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【バイオハザード】アルバート・ウェスカーとは何者か?初代から5まで続いた“悪のカリスマ”の正体

この記事は約22分で読めます。

バイオハザードの悪のカリスマ:アルバート・ウェスカーの人物像と軌跡

アルバート・ウェスカーは、カプコンのサバイバルホラーゲーム『バイオハザード』シリーズに登場するキャラクターで、シリーズを通じて暗躍する黒幕的存在

その洗練された風貌と冷酷非情な振る舞いから“悪のカリスマ”とも呼ばれ、ファンの間でも高い人気を誇る屈指の敵キャラクターでもある。

黒いサングラスにオールバックの金髪というスタイルがトレードマークで、常に落ち着いた物腰ながらどこか底知れぬ野心を漂わせている。

この記事では、初代『バイオハザード』から『バイオハザード5』まで(リメイク版や外伝作品を含む)で描かれたウェスカーの目的・行動・思想、そして彼にまつわる人間関係(クリス・レッドフィールドやジル・バレンタイン、オズウェル・E・スペンサーらとの因縁)を振り返り、シリーズ内での変化と最期までをカジュアルな語り口で解説して行く。

ファンの方もシリーズ初心者の方も、ウェスカーという男がどのように“悪役の象徴”へと至ったのか、一緒に紐解いて行こう!

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1970〜80年代:若き天才とアンブレラへの帰属(誕生)

アルバート・ウェスカーは並外れた知能と才能を持つ天才児として育ち、実はそれ自体がアンブレラ創設者オズウェル・E・スペンサーの極秘プロジェクト「ウェスカー計画」の産物だった。

スペンサーは人類を強制的に進化させ新人類を創造する野望を抱き、世界中から選りすぐりの子供を集めて「ウェスカー」の姓を与え、英才教育を施した。

そして様々な手段で特殊なウィルスを投与し、生き残った者を次の段階へ導こうとしたのである。結果的にこの計画の生存者はアルバートと、後に登場するアレックス・ウェスカーの2名のみとなった。

他の“ウェスカー”たちはウィルス投与に適応できず死亡し、またアレックスも消息不明となったため、この計画は頓挫する。アルバート自身はこの出自を知らずに育ったが、天賦の才によってアンブレラ社に迎えられ、生物工学を専門とする研究者の道を歩み始める。

1970年代にはアンブレラ幹部養成所に在籍し、若き日のウィリアム・バーキンと肩を並べて研究に勤しむことになった。

当初、ウェスカーはアンブレラ社の創設者の一人であるジェームズ・マーカス博士のもとで研究に従事していあ。しかし、野心家でもあった彼は次第に「アンブレラをも超え、世界の頂点に立つ」という密かな野望を抱くようになる。

やがてスペンサーと対立関係にあったマーカス博士の存在が邪魔になると、ウェスカーは盟友バーキンと共謀し、1988年にマーカス博士の暗殺を実行した。

この非情な行動により、スペンサーからの信頼と自身の地位を確固たるものにする。マーカス亡き後はバーキンが博士の研究を引き継ぎ、T-ウィルス開発をさらに推し進めた。

一方ウェスカーは、自ら科学者として研究に没頭する中で限界を感じ始め、諜報部門へ転身する道を選ぶ。裏では自分の才能をより活かせる新たな環境を模索し、アンブレラ以外の勢力へ鞍替えする機会を伺い始めていた。

コウ
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この「プロジェクトW」は後付け感が強く、違和感が感じる設定。「もう少しバイオ特有のリアルな設定にしてほしかった」という意見が筆者も含めて見受けらる。

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親友バーキンとの決別と暗躍(バイオハザード0)

ウェスカー(左)とウィリアム(右)

1998年7月、ラクーンシティ郊外で起きた「黄道特急事件」(『バイオハザード0』の舞台)では、ウェスカーは表向きS.T.A.R.S.(ラクーン市警特殊部隊)の隊長として事態を見守る立場にあった。しかしその裏で、アンブレラ研究員としての顔を持つ彼は、盟友ウィリアム・バーキンと共に不可解な行動を取っていた。

黄道特急でのT-ウィルス漏洩事故は、10年前に自ら葬ったはずのマーカス博士(正確には彼のクイーンヒル寄生体による復活)が引き起こしたものであった。予想外の事態に戸惑いながらも、ウェスカーとバーキンはアンブレラ本社への報告や事態収拾のため動き出す。

ウェスカーはS.T.A.R.S.隊長という肩書きを利用しつつ、アンブレラ研究員としてバーキンと連携し、極秘裏に洋館(訓練所)での生物災害の拡大を見届けた。

この事件の最中、ウェスカーとバーキンの間で今後の進路が分かれる決定的な出来事が起こる。バーキンはアンブレラに留まり、自身の研究(後のG-ウィルス開発)を続ける道を選んだ。一方のウェスカーは、アンブレラという組織そのものに見切りをつけ、ライバル企業へ寝返る決意を固める。

黄道特急〜洋館寄宿舎での混乱を利用し、ウェスカーは密かにアンブレラからの離反準備を進めていたのである。そして事件終結後、バーキンとウェスカーは袂を分かち、長年の友情に幕を下ろす形となった。

表向きはS.T.A.R.S.として職務を全うしつつも、ウェスカーの心はすでにアンブレラから離れ、次なる野望の舞台へと向かって行く。

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S.T.A.R.S.隊長の裏切り – 洋館事件(1998年『バイオハザード1』)

ウェスカーは物語の冒頭ではラクーン市警特殊部隊S.T.A.R.S.の隊長として登場する。表向きは頼れるリーダーだったが、その正体はアンブレラ社の工作員であり、組織を裏切って極秘任務を遂行する二重スパイであった。

1998年7月、通称「洋館事件」として知られるアークレイ山地の洋館での事件では、ウェスカーは自ら隊長を務めるS.T.A.R.S.メンバーを意図的に危険な洋館へ導く。

彼の真の目的は、洋館地下に隠されたアンブレラ社の研究所で培養された生物兵器(B.O.W.)の戦闘データ収集だった。

実戦経験豊富なS.T.A.R.S.隊員たちをわざと“実験台”としてB.O.W.と戦わせ、その戦闘記録を手土産にライバル企業へ持ち込もうと画策していたのだ。

洋館事件の裏でウェスカーは冷徹な手段を辞さず、自分の陰謀に気付きかけたエンリコ隊長を射殺し 、隊員のバリー・バートンには家族の安全を脅迫材料にしてまで協力を強要する。

クライマックスでは、自身の正体に勘付いたクリス・レッドフィールドジル・バレンタインの眼前で研究所の最終兵器「タイラント」を起動させ、自身はタイラントに殺害されたように見せかけて死を偽装する。

しかし、そのタイラントがクリスたちによって倒されたためウェスカーの計画は失敗し、彼自身もタイラントに襲われ深手を負う。

ところがウェスカーはこの最期の瞬間すら計算に入れていた。実は事件直前、盟友である研究者ウィリアム・バーキンから極秘裏に受け取った特殊なウィルスを自らに注射しており、それが功を奏して人智を超えた再生能力と怪力を得る。

タイラントに致命傷を負わされながらも、そのウィルスによる超人的な回復力で蘇生し、ゾンビの群れが跋扈する洋館から難なく脱出に成功。

S.T.A.R.S.隊員たちには爆発炎上する洋館と共に死亡したと思わせ、密かに姿をくらましたウェスカー。こうして彼は一度「死」を演出し、表舞台から消えることで今後の暗躍の布石を打っていた。

初代はウェスカーも含め全員が実写キャラ(ムービーのみ)という斬新な手法であったが、

コウ
コウ

ファイルなどで「ウェスカーの本性」が少しずつ明らかになっていく手法が筆者を含めたユーザーに高く評価されている。逆にファイルを読まないと最後まで分からないところがまた面白い。

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ラクーンシティ崩壊とウェスカーの暗躍(1998年『バイオハザード2』『3』)

表向き死亡したあと、ウェスカーはアンブレラ社を離反し闇の勢力に身を投じていた。洋館事件後に接触した謎の組織「H.C.F.」に加わり、そのエージェントとして活動を続ける。

同年9月ラクーンシティで発生した生物災害(『バイオハザード2』『3』の舞台)でも、ウェスカーは裏で暗躍していた。彼の狙いは友人でもあったウィリアム・バーキン博士が開発した新型ウィルス「G-ウィルス」を強奪することだったが、アンブレラの特殊部隊によるバーキン襲撃やラクーンシティ全域での混乱も重なり、思うように事が運ばなかった。

ウェスカーは部下として送り込んだ女性スパイ、エイダ・ウォンを使いG-ウィルス入手を目論むが、レオン・S・ケネディクレア・レッドフィールドの予想外の活躍によって計画は再び妨害されてしまう。

結局、自らは表立って行動しないまま、ラクーンシティは爆破消滅しバーキンも死亡。ウェスカーは一時手ぶらに終わったかに見えた。

しかしウェスカーは執念深く機会を窺い、レオンたちが去った後のラクーンシティ跡地で、エイダにバーキンのG生物(変異したバーキン)の死骸からG-ウィルスのサンプルを採取させることに成功する。

かくして辛うじてG-ウィルスを入手し、「無能」と嘲笑していた組織内での名誉も挽回。さらに彼はラクーンシティ壊滅後、政府に保護されていたウィリアムの娘シェリー・バーキンを極秘裏に拉致し確保している。

これは、シェリーの体内に父親譲りの何らかの秘密(Gウィルスに関わる要因)が隠されていると睨んでの行動だった。このように、ラクーンシティ事件の陰でもウェスカーは情報網と部下を駆使し、次なる野望の種を着々と手中に収めていたのである。

コウ
コウ

「2」「3」では直接登場はしないが、小説版では「ネメシスを裏で操作していたのはウェスカー」という記述があった。物語の裏で暗躍している感が人気の所以かもしれない。

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宿敵との再会 – 再び姿を現したウェスカー(1998年『CODE: Veronica』)

長らく死んだものと思われていたウェスカーが再び表舞台に姿を現すのが、『バイオハザード CODE: Veronica』(1998年12月〜翌年初頭の物語)。

アンブレラの離反者として暗躍を続けていた彼は、さらなるパワーを渇望し、新たな標的として「天才少女」アレクシア・アシュフォードが開発したt-Veronicaウィルスに目を付ける。

ウェスカーは自身の部隊を率いて孤島ロックフォート島および南極基地へと潜入し、15年間眠りについていたアレクシアの復活に乗じてt-Veronicaを奪おうとする。

この作戦の途中で偶然にもクリス・レッドフィールドクレア・レッドフィールド兄妹と鉢合わせし、生存を知られたウェスカーは、かつての部下クリスとの因縁の再燃を楽しむかのように立ち回る。

ウェスカーvsアレクシア

しかし計算高いウェスカーも、完全に復活したアレクシアの怪物じみた力は想定外だった。アレクシアは自身にt-Veronicaウィルスを投与し人外の強さを得ており、ウェスカーは彼女との直接対決を一時回避せざるを得なかった。

幸運にもそこへ駆け付けたクリスに「ここは元部下のお前に任せるとしよう」と言い放ち、アレクシアとの戦いを丸投げして自らは撤退する。ウェスカーは内心クリスを憎みつつも、その戦闘能力の高さを誰よりも認めており、己の目的のためなら皮肉にも彼を利用することさえ厭わなかった。

最終的に、ウェスカーはスティーブ・バーンサイドの亡骸から目的のt-Veronicaウィルスサンプルを入手することに成功する。脱出寸前には念願叶ってクリスとの1対1の肉弾戦も繰り広げた。超人となったウェスカーはクリスを圧倒する力を見せつけるが、基地の崩壊に巻き込まれて決着は持ち越しとなる。

こうしてウェスカーは宿敵クリスに自らの生存と強大化を誇示しつつ、目的のウィルスもちゃっかり持ち去るという結果を残す。以降、両者の因縁は「次こそ決着をつける」という互いの誓いとともに、より一層深まっていくことになった。

コウ
コウ

クレアと対面したウェスカーは彼女の顔面を蹴るなど非人道的な行動が目立った。その反面、やむなくアレクシアと対峙する場面は非常に痺れた。

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アンブレラ崩壊に向けた策動(2002〜2003年)

2000年代に入り、ウェスカーは裏社会でますます暗躍を続ける。2002年には『バイオハザード ダークサイド・クロニクルズ』のエピソード「オペレーション・ハヴィエ」にて、その動向の一端が示唆される。

この時期、彼は南米の麻薬王ハヴィエ・ヒダルゴに接触し、t-ウィルスやt-Veronicaウィルス、さらにはイビー(植物型B.O.W.)ハンターなど各種B.O.W.を闇取引で提供していた。

これは資金稼ぎやウィルス拡散の実験でもあったが、同時にハヴィエと戦うレオン・S・ケネディジャック・クラウザーらの様子を陰から観察し、B.O.W.の実戦データ収集も行っていたようだ。

その結果、任務後に軍を除隊したクラウザーはウェスカーの組織に自ら接触し、彼の配下に加わることになった。ウェスカーはこのようにして有能な人材や戦力を陰で集め、自らの野望達成の土台を築き上げていったのである。

そして2003年、アンブレラ社が崩壊する直前の出来事として『バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ』のエピソード「アンブレラ終焉」が描かれる。

ウェスカーはアンブレラ社ロシア支部の秘密研究所に大量の機密データが集約されていることを掴み、そこに狙いを定める。彼は依然としてクリス・レッドフィールドを憎悪していたが、同時にその実力を高く評価していたため 、あえてロシア政府に「アンブレラが新型B.O.W.を開発中」という情報を流し、クリスとジル・バレンタインを現地に誘き寄せる。

自らは影から糸を引きつつ、内通していたアンブレラ研究員に命じてT-ウィルスを漏洩させ施設内にバイオハザード(ウィルス事故)を発生させることで、クリスたちとアンブレラ部隊を攪乱する陽動作戦に打って出たのである。

混乱に乗じてウェスカー本人は単身でロシアのコーカサス研究所内部に侵入し、暴走したアンブレラ幹部セルゲイ・ウラジミールと彼が放ったタイラント部隊を悉く撃破する。

そして施設の中枢コンピュータ「レッド・クイーン」からアンブレラの極秘データを全て奪取すると、レッド・クイーンそのものも消去し去る。ウェスカーはクリスらと顔を合わせることなく姿を消したが、後日この入手データをアンブレラ裁判で証拠として提出する。

その結果、アンブレラ社は全面敗訴に追い込まれ、企業として完全に崩壊。皮肉にも、かつて仕えていたアンブレラを潰した立役者となったウェスカーは、膨大な機密情報とウィルスサンプルを独占したことで、いよいよ自らの野望実現に向けて盤石の基盤を整えたのである。

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プラーガを狙った暗躍 – 『バイオハザード4』(2004年)

アンブレラ崩壊後もウェスカーの野望は留まるところを知らない。

2004年、『バイオハザード4』の事件では、彼は新たにスペインの宗教団体「ロス・イルミナドス教団」が操る寄生生物「プラーガ」に興味を示す。プラーガは人間を支配下に置く寄生体で、兵器転用すればウィルスとは異なる支配力を持つ可能性があった。

ウェスカーは配下のエイダ・ウォンと元米軍兵ジャック・クラウザーを現地に派遣し、教団からプラーガのサンプルを奪取する計画を進める。

しかし教団に拉致された大統領令嬢アシュリー救出のためレオン・S・ケネディが現地に乗り込んできたことで事態は複雑化。レオンの奮闘によって教団は壊滅し、ウェスカーの計画もまたも邪魔されかける。

それでもエイダは何とかプラーガのサンプル回収に成功し、一件落着かと思われた。しかし彼女はこの期に及んでウェスカーを裏切る。エイダの極秘レポートには「組織の命令でウェスカーには別の物(偽物)を渡した」と記されており、彼女は真の目的を隠してウェスカーには不完全な従属種プラーガ(支配種ではない下位のプラーガ)しか渡さなかったことが示唆されている。

つまり、エイダはウェスカーの元から離反し独自行動に転じたのだ。結果としてウェスカーは念願の“支配種プラーガ”を手に入れ損ねたが、代わりに彼は部下クラウザーが所持していたプラーガ(クラウザー自身が体内に寄生させていたもの)に目を付ける。

クラウザーはレオンとの戦いで命を落としたが、ウェスカーはその遺体からプラーガを回収することで最低限の目的は達成した。彼は後にこのプラーガサンプルを応用実験に利用し、新型B.O.W.開発への糧としていく(事実、『5』ではプラーガ系寄生体を用いたマジニと呼ばれる感染者が多数登場)。

このようにウェスカーは一時的な部下の裏切りすらも織り込み済みとばかりにリカバリーし、着実に戦力を蓄えていったのである。

一方で、長年利害関係で繋がっていたエイダ・ウォンとの関係はここで完全に切れる。そもそもウェスカーとエイダの協力関係は打算の上に成り立ったもので、お互いに真の信頼など皆無だった。

ロス・イルミナドス教団殲滅後、エイダはウェスカーの元を離れ消息を絶つ。ウェスカーは彼女の裏切りに感づきつつも深追いはせず、新たな計画へと邁進していくことになる。

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野望の継承 – スペンサー邸事件(2006年『Lost in Nightmares』)

野望に突き進むウェスカーにとって大きな転機となったのが、2006年に起きたスペンサー邸での事件。アンブレラ創設者にして彼のかつての上司であったオズウェル・E・スペンサー卿は、アンブレラ崩壊後行方をくらまして隠遁生活を送っていたが、ウェスカーはその居場所を遂に突き止めた。

スペンサーは自らの邸宅で待ち受けていたかのようにウェスカーを迎え入れ、そこで初めて「ウェスカー計画」の真相を語る。

このウェスカー計画とは、一言でいえばスペンサーが抱いていた選民思想的な野望――ウィルスによる人類の強制進化によって新たな人類を創造し、自らが神のように君臨しようという計画だった 。

スペンサーは世界中から優秀な子供を集めて「ウェスカー」と姓を与え、アンブレラの庇護と監視下で英才教育を施した上で特殊なウィルスを投与するという壮大な実験を進めており、その中で生き残った“唯一のウェスカー”こそがアルバート・ウェスカー、彼自身だったのである。

つまり彼の卓越した才能や強靭な肉体は偶然ではなく、スペンサーによって選び抜かれ育成された産物だったという衝撃の事実が明かされた。

自分自身も知らなかった出自の秘密と、スペンサーの狂気的な野望を聞かされたウェスカーは、それを聞き終えるや否やスペンサーを素手で殺害する。彼はかつての主人に対し「これで“神になる権利”は俺のものだ」と言い放ち、自らがスペンサーの野望を引き継ぐことを宣言した。

この瞬間、ウェスカーは完全に自分こそが選ばれし存在であり、人類を導く「神」になるのだという妄信に取り憑かれたと言えるだろう。

スペンサーすらも超える支配者になる——その狂気じみた決意を胸に秘めたウェスカーだが、直後に思わぬ乱入者が現れる。同じくスペンサーを追って邸宅に踏み込んできたクリス・レッドフィールドジル・バレンタインであった。

かくして洋館事件以来の再会を果たした宿敵たちは激突する。ウェスカーは既に常人離れした身体能力を身につけており、飛んでくる銃弾を目で捉えてから回避し、瞬間移動のような高速移動で翻弄し、一撃でクリスたちを吹き飛ばす怪力で圧倒するなど、二人がかりのBSAA隊員(当時クリスとジルはバイオテロ対策部隊BSAA所属)ですら歯が立たなかった。

クリスが絶体絶命の危機に陥ったその時、ジルがウェスカーもろとも崖下へ飛び込む捨て身のタックルを見せる。もつれた二人はスペンサー邸の高窓から外の断崖へと落下し、クリスだけが間一髪で窓枠にしがみついて助かる。ウェスカーとジルはそのまま深い谷底へと消え、クリスの目前で行方不明となってしまう。

クリスは親友ジルを喪った悲しみと、ウェスカーへの怒りを深く胸に刻むことになった。一方のウェスカーはというと、超人的な生命力でこの落下からも生還していた。

信じ難いことに、落下中に崖を滑り降りて衝撃を緩和し、ジルも殺さずに捕獲していたのである。ウェスカーは気絶したジルを回収すると、そのまま彼女を製薬企業トライセル社の研究施設へと運ぶ。

こうしてウェスカーは自らの野望に必要な “コマ” としてジルをも利用することになる。このスペンサー邸での一件は、ウェスカーにとって己の出自と使命を知った重大な転機であると同時に、永遠のライバルであるクリスとの決戦の火蓋を切る序章ともなった。

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“選ばれし者”の計画 – 『バイオハザード5』での最終決戦 (2009年)

スペンサー邸での死闘から3年後、ついにウェスカーの野望が一つのクライマックスを迎える。

2009年の『バイオハザード5』本編で、ウェスカーはアフリカの地で生物兵器テロを引き起こす黒幕として暗躍していた。彼は表向きは新興製薬企業「トライセル社」のアフリカ支部長エクセラ・ギオネと手を組み、裏ではスペンサーから引き継いだ“新人類創造”計画を実行に移そうとしていた。

ウェスカー自身、幾度ものウィルス投与により超人的な力を得ていたが、その身体は不安定で定期的に専用の安定剤PG67A/Wを自ら注射しなければならない状態だった。そこで彼は更なる究極のウィルス「ウロボロス・ウィルス」を開発し、それによって世界を一度“選別”するという途方もない計画を企む。

ウェスカーの計画は狂気そのものだった。彼は自分と同じようにウィルスに適応できる“選ばれた人類”だけが生き残る新世界を創造しようとしていたのである。

具体的には、完成させたウロボロス・ウィルスをミサイルで世界中に散布し、適合できず変異・死亡する「弱者」を淘汰することで、人類を強制的に進化させようとしていた。

この選民思想の極致とも言える計画のために、ウェスカーはトライセル社の豊富な資金と設備を利用し、かつて集めたt-ウィルス、G-ウィルス、t-Veronica、プラーガなどあらゆるウィルスの研究成果を応用してウロボロスを完成させている。

さらに彼はスペンサー邸で捕らえたジル・バレンタインに洗脳用デバイスを装着し、自分の手駒として利用する。ジルは薬物投与と洗脳により人格を奪われ、ウェスカーの忠実な戦闘員としてクリスと戦うことになってしまう。

しかし、因縁深き宿敵クリス・レッドフィールドもまた黙って蹂躙される男ではなかった。クリスはBSAA隊員シェバ・アローマを新たなパートナーにアフリカでの事件に挑み、遂にウェスカーとの直接対決の時を迎える。

戦いの最中、クリスとシェバは洗脳され敵となっていたジルを辛くも正気に戻し、ウェスカーの計画を阻止すべく追撃する。

追い詰められたウェスカーは協力者エクセラ・ギオネすらも見限り、彼女にウロボロス・ウィルスを投与してモンスター化させるという非情ぶりで時間稼ぎを図る(結果的にエクセラはウロボロスに呑み込まれ死亡)。

自らはウロボロス搭載ミサイルを積んだ爆撃機に乗り込み離陸させることに成功。人類滅亡まであと一歩――しかしクリスとシェバの執念がそれを許さなかった。二人は決死の追跡劇の末に爆撃機内でウェスカーと交戦し、機体ごと火山地帯へ墜落させることに成功する。

壮絶な空中戦と墜落にもかかわらず、ウェスカーは超人的な耐久力で生き延び、噴き上がる火山の溶岩地帯で最後の戦いが繰り広げられた。

もはや計画実現が絶望的となり怒り狂ったウェスカーは、自らウロボロス・ウィルスを大量に体内へ取り込み、異形の触手を持つ怪物へと変異してクリスたちに襲い掛かる。

それは人類を超え“神”になろうとする彼の歪んだ執念の最終形だった。しかし最後はクリスとシェバの連携によって弱点を攻撃され、満身創痍となったウェスカーは崩れ落ちた足場もろとも灼熱のマグマの海へ沈み込んで行く。

それでもなお這い上がろうと執念を見せ、ヘリコプターに乗り込んだクリスたちを溶岩の中から触手で引きずり下ろそうともがいたが、目前に差し込まれたロケットランチャーの銃口を見た時にはもはや手遅れであった。

クリスとシェバが放った2発のRPG-7直撃を受け、ウェスカーの野望は完全に潰え去ったのである。かつて数々の策謀を巡らせ不死身とも思われた男の最後は、皮肉にも壮絶かつ劇的な最期となった。

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死後の影響 – シリーズ後半へのウェスカーの痕跡

2009年、火山のマグマに沈みロケット弾で止めを刺されたアルバート・ウェスカーは、公式にも死亡が確定した。しかし、“ウェスカー”という名前と彼の残した影響は、その後のシリーズ作品にも確かに存在している。

まず、『バイオハザード5』でウェスカーに救われたジル・バレンタインは、後の作品で復帰を果たし、彼女の存在自体がウェスカーの野望の証人と言えるだろう。

バイオハザード6

さらに『バイオハザード6』(2012年が舞台)では、ウェスカーの実子がキーキャラクターとして登場する。ジェイク・ミューラーという青年で、彼は紛争地帯で傭兵をしていたところをバイオテロ事件に巻き込まれ、シェリー・バーキン(ラクーン事件でウェスカーに拉致されたシェリーが成長した姿)と出会う。

ジェイクは自らの血が新型ウィルス「C-ウィルス」の抗体になる特異体質を持っており、世界を救うカギとなる人物だった。彼こそ幼少期にウェスカーが関係を持った女性との間に生まれた息子だったのである。

もっとも、ウェスカー自身はジェイクの存在を知っていたかは定かではなく、一切彼を育てることもなかったため、両者に親子らしい交流は無かった。

それでも皮肉なことに、ウェスカーの遺伝子を継ぐジェイクが結果的に世界をウィルスの脅威から救う重要人物となったことで、「ウェスカーの血」は善悪両面で人類史に影響を与えたと言える。

バイオハザード リベレーション2

また、スピンオフ作品『バイオハザード リベレーションズ2』(2011年頃が舞台)では、ウェスカー計画による“もう一人の生き残り”であるアレックス・ウェスカーという女性が登場する。

アレックスはアルバートとは血縁関係はないが、スペンサーに選ばれた「ウェスカー児童」の同胞であり、彼女にとってアルバートは兄のような存在だった。作中には彼らが並んで写った古い写真も登場し、アルバートとアレックスの間にかつて深い交流があったことが示唆されている。

アルバートは自身の研究成果(ウロボロス・ウィルス)をアレックスに託していた節もあり、常に他人を道具としか見なかった彼にしては珍しく一定の信頼を置いていた様子もうかがえる。

アレックス自身も人類進化を企む野心家だったが、彼女の物語は別の機会(別記事)に譲ろう。いずれにせよ、アルバート・ウェスカーという男の存在は彼が死んだ後も様々な形でシリーズに痕跡を残し続けている。

バイオハザード7・ヴィレッジ

さらに、最新作に至るシリーズでもウェスカーの名はしばしば耳目を集める。

バイオハザード7』(2017年)では、新生アンブレラ社がかつて彼の愛用したハンドガン「サムライエッジ A.W.モデル01」を再現した特殊銃を開発し、クリス・レッドフィールドが対B.O.W.戦闘に使用している。

バイオハザード ヴィレッジ』(2021年)でも同様にウェスカーモデルの銃が登場し、シリーズの背景に彼の存在が刻まれていることを感じさせた。

また、ゲーム以外でもウェスカーはたびたび言及され、CG映画や小説版、果てはリブート映画など様々なメディアミックスに登場している(※ただし映画版の設定はゲーム本編と大きく異なるパラレルワールドのため本記事では割愛します)。

これほどまでに名前が残り続ける悪役も珍しく、アルバート・ウェスカーというキャラクターがいかに強烈なインパクトをシリーズに残したかを物語っている。

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悪役の象徴としてのウェスカー

このようにアルバート・ウェスカーは、『バイオハザード』シリーズを通して常に陰で糸を引き、時に表舞台に立って主人公たちを苦しめてきた“究極の悪役”である。

初登場となる洋館事件では冷静沈着な隊長として信頼を得ておきながら平然と裏切り、以降は死んだふりまでして野望のために暗躍する狡猾さと執念深さを見せた。

その人格はシリーズが進むにつれ次第に狂気を帯び、かつてはアンブレラの一研究員に過ぎなかった男が、最終的には自ら神を名乗り人類を選別しようとするまでに傲慢さを膨れ上がらせていく。

超人的なパワーを手に入れてからは高笑いと共に圧倒的な暴力を振るい、サングラス越しの冷たい視線で相手を見下ろす彼の姿は、多くのプレイヤーに恐怖と怒り、そしてある種のカリスマ性を植え付けた。

ウェスカーがこれほど魅力的な悪役として語られる理由の一つは、クリスやジルといった英雄たちとの長年にわたる因縁だろう。正義の主人公たちと真っ向から対立し、その信念を嘲笑うようなウェスカーの存在は、物語を大いに盛り上げた。

特にクリス・レッドフィールドとは、隊長と隊員という関係から始まり、互いに幾度も死線をくぐり抜けては再び相まみえる宿敵同士となった。洋館事件での初対決、ロックフォート島での衝撃の再会、スペンサー邸での宿命の激突、そしてアフリカでの最終決戦――二人の戦いはシリーズの軸の一つでもあり、ウェスカーというキャラクターを語る上で欠かせない。

クリスにとってウェスカーは超えるべき因縁の相手であり、ウェスカーにとってクリスは自らの計画を阻む忌々しい存在であると同時に、その実力を認めざるを得ない特別な人間でもあった。この複雑なライバル関係がストーリーに厚みを与え、ファンの心にも強く刻まれている。

さらにウェスカーは、“人類の進化”や“選民”といったテーマを体現する存在でもあった。彼の抱く優生思想めいた信条は、バイオハザードシリーズ全体のテーマである「人間のエゴと暴走」の象徴とも言える。

自らが選ばれし優秀な存在であると信じ、人類を新たな種へと作り替えようとするウェスカーの狂気は、現実世界にも通じる危うさを孕んでいる。その野望が打ち砕かれる結末は、シリーズにおける一つのカタルシスでもあった。

まとめると、アルバート・ウェスカーとはシリーズ史上屈指の悪役にして孤高のカリスマである。

彼はシリーズ初期から黒幕として暗躍し、最後は自らが生み出した怪物と化して散っていったが、その存在感は今なお色褪せることがない。

冷徹な頭脳と強靭な肉体、そして底知れぬ野心を兼ね備えたウェスカーは、“絶対的な悪”の体現者としてプレイヤーに強烈な印象を残した。バイオハザードの物語を語る上で、彼の名を避けて通ることはできないだろう。

今後もしシリーズに彼の影が再び差し込むことがあれば…それは間違いなく多くのファンを震撼させる出来事になるに違いない。そんな想像を掻き立てるほどに、アルバート・ウェスカーという悪役は我々の心に深く刻まれているのである。

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