新作『桃太郎電鉄2』と前作・前々作のマップ&イベント比較

ファミリー層からシリーズファンまで楽しめる「桃太郎電鉄」シリーズ。その最新作『桃太郎電鉄2 ~あなたの町もきっとある~』(以下「桃鉄2」)が2025年に発売された。
本記事では、新作『桃鉄2』と前作『桃太郎電鉄ワールド ~地球は希望でまわってる!~』(以下「桃鉄ワールド」)、前々作『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』(以下「桃鉄(昭和平成令和版)」)のマップとイベント要素の違いを中心に、各タイトルの特徴や遊びやすさ、新規要素、シリーズとしての進化を詳しく徹底比較!!
家族で遊ぶ方にもシリーズ通の方にも分かりやすく、親しみやす来る解説していく!

ちなみに筆者が実際に三作品全てを友人とガッツリ遊んだ上での解説です。
新作『桃鉄2』の特徴とは?

Wマップ構成
新作『桃鉄2』は、まず何と言ってもシリーズ史上最大のボリュームが特徴。ゲームマップが「東日本編」と「西日本編」の2つに分かれており、好きなほうのマップを選んでプレイできる。
登場する物件駅(マス)の数は約1000駅と、前々作『桃鉄(昭和平成令和版)』の約3倍にも増加している。
物件数ものべ6000件以上と膨大で、「あなたの町」がどこかに含まれているかもしれないというコンセプト通り、自分の生まれ故郷や馴染みの町の名前をゲーム上で見つける楽しさがある。
1つの県に含まれる駅の数も大幅に増え、より細かな地域までマップで再現されているため、「あ!ここ知ってる!」という盛り上がりが家族みんなで味わえる。
新たに追加されたイベント

東西に分割されたWマップによって、日本各地の個性豊かなイベントもパワーアップしている。
東日本マップでは冬の北海道で豪雪に見舞われるイベントなどがあり、新登場の「ラッセル車カード」を使うと雪をかき分けて有利に進めるといった戦略も楽しめる。
さらに栃木県宇都宮市と静岡県浜松市という餃子で有名な2都市を題材に、宇都宮vs浜松の餃子対決イベントが発生するなど、ご当地グルメをテーマにしたユニークなイベントも東日本編ならでは!
一方、西日本マップでは鳴門の海上「渦潮駅」から潜水艦で海底探検ができるイベントが用意されており、海底に沈んだ財宝や遺跡を発見するようなロマンあふれる展開も!
さらに京都の三大祭り(葵祭・祇園祭・時代祭)や大阪のだんじり祭りなど、西日本各地の祭りや風物詩にちなんだ地域限定イベントが多数登場し、旅行気分で日本文化を学べる要素も盛り込まれている。
家族でプレイすれば、「○○にこんなお祭りがあるんだって!」と会話がはずみ、教育的な一面もある。
マップによって異なる新ボンビー

イベント面だけでなく、新作『桃鉄2』ではゲーム性を左右する新要素も豊富。
前作までおなじみだった「貧乏神(ボンビー)」の悪行パターンが増えただけでなく、新たなゲストボンビー(ご当地限定の貧乏神キャラ)が東西それぞれ2体ずつ初登場。

例えば、東日本編限定の「パーセントボンビー」は、取り憑かれたプレイヤーの持つ物件の収益率を強制的にマイナスにする。年度末決算でも収益がマイナスのままなのでたちが悪く、他のプレイヤーになすりつけても一度マイナスにされた収益率はその年は戻らないという厄介さ。

同じく東日本限定の「バクレツボンビー」は7マス移動後に爆発し、周囲のプレイヤーをまとめて巻き込んで大損害を与える強烈なボンビー。

一方、西日本編限定では「マイナ〜〜スボンビー」が登場し、取り憑かれると所持金をゼロにされた挙句カード使用禁止という縛りを受け、さらにマップ上のいろいろな駅マスが次々と赤マス(マイナス効果のマス)に変えられてしまう。

もう1体の西日本限定「デビルボンビー」は、悪魔系カードを次々と吐き出してプレイヤーに無理やり所持させるという嫌がらせをして来る。
このように東西それぞれで違う個性のボンビーが登場するため、どちらのマップでも新鮮な驚きがあります。シリーズファンにとっては「今回はどんなボンビーが来る!?」と毎回ハラハラドキドキで、戦略性もアップしている。

ちなみに筆者は、バクレツボンビーが爆発する寸前に「豪速球カード」「サミットカード」を使い、友達全員を一網打尽にして2位に返り咲きました(笑)
新カードの追加とカメラプレイ

さらに新カードの追加も魅力。『桃鉄2』では他のプレイヤーを自分の近くに強制召集できる「苦しゅうないカード」や、自分の後ろをウンチ(障害物)で追尾させて他人に追い抜かれなくする「うんちストーカード」など、ユニークで戦略的なカードが多数追加された。
これらのカードは使い方次第で逆転劇の鍵にもなり、小さなお子さんでもカード効果を覚えて工夫することで「次はこうしてみよう!」と考える力が育つかもしれない。
また、Nintendo Switch 2版限定の新機能として「カメラプレイ」(USBカメラを接続して対戦相手の顔を見ながら遊べる)や、「ひろびろマップ」モード(通常より広い視点でマップ全体を見渡せる機能)が搭載されている。
広々マップ表示のおかげで遠くの目的地も見つけやすく、次の行き先を家族みんなで相談しながら決めるのも盛り上がるポイント。
「おすそわけ通信」というSwitch2の機能にも対応しており、ソフト1本で友達や家族とローカル通信で一緒に遊ぶことも可能になった。
このように新作『桃鉄2』は、ボリューム満点のマップにご当地イベント、新ボンビーやカード、新ハード機能対応と盛りだくさんで、シリーズとして大きく進化している。
マップの違いを徹底比較 – 日本から世界へ、そして再び日本へ

シリーズ3作を比較する上でまず注目したいのがマップ(舞台)の違いである。
各タイトルごとにマップのスケールや構造が大きく異なり、それに伴ってゲームの雰囲気や戦略も変化している。
『桃鉄(昭和平成令和版)』:日本全国が舞台の定番マップ

2020年発売の『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』では、これまでのシリーズ同様日本列島がそのままマップになっている。
北海道から沖縄まで実在の地名が登場し、日本全国を巡り物件を買い集める王道スタイル。物件駅数は約331駅で、各都道府県の主要都市はほぼ網羅されている。
シリーズ復活作ということもあり、マップ上の路線も過去作の要素を取り入れつつ最新の情報にアップデートされた。例えば、昭和末期に廃線となった北海道の標津線が新たに追加され、その沿線に羅臼駅や斜里駅など新駅が登場している。
また、本州と四国を結ぶルートとして瀬戸内しまなみ海道が新規追加され、代わりにそれまで存在した九州~四国間の航路が廃止されるなど、現代の地理に合わせたマップ改良が行われた。こうした変更によって、「昔の桃鉄」と比べても新鮮な旅気分が味わえるようになっている。
マップ構造そのものはオーソドックスだが、移動手段に一工夫があった。「ヘリポート駅」の新設である。これにより各地のヘリポートからランダム選出された他のヘリポートへ飛ぶことが可能になり(しかも旧作のワープ駅と違い持ち金が0円にならない!)、離島や遠方への移動が少し便利になった。
家族でプレイする際も、ヘリコプターでひとっ飛びする演出に子供たちは大喜び。日本地図という馴染み深いマップなので、初めて桃鉄を遊ぶ方でもルールを覚えやすく、まさに昭和・平成・令和と世代を超えて定番の内容と言えるだろう。
『桃鉄ワールド』:世界全体が舞台!球体マップで地球一周の旅

2023年発売の『桃太郎電鉄ワールド ~地球は希望でまわってる!~』では、シリーズ初の全世界が舞台となった。マップが平面の日本地図から球体(地球儀)状に進化し、ヨーロッパ、北米、アジア、アフリカなど各地域の国々や都市が駅になっている。
物件駅数はなんと366駅にのぼり(世界中の国・都市の主要スポットを網羅)、そのほぼ全てが目的地として選ばれる可能性がある。スケールが一気に拡大したことで、「地球一周スゴロク」のようなダイナミックな展開を楽しめる。
例えば、日本からスタートしてヨーロッパを目指していたら、いつの間にかアフリカ経由で遠回り…なんてこともザラ。世界マップでは地球が球体ゆえに東西どちらに進んでも最終的に一周できるため、一見遠い目的地でも太平洋を横断する航路や飛行機ルートを使って最短距離で移動するといった戦略が可能になった。
実際、進行系カード(サイコロ系カード)は飛行機に乗って移動する演出となり、1枚で3回まで使える「タンク式(燃料式)」に変更されている。
各地に「GS(給油)駅」が配置されており、使い切りそうなカードも給油駅に立ち寄ればまた最大3回分までチャージできるという、まさに世界旅行ならではのシステムだった。この燃料システムのおかげで、長距離移動も計画的に行う必要があり、シリーズファンには新鮮な戦略性として好評だった。
一方で、家族で遊ぶ際には「ガソリンを補給して…」と少し難しく感じるお子さんもいたかもしれないが、大丈夫!ゲーム内ではGSマークの駅で給油できることがアイコン表示されるなど視覚的に分かりやすく工夫されている。
また、『桃鉄ワールド』のマップならではの遊び心として、世界の秘境や伝説も取り上げられた。例えば、太平洋に沈んだとされる幻の大陸「ムー大陸」や、魔の三角海域バミューダトライアングルなどもマップ上に登場し、条件を満たすと発見できるようになっている。家族で世界旅行気分を味わえる上に、「そんな場所があるんだ!」と子供も大人もワクワクする仕掛けが満載だった。
『桃鉄2』:日本列島を東西に細分化!シリーズ最大の詳細マップ

2025年発売の最新作『桃鉄2』では、再び舞台は日本に戻って来た。ただし同じ日本でもスケールアップしている。
日本列島を「東日本」と「西日本」に分割し、それぞれが1枚の広大なマップとして設計されている。東西2つ合わせた物件駅数は約1000駅にもおよび、シリーズ史上最多。
各地域の小都市や観光地まで余すところなく登場するため、「こんな町まで!?😲」と驚くようなローカル駅も多数含まれている。
「東日本編」「西日本編」のどちらか一方のマップだけでも前作の駅数を上回るボリュームになっており、開発者いわく「東と西で楽しさ2本分」という意気込みとのこと。
実際にゲームを開始する際は東日本か西日本かを選択するが、例えば家族でプレイする時は「今日は東日本で○○県を目指そう!」「次回は西日本にチャレンジしよう」といった形で2倍楽しむことができるだろう。
マップが細分化されたことで、それぞれの地方特有の地形や気候も表現されている。前述したように東日本マップでは冬季に北海道エリアで列車が雪に閉ざされるイベントがあり、西日本マップでは瀬戸内海の渦潮から海底ルートに入れるなど、地域ごとに異なるギミックが用意されている。
また、東西それぞれのマップの隅々にまで空港駅や港(フェリー)も配置されており、ゲーム内で購入できる「ジャンプカード」類を使えば遠方への大移動も爽快!広大になったマップでも目的地が遠すぎて困るということはなく、複数の移動手段を駆使して日本全国を巡ることができる。
なお、Nintendo Switch版ではダウンロード購入時に「東日本編」「西日本編」を個別に購入することも可能というユニークな販売形態が取られた。例えばお子さんのいるご家庭では、まずは住んでいる地域のマップだけ買って遊んでみて、気に入ったらもう一方も追加購入するという遊び方もできる(※もちろんパッケージ版やSwitch2版では最初から両方収録されている)。
このように『桃鉄2』は従来の日本マップをさらに細かく・広くした進化形であり、「日本全国を1枚絵で巡りたい」という要望と「より多くの駅を登場させたい」というシリーズファン両方の期待に応える仕上がりと言えるだろう。

オーソドックスな日本全国を旅したいなら「昭和平成令和」、世界なら「ワールド」、密度の濃いマップを楽しみたいなら「東日本・西日本」がお勧めかな。
イベント要素の違い – ご当地イベントとボンビーの進化

次に、各タイトルのイベント要素について比較してみよう。
桃鉄シリーズの醍醐味であるご当地イベントやハプニング、貧乏神(ボンビー)の悪行などは作品ごとに新要素が追加され、ファミリーで笑える要素やシリーズファンがニヤリとできる要素が盛り込まれてきた。
ご当地イベント&キャラクターの比較
昭和平成令和版
桃鉄(昭和平成令和版)では、日本各地の名産品や観光名所にちなんだご当地イベントが豊富に用意されていた。
例えば、毎年11月には確率で「ラーメン日本一決定戦🍜」が開催され、その年の日本一に選ばれたラーメン店の物件を持っているプレイヤーは11月~翌2月の間、毎月臨時収入を得られるというイベントが新登場した。これは既存の「食品日本一決定戦」のラーメン版で、ラーメン好きの地域(札幌?博多?それともご当地ラーメンの意外な街?)が脚光を浴びるユニークな企画だった。
また、日本全国を巡る中で「歴史ヒーロー」と呼ばれる偉人が仲間になるシステムも健在。特定の都市の物件を独占すると、その土地ゆかりの歴史上の人物(織田信長や坂本龍馬など)が登場し、以後そのプレイヤーを助けてくれるというもの。
昭和平成令和版では全国各地に多数の歴史ヒーローが配置され、能力も「物件収益アップ」「カード入手支援」など様々だった。
さらに「名産怪獣」というご当地ゆるキャラ(?)的なモンスターも登場。例えば北海道にはジンギスカンの怪獣「ジンギスカーン」、静岡にはお茶の怪獣「ちゃぶ台返し怪獣」など、その土地の名産品をモチーフにした怪獣が現れ、プレイヤーに良い効果や悪い効果をもたらすイベントがあった(名産怪獣に会うには特定の条件が必要)。
家族で遊んでいて自分の地元の怪獣が出てきたら大盛り上がり間違いなしで、「うちの県は○○が出たよ!」なんて会話も楽しいだろう。昭和平成令和版はこうした日本各地の名物ネタが満載で、小さなお子さんもゲームを通じて地理や名物に興味を持つきっかけになった。
ワールド版
桃鉄ワールドでは、舞台が世界に広がったのに合わせてご当地イベントもワールドワイドに!日本の名産怪獣に代わり、今作では世界各国の祭りをモチーフにした「お祭り精霊」が登場。例えば、ブラジルのリオのカーニバルの精霊や、日本のねぶた祭りの精霊など、世界中24種類のお祭り精霊が仲間になる。
マスに止まるとクイズを出してきて正解するとカードをくれたり、時には貧乏神と戦って撃退してくれる精霊もいたりと、その効果も様々。
世界旅行中に各地の祭りの薀蓄が学べるので、親御さんからお子さんへ「これは○○祭りって言ってね…」と豆知識を教えてあげる良い機会にもなった。
歴史ヒーローもスケールアップしており、世界の偉人が39種類も登場する。エジソンやアインシュタイン、ダ・ヴィンチといった誰もが知る大発明家・芸術家から、各国の英雄まで、多彩なラインナップだった。
ヒーローになる条件(特定の国の物件独占など)を達成すると強力な支援効果を得られるのは日本版と同様だが、その効果も「発明でカード入手」「芸術的センスで金運アップ」などユニーク。シリーズファンは「次はどの偉人を仲間にしよう」と収集欲がくすぐられたし、子供たちにとっては世界史や文化の勉強につながる要素でもあった。
また、『桃鉄ワールド』ならではのイベントとして、「海賊の宝箱イベント」が存在する。3年目4月以降にプラス駅などに止まると低確率で発生し、サイコロを1~20個振って出た目の合計×4000万円がもらえるというドリームなイベントで、運が良ければ莫大なお金をゲットできる。これは世界観的には「カリブの海賊の財宝発見!」といったところだろうか。
他にも「ギャンブル精霊ギャンドラーによるカジノ対決」イベントや「宇宙人襲来イベント(ボンビラス星関連)」など、一風変わったイベントもあり、まさに世界編ならではのてんこ盛りだった。
東日本編/西日本編
桃鉄2(東日本編/西日本編)では、舞台が再び日本に戻った分、ご当地イベントの作り込みがさらに強化されている。東西各エリアの土地勘が活かせるようなイベントが多く、前述の餃子日本一決定戦(宇都宮vs浜松)や京都・大阪の祭りイベントなどはその代表。
加えて、各地で新たな歴史ヒーローや名産怪獣が大量に追加収録されている。公式発表では「全国の駅にいる歴史ヒーローや名産怪獣も網羅」と謳われており 、昭和平成令和版や過去シリーズに登場したヒーロー・怪獣はもちろん、新作で初登場のキャラクターも存在する。
たとえば、東日本編では東北地方に新ヒーローが追加されていたり、北陸や甲信越のローカル怪獣が新顔で出てきたりと、シリーズファンも「おっこれは新ネタだぞ!」と嬉しくなる仕掛けがある。
イベント条件や効果も詳細に設定されており、例えばある県を独占すると地元のゆるキャラ的な怪獣がお祝いに駆けつけて一時的に収益倍増してくれる、逆に特定エリアに貧乏神がいる状態で入ると地元の英雄が助太刀してくれる…など地域愛あふれるイベントが散りばめられている。
地方創生をゲームで体験しているようで、家族みんなで「○ ○県強い!」「次は自分の県のヒーロー仲間にしたい!」と盛り上がれるだろう。
なお、『桃鉄2』では前作ワールドの「お祭り精霊」は登場せず、日本らしい名産怪獣&歴史ヒーロー路線に戻っている。世界編を経て培われたネタの引き出しを、再び日本各地に注ぎ込んだ形である。
貧乏神(ボンビー)・ハプニングの進化比較

桃鉄シリーズといえば、やはり「貧乏神(ボンビー)」の存在は外せない。
サイコロ勝負に運要素を与え、最後まで何が起こるか分からなくする愛すべき(?)トラブルメーカーだが、各作品ごとに新たな変身形態や悪行が追加されている。
昭和平成令和版
桃鉄(昭和平成令和版)では、基本の貧乏神~キングボンビーなどおなじみの流れは継承しつつ、新ゲストボンビーとして「ビッグボンビー」が初登場した。
ビッグボンビーは小豆色の体で頭に地球儀を載せた巨体のボンビーで、取り憑かれたプレイヤーの借金(マイナス額)をサイコロの出目倍に増やすという強烈な効果だった。1が出ればセーフだが、6が出れば借金6倍…という恐ろしい存在で、しかも持ち金がプラスだと即通常の貧乏神に戻ってしまうため「借金限定で超凶悪」というユニークなキャラであった。
これ以外にも、キングボンビーの変身パターンとして「デストロイ号」という新形態も追加されている。デストロイ号はキングボンビーが汽車そのものになったような姿で、取り憑いているプレイヤーを強制的に3~4個のサイコロで暴走移動させ、通過した駅の物件を次々燃やして白紙に戻すという凶悪極まりない被害を与える。
まさに破壊神の名にふさわしいボンビーで、シリーズファンからは悲鳴と歓喜(?)が上がった。また、細かな点だが、2020年版では貧乏神の演出にも地域ごとの細やかなリアクションが追加されている。
例えば、貧乏神が北海道にいるときは寒さで震えていたり、長崎にいるときはカステラをほおばっていたりと、土地に応じた可愛い仕草を見せてくれるようになった。こういった演出面の進化はファミリーで遊ぶ際にも笑いを誘い、「貧乏神も◯◯では楽しそうだね」なんて会話が生まれる一因となっている。
ワールド版
桃鉄ワールドでは、世界編に合わせ新ボンビーが2種類増えた。「ばらまきボンビー」と「せかいりょこうぼんびー」である。
ばらまきボンビーは、その名の通り取り憑いたプレイヤーの持つ物件やお金、カードを周辺の駅にばらまいてしまうイヤ~なやつ。散らばった物件やカードは他のプレイヤーに拾われて奪われる可能性もあり、一気に形勢逆転されかねない。
もう一つの世界旅行ボンビーは、取り憑かれたプレイヤーを強制的に世界各地のどこかへ旅させ、高額な旅費を請求するというもの 。要はランダムテレポート+罰金だが、世界地図が広いだけに思わぬ遠くへ飛ばされて大出費&タイムロス…ということも。
どちらも世界ならではの豪快ないたずらで、ゲーム後半では従来のキングボンビーらと合わせてプレイヤーを苦しめた。
ただ、シリーズ伝統の「キングボンビー」「ミニボンビー」などのレギュラーメンバーももちろん引き続き登場。キングボンビーの悪行内容も毎回微妙に変化しているが、ワールド版では貧乏神を一定期間放置すると「ボンビラス星」という借金地獄の星へ連れて行かれるイベントもあり、そこから脱出するのに一苦労というハプニングも追加された(ボンビラス星自体は過去作にもあったが、今作でも健在)。
ちなみに、進行系カードが燃料制になった関係で、貧乏神がカードを燃料タンク空にするなんて新しい悪行もあったとか…。全体的に桃鉄ワールドのボンビー周りは「より苛烈に、より派手に」といった印象で、シリーズファンには歯ごたえ充分。家族で遊んでも、ピンチをみんなで乗り越える協力プレイ(?)が盛り上がった。
東日本編/西日本編
東日本編/西日本編では、前述の通りゲストボンビーが4体も新規追加された。東日本限定2体(パーセント・バクレツ)、西日本限定2体(マイナス・デビル)で、それぞれが異なる厄介さを持っている。
これら新ボンビー以外にも、もちろんキングボンビーやビッグボンビー、デストロイ号など過去のボンビーも引き続き登場!つまり歴代のボンビーオールスター+新顔という状態で、シリーズ最多のボンビー種類となっている。
ゲーム中は「今度はどのボンビーが来るんだ…」とハラハラするが、逆に言えば運悪く新ボンビーを引いてしまった時のインパクトは絶大。家族で遊んでいて誰かが新ボンビーに取り憑かれたら、「出たー!○○ボンビー!」と大騒ぎになること請け合いだろう。
特にバクレツボンビーなどは爆発の巻き添えで他プレイヤーまで被害に遭うため、「一緒に逃げてー!」と協力(?)したり、逆に「今のうちになすりつけよう」と駆け引きが生まれたりと、みんながゲームに引き込まれる展開を生む。
また、貧乏神以外のハプニング要素として、『桃鉄2』ではカード周りの調整も行われている。例えば前作ワールドで廃止された周遊系カード(何度も使える進行系カード)は、本作では通常の使い捨てカードとして復活している。
代わりにSwitch2版限定で「☆飛びカード」で飛ぶ前にその駅で売っているカード内容を確認できるようになるなど、UIが親切化された。
そのほか、便利系カードもいくつか新登場しているが、一発逆転級に強力なカードはやや抑えめで、どちらかと言えば新ボンビーへの対策や戦略の幅を広げるカードが多い印象。
これによりゲームバランスは家族でも遊びやすく調整されており、「強すぎるカードで子供が負けて泣いちゃう」なんて事態も起こりにくくなっている。総じて『桃鉄2』のイベント要素は、「攻め(収益イベント・ヒーロー)」「守り(カード戦略)」「乱数要素(ボンビー)」のバランスが良く取られており、初心者から上級者まで楽しめる仕上がりになっている。
3作品の比較まとめ(早見表)
最後に、今回取り上げた3作品『桃鉄(昭和平成令和版)』『桃鉄ワールド』『桃鉄2』のマップ&イベント主な違いを表でまとめていこう。
家族で遊ぶ際の参考や、どの作品から始めようか迷っている方はぜひチェックしてみてみよう!!
| 比較項目 | 昭和・平成・令和 | ワールド | 東日本・西日本 |
|---|---|---|---|
| 舞台マップ | 日本全国(従来型の平面マップ) 主要都市中心に全国網羅 | 全世界(球体マップ) 世界各国・都市、秘境も登場 | 日本全国 (東日本編+西日本編の2枚マップ) 地方の小都市まで詳細に収録 |
| 物件駅の数 | 331駅 | 366駅 | 1000駅 |
| ご当地イベント | 日本各地の名産品イベント多数 (食品日本一、観光名所、名産怪獣など) | 世界各地のお祭りや名物イベント (お祭り精霊、秘境発見イベントなど) | 東西各地域限定のイベント充実 (祭り、名物対決、豪雪イベントなど) |
| 歴史ヒーロー | 全国の偉人が仲間に(豊臣秀吉など)能力で収益アップ | 世界の偉人39種類 (エジソンなど) | 日本各地の偉人+新ヒーロー追加 (各都道府県ごとに配置) |
| 名産怪獣/精霊 | 名産怪獣が各地に登場(ゆるキャラ的モンスター) | 名産怪獣はなし→お祭り精霊が24種類に | お祭り精霊なし→名産怪獣が復活・大量追加 |
| 貧乏神系 | 新ゲスト:ビッグボンビー/デストロイ号等 | 新ゲスト:ばらまき・世界旅行ボンビー | 新ゲスト:パーセント・バクレツ・マイナ〜〜ス・デビルボンビー |
| カード/システム | ヘリポート駅新設/オンライン対戦復活 | 進行系カードが燃料式/ 新モード「ヒストリー」 | 目的地案内・ミニマップ追加 |
家族もシリーズファンも満足!遊びやすさとシリーズの進化

以上、マップとイベントという観点から3作品の違いを比較して来た。それぞれの作品がユニークな特徴を持ちながらも、家族みんなで楽しめる「桃鉄らしさ」は共通している。
桃鉄(昭和平成令和版)はシンプルな日本マップで初心者や子供でも取っつきやすく、それでいて昔からのファンには懐かしい要素が随所に散りばめられた復活作だった。
桃鉄ワールドは大胆にも世界へ飛び出し、新システムや教育的なモードまで搭載した意欲作で、シリーズの新たな可能性を示した。
そして桃鉄2は、その両方の良さを兼ね備えつつ、さらにボリュームと遊びやすさを追求した集大成と言えるだろう。
特に『桃鉄2』では、UI面の工夫(目的地の矢印表示やミニマップなど)によってゲーム進行がスムーズになり、初めての人でも迷いにくくなっている。
例えば「次の目的地ってどこ?」となっても画面端に矢印が出て方向を教えてくれるので、地理に不案内なお子さんでも安心。
また、シリーズ伝統のローカルネタも一段とパワーアップしており、「自分の町がある!」「旅行で行ったあの場所だ!」という発見が家族の会話を弾ませてくれる。
世代は昭和・平成の思い出話を、子ども世代は令和の現在進行形の地域トリビアを、それぞれゲームを通じて共有できるのも桃鉄シリーズの魅力。
一方で、長年のシリーズファンにとっても新鮮な挑戦が感じられるよう、各作品で新要素が投入されている。
昭和平成令和版では約10年ぶりの据置機新作としてオンライン対戦が復活したり、不具合修正アップデートが積極的に行われたりと現代仕様に対応した。
桃鉄ワールドではヒストリーモードで現実社会のテーマ(伝染病克服やIT長者など)にチャレンジするミッションが用意され、桃鉄で世界の課題を学ぶというユニークな試みもあった。
桃鉄2ではハードの進化に合わせて通信機能が拡充し、友達へのおすそわけプレイなど遊びの間口を広げる工夫がされている。
こうしたシリーズの進化により、桃鉄は世代を超えて常に新鮮な楽しさを提供できるパーティゲームとして定番になり続けている。

最後に、ファミリー層・シリーズファンそれぞれに一言アドバイス。家族で遊ぶなら、最新作『桃鉄2』は内容盛りだくさんで特におすすめ!
東西どちらのマップから始めてもOKだし、「3年決戦モード」など短時間で遊べる設定もあるので、小さいお子さんでも飽きずに遊べる。シリーズファンの方は、ぜひ各作品の違いを味わってみてほしい。
昭和平成令和版→ワールド→桃鉄2とプレイすると、「桃鉄」というゲームの進化の軌跡がはっきり感じられて感慨深いものがあるぞ!
日本列島から地球へ、そして再び細密な日本へ──マップもイベントもスケールアップした桃太郎電鉄シリーズで、ぜひご家族・ご友人と笑いあり、学びあり、ドラマありのボードゲーム体験を楽しんでみてほしい。

