頼らず面白さで勝負せよ」というメタ設定が組み込まれている。
一方、前作SFC版のストーリーは単純明快で、キング・クルール率いるクレムリン軍団がドンキーのバナナを大量に盗み出し、ドンキーとディディーがそれを取り返しに島中を冒険するといった内容だった。
基本的な筋書き(バナナを盗まれ取り返す点)は共通しているものの、本作では「前回の冒険の成功に対するおごりへの試練」という一種の自己パロディが加わっている点でユニークである。
クランキーが裏でキング・クルールに働きかけるという設定も、SFC版にはなかった展開。こうした物語上の違いにより、本作は前作をプレイ済みのファンに対してニヤリとさせる遊び心を含んだシナリオとなっている。(ただし、ゲーム中では語られない)
また登場キャラクター面でも、小ネタ的な違いがある。 前作に登場したキャンディーコングやファンキーコング(セーブ役とワープ役)は本作には一切登場しない。冒険のサポート役だった彼らの不在はゲームシステム上の変更によるもので、次の項で述べるように本作では別の形でセーブ・移動システムが実装されたためである。
ワールド構成・ステージデザインの違い
最も顕著な違いはワールド構成とステージデザインである。本作は前述の通りワールド数・ステージ数ともにSFC版より少なく再構成されている。
SFC版では全6ワールド+最終ボス(40ステージ以上)あり、ジャングルから始まり洞窟、工場地帯、雪山、森、遺跡、そして最終の空中戦艦(キングクルールの船上)へと進む多彩なマップ構成だった。
一方、本作では全4ワールドで「ジャングル」「遺跡(水中含む)」「山岳(雲上含む)」「都会(飛行船含む)」というテーマに再編成されている。
前作に存在した「鉱山」や「工場」などのテーマは丸ごと姿を消し、その代わりに「海賊船ステージ」(本来は前作の最後に出た船を序盤ワールドで配置)や「ビッグエイプシティ(大都会)ステージ」が追加された。つまり既存ステージの再現+新規ステージの創造という構成になっている。
各ステージのレベルデザインも完全にオリジナルで、前作のレイアウトを単純縮小コピーしたものは存在ししない。例えば前作1面の「コングジャングル」に相当するステージとして本作1面「ランビ・ジャングル」があるが、地形配置や敵配置は異なり、本作独自の隠し通路やボーナスが用意されている。
また前作で登場したギミック(スイッチ式の照明オンオフステージや巨大なドラム缶が転がるステージなど)はゲームボーイでは再現が難しいため、本作ではそういったステージは省かれている。
その代わりに、本作ではロープ登り下りを多用した縦長ステージや、雲の上を渡る高空ステージなど、携帯機の画面サイズでも遊びやすい新デザインが採用された。
さらに、SFC版では各ワールド内に2~3個程度配置されていたボーナスステージが、本作では全体的に削減されている。これは容量やゲームボリュームの調整によるもので、見つけ甲斐のある隠し要素は残しつつも数を絞ることでテンポよく攻略できるよう配慮されている。
また前述の通りアニマルフレンドもランビとエクスプレッソの2種類のみで、前作に登場した水中のエンガード(イルカ)や森のウィンキー(カエル)等は登場しない。これもゲームボーイの容量と表示制限から仲間キャラの種類を絞ったためであり、実際に開発チームも「制約により動物キャラとボーナスステージの数を減らす必要があった」と語っている。
結果的に全体のステージ数は減ったものの、新規要素も加わったことで前作経験者でも新鮮に遊べる内容となった。「単なる縮小版ではなくプラスアルファの内容になっている」と評価される所以である。
グラフィック・演出面の違い
グラフィック面の違いは一目瞭然だが、技術的な工夫も含めて解説していく。
まず前作はスーパーファミコンならではの256色表示やパララックススクロール、多重BGによるリッチな描画が特徴だった。対して本作はゲームボーイゆえ4階調のモノクロ表示(厳密には白~黒の4色※ゲームボーイカラー等でプレイ時は擬似色付加)。
しかし、レア社は前作で用いた3DCGのレンダリングを取り込んだCGモデル(ACM: Advanced Computer Modelling)技術を携帯機にも応用し、プリレンダリング画像をスプライトに圧縮変換する手法でドット絵とは思えぬ滑らかなキャラクターや背景を実現した。
この技術のおかげで、たとえ白黒でも「ハイコントラストで陰影の付いたドンキー達」がゲームボーイ上に甦り、当時のユーザーを驚かせた。
実際、公式紹介でも「ゲームボーイの白黒画面でも完成度の高いグラフィックは健在」と謳われている。背景もジャングルの木立や遺跡の柱など細部まで描き込まれており、携帯機トップクラスの映像美と称される。
もちろん技術的制約から簡略化された点もある。ゲームボーイではスプライト(OBJ)の同時表示数や1ラインあたりの表示に限りがあるため、大きなキャラクター2体を同時に表示できない、複雑な背景アニメーションを省略するといった割り切りが行われている。
例えば前作ではドンキーとディディーの2人が並んで走る姿が常に表示されたが、本作では先述のように1体のみ表示となった。また前作にあった水面の波紋や樽の回転など細かなアニメーションは、ゲームボーイでは表現が簡素化されている。
しかし傾斜のある地形(スロープ)や回転するボーナスバレルなど、他のGBソフトではあまり見られなかった表現にも挑戦しており、そのため通常より大容量のROMを採用することでデータ量を確保している。
実際本作のROMサイズは8メガビット(1MB)にも及び、当時としてはゲームボーイ用ソフト最大級の容量だった。
たった1MBというと現代のスマホ写真5枚分ほどに過ぎないが、その中にこれだけのグラフィックデータとゲーム内容を収めたこと自体が驚異的な技術と言えるだろう。
演出面では、前作で印象的だったオープニングデモ(クランキーが蓄音機を鳴らしドンキーがブギウギするシーン)は、本作では簡略化されオープニング画面にタイトルロゴが表示されるのみとなった。
ゲームスタート時にはSFC版と同じくドンキーのツリーハウスから始まるが、BGMやステージ進行は異なる。また、ステージクリア時の演出も前作との違いがある。
前作ではゴール地点でターゲットを叩きゴールパネルを取る演出だったが、本作ではゴールロープに触れるとクリアとなり、その場でステージ終了画面に切り替わる。
クリア後にはコングのダンスもなく、シンプルに次のマップへ進む形。このように演出の省略はあるものの、その分ゲームテンポが良くなり携帯機向けに最適化されているとも言える。
さらに、本作はスーパーファミコンの周辺機器「スーパーゲームボーイ」でプレイすると特別な演出強化がある。スーパーゲームボーイ使用時には、画面にジャングル柄の専用ボーダーフレームが表示され、ドンキー達のいる画面部分には自動でカラーリング(4色程度のカラー化)が施される。
具体的には背景が緑がかった色調に、ドンキー達は茶色っぽい色で表示され、モノクロよりも見やすくプレイできるようになる。当時としては据置機で携帯ソフトを遊ぶ楽しみも提案されており、任天堂も本作をスーパーゲームボーイ対応ソフトとして積極的にプロモーションした。(パッケージにも対応マークを明記)。
この互換性の高さも『スーパードンキーコングGB』の魅力の一つで、単に移植するだけでなくハード間連携まで意識した作品だった。
ゲームシステム上の違い
ゲームシステム面でも前作との相違点がいくつか見られる。特に大きいのはセーブ方式の違いだろう。前作では各ワールド内にあるキャンディーコングのセーブポイント小屋で自由にセーブできたが、本作ではステージ中に散らばる「K・O・N・Gのパネル」を4文字すべて集めてクリアすることで初めてセーブ可能という方式になっている。
各ステージにK・O・N・Gの4文字パネルが一つずつ配置され、全て取った状態でゴールすると自動的に進行状況が保存される(逆に言えば、取り逃したままクリアするとセーブされない)。
ただし各ワールドのボスを倒した時も自動セーブされるため、ボス撃破時にはKONGパネル未収集でも区切りの保存が行われる。この仕様は「セーブのために探し物をする」という一手間が加わるため難易度が若干上がる反面、探索要素を促す狙いがあったと考えられる。
開発チームも「KONGパネルをセーブ機能にしたのはゲームクリアを助けるため(セーブポイントを設けられない代替)だった」と語っている。結果として、見落とさずに4文字集めることで初めて一息つける緊張感が生まれ、本作独自のゲーム性となった。
もう一つシステム上異なるのは残機とゲームオーバーの扱い。基本的に残機(ハートマークで表示)は前作同様に初期5機程度で、ミスすると1減り0でゲームオーバーとなる。
ゲームオーバー時にはワールド最初からの再開だが、本作ではステージ間セーブがあるため再開ポイントはセーブ地点まで戻される。前作の場合、セーブしていない状態でゲームオーバーになるとそのワールドの最初からやり直しだったが、本作ではKONGパネル収集を頑張れば細かくセーブされるため、前作より親切とも言える。(逆にセーブを怠ると痛い目を見るのは同様です)。
なお2人プレイモードや対戦モードといったものは存在せず、本作は完全なシングルプレイ専用。
総じて、『スーパードンキーコングGB』は前作のエッセンスを受け継ぎつつ、ゲームボーイの性能差を逆手に取って新規要素や調整を盛り込んだ作品と言える。開発者自身も「もしSFCとGBが近い性能だったらそのまま移植していただろう。そうではなく大きな差があったからこそハードの制限を逆手に取った新しいゲームが作れたのかもしれない」と述懐している。
不利な条件下で生まれた創意工夫が本作を単なるダウングレード版ではなく独自の魅力を持つ一作に押し上げたのである。
第4章:開発の舞台裏と秘話

Rare社と任天堂の協業エピソード
レア社(Rareware)はもともとイギリスのゲーム開発会社で、1994年に任天堂の依頼で『ドンキーコング』シリーズを復活させ大成功を収めた。任天堂とレア社の協業関係は非常に良好で、SFC版『スーパードンキーコング』の開発後すぐに本作GB版の企画が持ち上がったという。
発端はレア社共同創業者のティム・スタンパー氏が、プログラマーのポール・マチャチェック氏に「スーパードンキーコングをゲームボーイに移植できないか?」と打診したことだった。マチャチェック氏は以前にもNES→GB移植(実際は新規開発)を成功させた実績(※ゲームボーイ版『Battletoads』)があったため白羽の矢が立ったのである。
しかしマチャチェック氏は単純移植には否定的だった。氏は「前作をそのままGBに移しても既にSFC版を遊んだ人には売れない。それより少しデザインを加えて新作にすれば、新しい客層にも売れる」と提案した。
この考えは過去にBattletoadsで証明済みで、ティム・スタンパー氏も同意。こうして本作は「移植ではなくオリジナル作品として開発する」方針が決まり、結果的にスーパーファミコン版と同時進行での携帯機向け新作という異例のプロジェクトが走り始めた。
開発期間は1994年から約1年間で、ちょうどSFC版ドンキーコング1の完成~2の発売に挟まれる形だった。任天堂からもスケジュールのバックアップがあり、例えば、SFC版2の発売(1995年11月)より前にGB版を出すことで、据置と携帯でドンキーコングが同時に市場を盛り上げる戦略が取られた。
実際、本作の発売は1995年7月で、翌11月の『2』発売に向けた良い繋ぎとなり、任天堂の販売戦略にも合致している。任天堂は当時「プレイイットラウド!(Play It Loud!)」キャンペーンでゲームボーイのカラーキャリング(本体やカートリッジの色とりどり展開)を推進しており、本作もバナナイエローのカートリッジを採用するなどマーケティング的にも話題を呼んだ。黄色のカセットは当時珍しく、店頭でも一際目立つ存在だった。
移植における苦労と工夫 – 開発者の証言
開発チームにとって一番の苦労は、やはりハード性能差を埋めることだった。プログラマーのマチャチェック氏は「ゲームボーイの基本アーキテクチャ(タイルマップやスプライトの扱い)はNESやSNESに似ているから発想の転換は不要だった。しかし性能は格段に低く、表示キャラ数や処理能力が桁違いに少ない」と振り返る。
その上で、「だからこそ既存の資産をうまく流用しつつ、レベルレイアウトやゲームスピードをGB向けに作り直した」と述べている。
具体的には前述の通りレベルデザインを一新し、敵配置も見直し、タイミングも調整するといった作業。これはSFC版のチームとは別働であっても、互いに情報交換をしながら進められた。
例えば、SFC版でディレクターを務めたグレッグ・メイル氏らからアドバイスを受け、本作でもドンキーとディディーの性能差(スピードとパワーのバランス)を維持したり、隠し通路の入念な配置などブランドの遊び心を損なわない工夫が凝らされたそうだ。
音楽面でも苦労があったという。作曲を担当したグラント・カークホープ氏(※本作クレジット上はグレアム・ノーゲート名義の可能性もあるが、実質的にRare社サウンドチーム)は、これが自身初のゲームボーイ向け音楽制作だったと述べている。
SFC版の名曲を手掛けたデビッド・ワイズ氏と協力し、彼の助言を仰ぎながらGB音源用に曲を落とし込んでいったそうだ。
カークホープ氏は「GBの技術的制約(同時発音数など)が厳しかったので、とにかくメロディに集中するしかなかった」と語り 、ワイズ氏からは「メロディを3ステップ遅れで1/3音量で重ねるとエコー効果になるよ」といったチップチューンサウンドのテクニックを伝授されたと明かしている。
そうした工夫により、本作のBGMは簡素な音色ながら奥行きのあるサウンドに仕上がっている(後述)。
そのほか開発中のエピソードとして、本作には当初未使用に終わったアイデアやキャラクターも存在した。米国任天堂の会報誌「Nintendo Power」では発売前に本作の特集記事が組まれたが、そこで紹介された敵キャラの中に「Pucka(パッカ)」という名前のものや、アニマルフレンドとして「Ram Bunkshus(ラム・バンクシャス)」なる存在が確認されている。
しかしこれらは製品版には登場せず、没案となったようだ。また帽子をかぶった謎のコング族のイラストも掲載されていたが、こちらも本編未登場だった。
おそらく開発初期に検討された新キャラクターで、最終的に実現しなかったものと思われる。さらにゲーム内データには最終ボス戦用に用意されていた未使用曲も含まれていたことが後に解析で判明しており 、完成版では使われなかった要素がいくつか存在していたことが伺える。
締め切りや容量との闘いの中で泣く泣く削られた部分もあっただろうが、それでも上述のように盛りだくさんの内容を実現した点に、開発陣の本気度が感じられる。
第5章:サウンドトラックと音楽の魅力

音楽(BGM)面でも『スーパードンキーコングGB』は高い評価を得ている。作曲は前述のようにレア社サウンドチームが担当し、クレジット上はデビッド・ワイズ氏とグレアム・ノーゲート氏の2名がコンポーザーとして記載されている(※グレアム・ノーゲート=グラント・カークホープ氏)。
これは、おそらくワイズ氏が前作からの楽曲提供と監修、ノーゲート氏がGB音源アレンジと新曲制作を担当したことを意味する。実際、本作のサウンドトラックにはSFC版の名曲をゲームボーイ音源にアレンジしたものと、本作オリジナルの新曲の両方が収録されている。
前作の曲で特に有名な「DKアイランドスウィング(ジャングルのテーマ)」や「水中BGM(Aquatic Ambience)」なども、GB用に簡略化されながらもしっかりと収録されている。
ジャングルのステージで流れる曲は前作1面の軽快なリズムを踏襲しつつ、GB特有のピコピコ音で耳に残る仕上がりである。また水中ステージの曲も、限られた同時発音数で原曲の幻想的な雰囲気を再現しようと工夫が凝らされている。
開発者は「技術的制約のおかげでメロディにフォーカスするようになり、結果として曲自体の良さが際立った」と述べており 、音色よりも旋律美で聴かせるアプローチが功を奏している。
一方、本作ならではの新曲も多数作られ。例えば「大都会」エリアのBGMは前作には無い都会的でアップテンポな曲調となっており、ビル群を背景にドンキー達が駆け抜ける雰囲気を盛り上げる。
またボス戦のテーマ曲も本作独自のもので、緊迫感ある短調のフレーズが印象的。このボス戦BGMは後にレア社が開発したNINTENDO64用アクションゲーム『ブラストドーザー』(Blast Corps)にアレンジ流用されてもいる。
当時のゲーム雑誌インタビューで作曲者が「ドンキーコングGBのボス曲はお気に入りで、自分の最もアップビート(ノリの良い)な仕事だった」と語っており 、出来栄えに自信があったことが窺える。重低音が響くSFC音源とは異なるチップチューンの軽快さで、バトルを熱く演出していた。
技術的な観点では、ゲームボーイの音源(矩形波2ch+波形メモリ1ch+ノイズ1ch)をフル活用する工夫が見られる。前述のように疑似エコー効果を出すためメロディを数フレーム遅らせて重ねる手法 や、限られた波形メモリにドラム音を詰め込んでリズムを表現する工夫など、当時のGB音楽としては凝ったテクニックが駆使された。
また、一部の楽曲では左右のステレオパンを駆使して疑似的な広がりを持たせている(ゲームボーイはヘッドホン使用でステレオ再生可能)。こうした細かな配慮により、イヤホンでじっくり聴くと奥深いサウンドに仕上がっている点も評価ポイント。
サウンド面で忘れてはならないのが効果音。ドンキーが敵を踏んだ時のコミカルな「ポヨン」という音や、バレル大砲で発射された時の「ブシュッ」という音など、前作の印象的なSEがGB上で簡略再現されている。
しかし敵撃破音や残機アップ時の効果音などはオリジナルフレーバーを踏襲し、ドンキーコングらしさを損ねないよう配慮されている。
総じて、『スーパードンキーコングGB』のサウンドは「ゲームボーイの限界を感じさせない」出来映えと評された。発売当時の各種レビューでも「有名なあの音楽が携帯機で見事によみがえった」「モノラルスピーカーですら曲が頭から離れない」と称賛され 、ファミ通クロスレビューでも7/10点を筆頭にまずまずの評価(音楽面の評価も良好)を受けている。
ドンキーコングシリーズといえば音楽、と感じているファンにも、本作のBGMは十分期待に応える内容だったと言えるだろう。
第6章:社会的・文化的インパクト

国内外での評価と反響
『スーパードンキーコングGB』は発売後、国内外で大きな話題となった。前作SFC版が世界的メガヒットを記録していたこともあり、その携帯版という位置付けの本作にも高い注目が集まった。
北米では1995年6月に先行発売され、ゲーム雑誌各誌がこぞってレビューを掲載。特にGamePro誌は「技術的制約とスコープの縮小にもかかわらず、本作は携帯システム上で驚くべき成果を成し遂げている」と評価し、1995年のゲームボーイベストゲームに選出した。
グラフィックや音楽の再現度、操作性の良さが高く評価され、「ドンキーコングが好きならGBでも買いだ」と太鼓判を押された。
一方、日本国内では1995年7月の発売当時、スーパーファミコン版の人気も相まって売れ行きは好調だった。ファミ通のクロスレビューでは4人中2人が6点、1人が7点、1人が5点で計24点(40点満点)とやや辛口だったが 、「あのドンキーコングの雰囲気は十分味わえる」「携帯機としては最高峰」とのコメントも見られた。
ただ「さすがにSFC版と全く同等とはいかない」「画面が小さくて見づらい場面もある」といった指摘もあり、据置版とのギャップを感じたレビュアーもいたようだ。
実際、当時のユーザーレビューでも「初代ゲームボーイの液晶では動きが残像っぽくて見にくい」という声や 、「慣れるまで敵が判別しづらい」といった意見が散見されあ(※初代GBの画面性能ゆえの難点)。
しかしそれらを差し引いても「携帯機でここまでやるとは驚き」「遊んでいるうちに慣れて問題なく楽しめる」と、総合的にはポジティブな評価が多数を占めた。
販売面でも、本作は全世界累計391万本を売り上げる大ヒットとなった。この数字は前作SFC版の930万本には及ばないものの、携帯機ソフト単体としては異例の売上でる。
日本国内でも大ヒットし、当時のゲームボーイソフト年間売上ランキングで上位に入った。ゲームボーイは既に発売から6年以上経っていたが、本作の成功は「ゲームボーイまだ健在」を印象付け、同年には他社製も含めて高品質なGBソフトが相次いでリリースされる一因ともなった。
また本作の成功を受け、レア社と任天堂は翌年に『ドンキーコングランド2』(※海外名 Donkey Kong Land 2)、1997年に『ドンキーコングランド3』と、ゲームボーイ版ドンキーコングのシリーズ展開を続けていくことになる(ランド2・3はそれぞれSFC版2・3の携帯機編に相当)。
このように、本作は「ドンキーコング」シリーズを据置機から携帯機へ広げた第一歩として位置づけられ、以降の任天堂作品において据置と携帯で展開を揃える流れの先駆けの一つとなった。
シリーズ内での位置づけとその後
『スーパードンキーコングGB』は、日本においてはタイトルに”GB”と付いている通り「ゲームボーイ版スーパードンキーコング」として扱われているが、実質的には「ドンキーコングランド」シリーズ第1作。海外では本作がまさにDonkey Kong Landとして発売され、続編はDonkey Kong Land 2, 3とナンバリングされた。
ややこしいのは、日本国内では続編の『ドンキーコングランド2』を発売する際に、英語タイトル「Donkey Kong Land」をそのまま日本版タイトルに使用した点。すなわち日本のパッケージでは、2作目が「スーパードンキーコング2」(SFC)の携帯版にもかかわらず『Donkey Kong Land』(英語)と表記され、3作目は『ドンキーコングGB ディンキーコング&ディクシーコング』というタイトルになった。
結果、本作のみ「スーパードンキーコングGB」という和名で、続編は英名というチグハグな状況になっている。このようなタイトル事情もあり、一部では「ランドシリーズ」と「スーパードンキーコングGBシリーズ」は混同されがちだが、内容的には連続したシリーズである。
ゲーム内容のシリーズ内位置づけとしては、「前作(SFC版1)と次作(SFC版2)の間を繋ぐサイドストーリー」といった立ち位置である。実際、本作のエンディングではキング・クルールを再び撃退しバナナを取り戻すものの、クランキーから「まだまだワシの若い頃のゲームには敵わん」といった発言で締めくくられ、続く『2』に直接繋がるわけではない。
ただ物語的な時間軸では前作の後(日常に戻った後の再挑戦)であり、ディディーコングが主役に躍り出る『2』より前の出来事となっている。
この点で、本作はディディーが初めてドンキーとコンビを組んだ冒険の「その後」を描いた作品とも言え、ドンキーとディディーのコンビネーションがより円熟した様子が描かれているとも解釈できる。
文化的なインパクトとして特筆すべきは、やはりゲームボーイで据置級のゲーム体験を提供した点だろう。当時、多くのメディアが「据置ゲームの携帯機版移植」に否定的だったが、本作はその概念を覆した。
任天堂自身も公式ガイドブックなどで「小さくなってもドンキーコングはスゴい!」と宣伝し、ユーザーも「GBでここまでできるのか」と驚嘆した。
以降、他社も含めて人気据置タイトルのGB移植(あるいは新作展開)が増えていき、ゲームボーイ末期~ゲームボーイカラー期には『星のカービィ デラックス』や『ロックマンXtreme』など据置ヒット作の携帯版が次々登場した。本作はそうした流れの先駆者的存在でもある。

またバナナイエローカートリッジの存在も文化的トピックである。任天堂初のカラー樹脂カートリッジとして、本作の黄色カセットは強い印象を残した。
後に海外版『ポケットモンスター ピカチュウ版』が黄色カートリッジを採用した際、「ドンキーコングの真似か?」などと話題になったほどである。
本作のカートリッジデザインはパッケージやポスターでもアピールされ、ユーザーのコレクション欲を刺激した。
現在では本作はレトロゲームとして振り返られる存在だが、その評価は色褪せていない。2014年にはニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで配信され、多くの新規ファンにも遊ばれた。
さらに2024年にはNintendo Switchの「ゲームボーイ Nintendo Switch Online」サービスにて配信され、発売から約30年を経て再び脚光を浴びている。
当時を知らない若いゲーマーからも「モノクロなのに面白い」「むしろシンプルで遊びやすい」と好評で、レア社と任天堂が生み出したゲームデザインの普遍性が証明される形となっている。
最後に
以上、『スーパードンキーコングGB』は技術力と創意工夫でハードの壁を越え、シリーズの魅力を携帯機にもたらした金字塔的作品と言える。
ドンキーコングシリーズの中でも異彩を放つ本作は、当時のプレイヤーに「携帯ゲームの可能性」を強く印象付け、現在もなお語り継がれる名作として位置づけられている。
モノクロ4階調の小さな画面に広がる大冒険は、間違いなくゲームボーイ史に残るスーパー体験だった。ゲーム史における携帯機への大胆な挑戦として、そして何より純粋に遊んで楽しいアクションゲームとして、『スーパードンキーコングGB』はこれからも多くの人々にプレイされ続けていくことだろう。

