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【バイオハザード】t-ウィルスとは何か?|生物災害を生んだ最悪の生物兵器の性能や感染力・開発史・年表

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顕微鏡で見たt-ウィルス

t-ウィルス(Tyrant Virus)は、カプコンのゲーム「バイオハザード」シリーズに登場する架空の凶悪なウイルス。

アンブレラ社という製薬企業が極秘裏に開発した生物兵器用ウイルスであり、その流出が幾度もバイオハザード(生物災害)を引き起こした。

正式名称は「タイラント(暴君)ウィルス」で、頭文字の“T”を取ってt-ウィルスと呼ばれている。シリーズ初期には「T-ウィルス」と表記されていたが、現在は小文字で「t-ウィルス」と統一されている。

本記事では、ゲーム版シリーズ(実写映画版を除く)におけるt-ウィルスについて、詳しく解説して行く。

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t-ウィルスの性能

感染経路と感染スピード

t-ウィルスは極めて強い感染力を持ち、ほぼあらゆる経路で生物に感染する。主な感染経路は体液・血液の接触で、ウィルスに汚染された水や食物の摂取(経口感染)、感染者に噛まれたり引っかかれたりした傷口からの侵入(血液感染)が典型的。

作中ではラクーンシティで下水に漏れ出したt-ウィルスをネズミが媒介し、市街に爆発的に広げた例がある。

また警察署内では感染した犬(ケルベロス)が隊員を引っかいた傷から広まったケースも報告されている。

基本的に空気感染はしないとされているが、研究所事故の初期段階ではウィルス粒子が空気中に漂い、一時的にエアロゾル感染した可能性も指摘されている。

感染から発症(変異)までの潜伏時間は個人差が大きく、一概に言えない。一般的には感染部位や体力によって変わるが、負傷が軽微な場合は発症まで数時間~半日程度瀕死の重傷者では極めて短時間(数分〜数十分)で変異(ゾンビ化)することがある。実際、抵抗力が極度に低下した状態でウィルスに曝露すると瞬く間にゾンビ化する例も報告されている。

逆に感染直後に抗ウィルス薬(ワクチン)を投与できればゾンビ化を回避できる場合もあるが、既に脳までウィルスに侵されていた場合は効果がない

なお作中では、S.T.A.R.S.隊員のような主人公格のキャラクター達は噛まれても発症しないが、これは遺伝的にごく稀に存在する抗体保有者(10人に1人程度)であった可能性が示唆されている。(ただし、ジル・バレンタインのように高濃度なウィルスに侵されると感染してしまう例もある)

コウ
コウ

要するに、抗体も持っていたからクリスやジルたちは主人公になれたって解釈もできるよね。「主人公だから感染しない!」じゃないんだと俺は思うよ!

感染後の症状と変異パターン

感染者

生物がt-ウィルスに感染すると、死に至る前に劇的な肉体変異を起こし始める。感染者は高熱や嘔吐などを経て急速に衰弱し、一旦心肺停止状態になるものの、ウィルスが脳幹を再活性化させることで死亡から蘇生する。

蘇生した感染者は知能の大部分と理性を失い、本能的な食欲と攻撃性だけが際立ったゾンビ状態となる。その変異過程から『活性死者』とも呼ばれる。

ゾンビはゆっくりとした動きながら執拗に生者を追い求め、噛みついてウィルスを拡散させる。また完全に死亡した死体には基本的に感染しないが、ごく短時間であれば瀕死の人間からゾンビ化に至るケースもある。(※映画版では死体への感染描写があるがゲーム設定では否定されている)

Code:Veronica』では埋葬されたゾンビが這い出て来るシーンがあるが、あれは感染して仮死状態になったんだけど、「死んだ」と勘違いされて埋葬されてしまった模様。

コウ
コウ

バイオ1の名シーンである振り向きゾンビちゃんにはちょっとしたエピソードがある(笑)ガキんちょの頃、親父がバイオ1を遊んでるのを隣で観てて、このシーンを観て鬼ビビりした筆者は、その拍子にソフトのケースを割っちゃったのよ。そしたら、そのバイオは親父が会社の同僚から借りてきたやつだったらしく、後日弁償したらしい(笑)

クリムゾンヘッド

変異パターンは感染対象や経緯によって様々。人間の場合、大半は上記のゾンビ化だが、長期間活動していた一部のゾンビがクリムゾン・ヘッドと呼ばれる更なる変異体に進行する例もある。

またt-ウィルス感染者同士が共食いするなど特殊な条件下で、リッカーのように四つん這いで高速移動し、長い舌を持つクリーチャーへ二次変異するケースも確認されている。

動物への感染では、その生物固有の特性と相まって凶暴化・巨大化する傾向がある。例えば犬が感染したゾンビ犬(ケルベロス)や、サメが感染した巨大生物ネプチューン、カラスが感染したクロウなど、身近な生物が著しい攻撃性とサイズ増大を示すケースが数多く報告されている。

植物でさえ例外ではなく、洋館事件で登場したプラント42のように植物が怪物化した例もある。さらに、t-ウィルスは異種生物間で遺伝子組み換えを促す特性があり、これを利用して人間以外のベース生物と融合させた人工生物兵器を作り出すことも可能。

ハンター

アンブレラ社はこの性質を利用し、様々なB.O.W.(Bio Organic Weapon、生物有機兵器)を開発した。たとえば人間の受精卵に爬虫類の遺伝子を組み込んでt-ウィルス投与したハンターシリーズは、高い跳躍力と殺傷能力を持つ戦闘クリーチャー。

他にも人間とハエの遺伝子を掛け合わせたキメラ、ウィルス投与で誕生した巨大クモ・ウェブスピナーなど、多彩なクリーチャーが試作された。

タイラント

中でもタイラントと総称されるシリーズは、「究極の生命体」を目指して開発された人型B.O.W.の完成形。タイラントは高度な知能と戦闘能力を有し、単独で部隊並みの殲滅力を発揮する。

もっともタイラントへの変異には特殊な素質(遺伝的適合)が必要で、生存率が極めて低いため量産の障害となった(後述)。

このようにt-ウィルスは感染者をゾンビ化させるだけでなく、条件次第で多種多様なモンスター(クリーチャー)を生み出す点で非常に厄介である。

生物兵器としての能力と軍事利用

アンブレラ社がt-ウィルスを開発した目的は生物兵器として軍事利用することだった。創設者オズウェル・E・スペンサーは「ウィルスで人類を進化させる」という野望を持ち、その資金調達と実験データ収集のために戦略兵器としてのウィルスを各国に売り込もうと考えた。

当初計画された“理想のウィルス兵器”は「極めて感染力が高く、感染した対象を100%死滅させる」ものだった。これが実現すれば、敵対国家や都市に散布するだけで生物兵器として絶大な効果を発揮し、従来の大量破壊兵器や正規軍すら不要になると想定された。

しかし、開発陣はすぐに大きな壁に直面する。ウィルスは致死率が高すぎると感染が拡大しきる前に宿主が死に絶えてしまい、結果として伝播力が落ちてしまうことが判明したのである。

実際に「感染力が強く致死率も高いウィルス」は拡散途中で広がりが頭打ちになる傾向があり、この両立は“不可能”であると結論づけられた。

そこで1978年頃、アンブレラは方針を転換する。「即死させるのではなく、感染者を生ける屍=ゾンビ状態に変異させる」ようにしたのである。ゾンビ化した感染者は自我を失って凶暴化し、健常な人間を襲ってさらにウィルスを広める。つまり、感染者自身を次々と敵兵士に噛みついて増殖する“兵器”に変えてしまうアプローチである。

この発想によりt-ウィルスは単なる毒ガス的な兵器ではなく、自律的に感染を拡大するバイオ兵器として完成した。

ただし一部の人間が生来の抗体によってゾンビ化を免れる(免疫保有者が約10%存在する)問題も残った。アンブレラはこの“生存者”への対策として、前述のハンター等のB.O.W.を投入し免疫保有者すら抹殺することで100%殲滅を達成しようとした。

t-ウィルス兵器の軍事的価値は当初の目論見通り極めて高いものだった。密かに散布すれば敵基地や都市を内部から壊滅状態にでき、施設やインフラは破壊せず人間だけを排除できる。

また制御下に置いたB.O.W.(タイラントなど)を投入すれば、生物であるがゆえに電子兵器では対処しづらい生体兵器として戦場で猛威を振るう可能性がある。

アンブレラ社は各種B.O.W.を完成させると、密かに各国の軍やテロ組織へ売り込みを図る。しかし、1998年秋に起きたラクーンシティ壊滅事件によってアンブレラの悪事が露呈すると、世論の反発と国際的非難により軍事利用の芽は摘まれる。

アンブレラは訴訟と株価暴落で2003年までに事実上崩壊し、公の場でt-ウィルスが使われることは阻止された(以降はテロリストによる闇市場での流通や、他社による派生ウィルスのバイオテロが散発することになる)。

結果的に、t-ウィルスは「人類史上最悪の生物兵器」でありながら、正式な軍事兵器として実戦投入される前に開発者ごと社会的に抹殺されたと言えるだろう。

コウ
コウ

他のゾンビ映画って事故とかが原因だけど、それを意図的に利用しようとしてるのがヤバいよな!

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開発経緯:誕生からプロジェクトWまで

始祖ウィルスの発見とt-ウィルス誕生

始祖花

t-ウィルスのルーツは1960年代に遡る。アンブレラ社創設者の一人であるジェームス・マーカス博士は、1966年アフリカの古代遺跡で発見された始祖ウィルスというRNAウィルスに着目した。

始祖ウィルスはある特殊な花(始祖花)から見つかった新種ウィルスで、感染した生物を死に至らしめつつ異常な変異を促す特性を持っていた。

マーカスは共同創設者のオズウェル・E・スペンサーエドワード・アシュフォードと協力し、この始祖ウィルスを用いた人類進化の研究を開始する。

3人は1968年にアンブレラ社を設立し、表向きは製薬会社として資金を集めながら裏でウィルス兵器の研究を進めた。

ウィルスに感染したヒル

マーカス博士はアンブレラ幹部養成所(アークレイ山地)で所長として研究に没頭し、ついに1977年9月始祖ウィルスにある生物の遺伝子を組み込むことで画期的な変異株の生成に成功する。

博士が選んだ生物とはヒル(蛭)だった。ヒルは寄生・捕食を繰り返し急速に繁殖する生物であり、そのDNAを取り込んだウィルスは感染対象の肉体肥大化・知能向上・擬態能力など奇妙な効果を示した。

この成果に手応えを得たマーカスはさらに研究を重ね、1978年1月13日、ついに新種ウィルスの完成を宣言する。これが後に「T-ウィルス第1号」と呼ばれる最初のt-ウィルスであった。

名前の“T”は開発目的である「タイラント(暴君)」に由来し、完成当初は緑色の培養液として保管されている。

しかし栄光も束の間、開発直後に何者か(スペンサーの差し金と推測)により研究データを盗み出されてしまう。それでもマーカスは独自に研究を続け、2月には自身のヒル実験体にt-ウィルスを投与して暴走・共食い・擬態などのさらなる変異を観察し、着実に知見を深めて行った。

一方、野心家のスペンサーはマーカスの成果を横取りすべく暗躍する。彼は密かに若き研究員アルバート・ウェスカーウィリアム・バーキンに命じてマーカスの研究資料とサンプルを入手させ、自らの管理下に置く。

アンブレラ幹部養成所は1978年7月に閉鎖が決定し、マーカスの教え子であったウェスカー(18歳)とバーキン(16歳)はアークレイ研究所(洋館地下研究所)へ転属される。このアークレイ研究所こそ、スペンサー直轄のt-ウィルス本格開発拠点だった。

マーカスが築いた基礎を引き継いだバーキンら研究員は、様々な強力ウィルス(エボラ出血熱ウィルスなど)の遺伝子も参考にしながらt-ウィルス改良を進めて行く。マーカス博士本人は表舞台から外される形となったが、養成所跡地に潜伏してなお独自に研究を続行していた (この執念が後に思わぬ事件を招くことになる)。

ウィルス研究とB.O.W.開発の進展

ウェスカーとウィリアム

アークレイ研究所に移ったウィリアム・バーキンらの手で、t-ウィルス計画は飛躍的に進展して行った。

1981年頃までにt-ウィルスは安定してゾンビの量産が可能となり、計画は第2段階へ移行する。バーキンは当時まだ10代の若さながら、「単にゾンビを発生させるだけでは軍事兵器にならない。より戦闘能力の高い生物兵器を作るべきだ」と発想し、ハンター計画を提案する。

前述のようにハンターは人間と爬虫類の遺伝子を組み合わせて生まれたB.O.W.であり、1981年に最初のプロトタイプが完成する。ハンターは高い身体能力で非感染の生存者(免疫保有者)を抹殺できるため、t-ウィルス兵器の弱点(感染を免れる者の存在)を補完するものとして位置づけられた。

このようにしてアンブレラはゾンビ化+B.O.W.投入による「100%殲滅」の生物兵器プランを着々と整えていったのである。

1980年代後半になると、計画は第3段階へと移行しました 。目標は高度な知能と統制力を備えた「究極のB.O.W.」=タイラントの開発である。しかしここで大きな問題が発覚する。

t-ウィルスを投与しても大半の人間はゾンビ止まりで、ごく稀な遺伝的適合者だけがタイラントのような高度変異を遂げることが判明したのである。しかも適合者でも劇的な肉体変化に耐えられず死亡する例が多発し、安定したタイラントを作り出すことは当時ほとんど不可能だった。

この“暴君”計画の壁を打破するため、研究所スタッフは改良型ウィルス株の開発と適合資質を持つ被験者の確保に動く。

1988年7月1日、t-ウィルス研究はついに最終フェーズであるタイラント創造の段階に入ったと報告された。世界各地から集められた死刑囚戦争犯罪人などが被験体として投入され、バーキンらは変異促進用にエボラウィルスを組み込んだt-ウィルスβ株を開発するなど様々な試行を重ねる。

度重なる人体実験でクリーチャー化したリサ・トレヴァー

同年、アンブレラ欧州支部ではネメシス計画(寄生生物を用いて知能を向上させる研究)も始動し、その成果である寄生体NE-αが極秘裏にアークレイ研究所へ提供された。

研究スタッフはNE-α寄生体を適合者リサ・トレヴァーに投与する実験も行うが、寄生体はリサの体内で逆に捕食され失敗する。しかし、この過程でリサから新たな変異ウィルスが検出され、バーキンはそれをもとにG-ウィルスという次世代ウィルスの構想を得るに至った(G-ウィルスについての詳細説明は本記事の範囲外とする)。

タイラント計画の傍らで、アンブレラ社内の勢力争いも動いていた。スペンサーは野望の具現化に不要になった共同創設者たちを次々と排除しており、1968年にはエドワード・アシュフォード卿が研究中の事故で死亡(実際はスペンサーの策略)している。

そして1988年、スペンサーはついに旧友マーカス博士の暗殺を決行。アークレイ研究所移籍後も執念で研究を続けていたマーカスは、洋館地下にてウェスカーとバーキンの奇襲を受け命を落とす。遺体は廃棄され表向き計画から抹消されたが、マーカスの死は彼を慕っていた元助手のブランドンを失意に沈め、またウェスカーとバーキンにも少なからぬ影を落とした。

バーキンは上司マーカス殺しへの罪悪感からかG-ウィルス開発にのめり込み、ウェスカーはスペンサーへの不信を募らせて行く。

後年判明したところによれば、ウェスカーはマーカス暗殺の前後にスペンサー卿の真の目的を察知していたようだ。「t-ウィルス計画は単なる手段であり、スペンサーの究極の狙いは別にある…」ウェスカーはそう直感し、自らも新たな道を模索し始めた。

プロジェクトWとt-ウィルス

アンブレラ設立者オズウェル・E・スペンサーの真の野望とは、「選ばれた人類による新世界の創造」だった。彼はウィルスを使って人類を進化させ、自ら神となることを夢見ており、そのための長期計画をいくつも水面下で進めていた。

中でも極秘裏に実行されたのが「プロジェクトW(W計画)」である。この計画はスペンサー卿が各国から優秀な子供達を集め、自身の姓“ウェスカー”を与えて養育・管理し、いずれウィルス投与によって新人類を生み出そうとした壮大な育成計画だった。

数十名規模で開始されたプロジェクトWだが、生体実験に耐えられた被験者はわずかに2名──アルバート・ウェスカーアレックス・ウェスカーのみだったと言われている。彼らはスペンサーの思想を色濃く受け継ぎつつ成長し、やがてアンブレラ社内でも重要な地位を占めることになる。

t-ウィルスとの関連で言えば、プロジェクトWはt-ウィルス計画の裏で進行していた目的そのものとも言える。スペンサーはタイラント等のB.O.W.販売で得た莫大な資金を、このウェスカー計画など自身の理想実現に投じる算段だった

またt-ウィルス研究の過程そのものも、最終的には選ばれた適合者のみが力を得て生き残る世界を作り出す予行ともみなせる。

事実、アルバート・ウェスカーは1998年の洋館事件に際し、密かにt-ウィルスの試作品を自身に投与して“進化”を遂げた。これは同僚バーキンから密かに受け取っていた特殊なウィルスで、死の偽装を経てウェスカーを超人的な存在へ蘇らせたものである。

スペンサー卿は「真に選ばれた者だけがウィルスに適応し神となる」と信じていたが、ウェスカーは正にそれを体現してみせたと言えるだろう。皮肉にもウェスカーはその後アンブレラを裏切り、スペンサーをも粛清してしまうが、こうした暗闘の背景にはアンブレラ創設者達の理念とウィルス研究が複雑に絡み合っていた。

なお、t-ウィルス開発の過程で生まれた試作ウィルスや派生ウィルスにも触れておこう。代表的なものが始祖ウィルス(プロジェニターウィルス)。これは上述したt-ウィルスのベースとなるウィルスで、単体でも感染者をゾンビ化に近い状態へ変異させる強力な作用があるが、基本的には宿主を死亡させてしまうため制御が難しい代物だった。

t-ウィルスはこの始祖ウィルスに他種の遺伝子を組み込み弱毒化と変異誘発のバランスを取ったものであり、いわば「始祖ウィルスの改良型」とも言える。

アレクシア・アシュフォード

また、アンブレラのもう一人の創設者エドワード・アシュフォード卿の一族(孫のアレクシア・アシュフォード)は独自にt- Veronica(ティーベロニカ)ウィルスという派生株も生み出した。

これは始祖ウィルスに女王アリの遺伝子を組み合わせたウィルスで、15年の冷凍睡眠を経て感染者と完全融合するという特殊なプロセスを必要とするものだった。t-ウィルスとは別系統ながら、同じ始祖ウィルス由来の「暴君ウィルス」の一種と言える。

他にもバーキンが開発したG-ウィルスはt-ウィルスと始祖ウィルスの研究副産物から生まれ、後年にはt-ウィルスと他の病原体を融合させたt-ウィルス系統の派生種(例:t+G、t-Abyss、t-Phobosなど)も登場している。

これらは本記事の主題から外れるため詳細は割愛するが、t-ウィルスは始祖ウィルスを起点とする「ウィルス進化系譜」の中心に位置しており、数多くの派生・後継ウィルスの礎となった。

コウ
コウ

「プロジェクトW」ってバイオ5からできた設定のはずだけど、「これはちょっと無理やりだよな…」的な感情を今でも感じてる(笑)後付け感が強いんだよなぁ。まぁバイオシリーズって常に後付けストーリーではあるが。

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t-ウィルスの歴史年表

最後に、公式設定やゲーム本編の出来事に基づき、t-ウィルスにまつわる主な出来事を年代順に振り返っていこう(※一部シリーズのネタバレを含む)。

1960年代

  • 1966年
    • オズウェル・E・スペンサー卿エドワード・アシュフォード卿ジェームス・マーカス博士の3名が西アフリカの奥地で始祖ウィルスを発見 。スペンサーはこの成果に着想を得て新人類創造を計画し始める 。
  • 1968年
    • スペンサーらがアンブレラ社を創設し、本格的にウィルス兵器開発を始動 。スペンサーは共同創設者アシュフォード卿を暗殺(始祖ウィルス漏洩事故を偽装)し、アンブレラを独裁的に掌握 。
    • 同年、アークレイ山地に幹部養成所(マーカス所長)と研究施設を開設。マーカス博士が始祖ウィルス研究を継続する。

1970年代

  • 1977年9月
    • マーカス博士、始祖ウィルスにヒルのDNAを組み込み新種ウィルスの開発に成功(後のt-ウィルス) 。
    • アンブレラ幹部候補生のアルバート・ウェスカー(17歳)とウィリアム・バーキン(16歳)が研究員としてマーカスの元に配属される 。
  • 1978年1月13日
    • マーカス博士が「T-ウィルス第1号」の完成を宣言 。直後に研究資料が盗まれ、博士はスペンサーの介入を疑う 。
  • 1978年7月
    • アンブレラ上層部が幹部養成所の閉鎖を決定。ウェスカーとバーキンら若手研究員は洋館地下のアークレイ研究所に異動し、t-ウィルス研究もそちらへ移管される。
    • マーカス博士は表向き左遷された形となるが、閉鎖された養成所地下で密かに独自研究を継続。
  • 1978年後半
    • スペンサー直属のアークレイ研究所でt-ウィルス大量生産とB.O.W.試作が本格化。バーキンはエボラウィルスのRNAを組み込んだt-ウィルスβ株を開発し感染力向上を図る。
    • 同時期、スペンサー卿が世界中から優秀な子供を集め「プロジェクトW(ウェスカー計画)」を極秘裏に始動 。アルバート・ウェスカーを含む被験者達に偽名“ウェスカー”を与え、将来のウィルス投与実験に備えて教育・監視下に置く。

1980年代

  • 1981年
    • t-ウィルス研究が第2段階に進み、感染実験の結果「ゾンビ」化バイオ兵器の製造は安定段階に入る。しかし約10%の人間にゾンビ化しない免疫保有者が存在することが判明し、バーキンは免疫者を殲滅できる戦闘生物兵器の必要性を提言。
    • 爬虫類の特性を取り入れた対人B.O.W.ハンターを考案し、試作型の製造に着手。
    • アンブレラ南極基地では10歳の天才少女アレクシア・アシュフォードが主任研究員となり、父アレクサンダーの遺したウィルス研究を引き継ぐ。
  • 1983年
    • アレクシア、始祖ウィルスに女王アリの遺伝子を組み合わせたt-Veronicaウィルスを完成させ、父に投与実験を実施。しかし実験は失敗し、アレクシアはウィルスと融合するため自ら15年間のコールドスリープに入る (ゲーム『CODE: Veronica』の背景設定)。
  • 1988年
    • スペンサーの命令によりウェスカーとバーキンがジェームス・マーカス博士を暗殺。マーカスの死で始祖ウィルスの発見者全員がスペンサーの下を去り、アンブレラはスペンサー独裁体制となる。
    • 7月、t-ウィルス計画が第3段階(タイラント計画)に突入。適合者の希少さを克服すべく、新株t-ε株の研究や有望な被験者のスカウトが進められる。
    • アンブレラ欧州第6研究所でネメシス寄生生物が開発され、アークレイ研究所へ提供。被験者リサ・トレヴァーへの寄生実験を実施するも失敗するが、この過程で新たな突然変異株(後のG-ウィルス)が発見される。
    • バーキンはスペンサーからG-ウィルス開発の正式承認を得て、次世代ウィルス研究に本格着手。
    • 同年、ウェスカーはアンブレラ内部の権力闘争に見切りをつけ、研究部門から情報部門へと異動してスペンサーの元を離れる。

1990年代前半

  • 1991年
    • アンブレラがアメリカ中西部ラクーンシティ郊外に地下研究所(通称NEST)の建設を開始。
    • バーキンは主任研究員としてG-ウィルス開発のためラクーンシティ地下研究所へ赴任し、以降は表向きt-ウィルス計画から離脱。しかしアークレイ研究所ではバーキン不在後もタイラント製造を継続し、T-002型タイラント(洋館地下で養成中の個体)の培養が進められる。
  • 1996年
    • アークレイ研究所でタイラントT-002が完成間近となる。身長約8.7フィート(262cm)の巨体に強力な爪と心臓露出という異様な姿であり、人間大のB.O.W.としては初の成功例となった。
    • 同年、洋館を管理する人工知能「レッドクイーン」をアンブレラが稼働させ、研究データの集中管理が開始される(※レッドクイーンはゲーム『UC』に設定のみ登場)。

1998年

  • 5月
    • 長年幽閉され実験台にされていたリサ・トレヴァーが暴走し、アークレイ研究所付近で小規模なウィルス漏洩事故が発生(洋館事件の前兆) 。森で奇妙な猟奇殺人事件が頻発し、地元警察が調査を開始。
  • 7月23日
    • ラクーン市警の特殊部隊S.T.A.R.S.ブラヴォーチームがアークレイ山地へ捜索に向かうが消息不明となる。
    • ブラヴォー隊員レベッカ・チェンバースは洋館近くの施設で復活したマーカス博士(ヒルの集合体)と遭遇し、アンブレラ幹部養成所跡での一連の事件(ゲーム『0』の舞台)を生き延びる 。
  • 7月24日
    • S.T.A.R.S.アルファチームが洋館(アークレイ研究所)に突入し、洋館事件(ゲーム『1』)が発生。隊員らは無数のゾンビやクリーチャーに襲われ、多数が犠牲に。
    • ウェスカー隊長は自らT-002タイラントを解放し部下を始末しようと画策するが、タイラントに裏切られ自らも致命傷を負う。しかし事前に投与していた試作ウィルスによってウェスカーは仮死状態から蘇生し、密かに現場から離脱 。
    • S.T.A.R.S.生存者のクリス・レッドフィールドらはタイラントをヘリポートで迎撃しこれを爆破、洋館もろとも研究施設を完全に破壊した。
    • 事件後、ウェスカーはアンブレラに死亡を偽装し、同僚だったエイダ・ウォンらと接触して独自の行動を開始する。
    • アンブレラ側は調査員ニコライによる報告書で「t-ウィルス漏洩なし、ウェスカー死亡」とこの事件を誤認識し、事態を過小評価した。
  • 8月
    • 洋館事件の生存者クリスとジルは警察やメディアにアンブレラの違法実験を訴えるも信用されず。クリスは単独でヨーロッパのアンブレラ本部調査に乗り出す決意を固め、仲間のレオン・S・ケネディの協力も得て渡欧する(ゲーム『UC』エピソード「エージェント記録」) 。
    • ジルはラクーン市に残り独自に裏付け捜査を続行。一方、アンブレラ社内ではウェスカーの裏切りが発覚し、スペンサー配下のアレックス・ウェスカーが極秘に「プロジェクトW報告書」を執筆する。この報告書にはウェスカー計画の経緯や対象者の動向がまとめられていたとされる(ゲーム『Revelations 2』のファイルより)。
  • 9月下旬
    • ウィリアム・バーキン博士がG-ウィルス完成目前となり、アンブレラ本社は特殊部隊を派遣してG-ウィルスおよびバーキンの身柄回収を図る。バーキンは襲撃を受け重傷を負うも、自らG-ウィルスを投与して怪物と化し逃走。
    • その際、下水道に大量のt-ウィルスが流出し、市内のネズミを媒介にラクーンシティ全域へ感染が拡大してしまう。
    • 9月下旬から9月末にかけてラクーン市内は瞬く間に地獄と化し、市民の大半がゾンビ化。警察署も陥落し、街は無法地帯となった(ゲーム『Outbreak』『2』『3』の舞台)。
  • 9月29日
    • ラクーンシティ警察署に生存者の新人警官レオン・S・ケネディとクリスの妹クレア・レッドフィールドが到着(ゲーム『2』開始時点)。ふたりは警察署や地下研究所を経てバーキン変異体を退け、10月1日に町から脱出する。
    • 同時期、ジル・バレンタインもラクーンシティで孤独に生き延びていたが、アンブレラ傭兵部隊U.B.C.S.隊員カルロス・オリヴェイラらと合流し脱出を図る(ゲーム『3』)。
    • ジルはアンブレラ欧州製の生物兵器ネメシス-T型(タイラントに寄生体を植え付けた追跡者)に執拗に狙われるも、幾度も撃退に成功 。10月1日未明、彼女たちはラクーン公害対策委員会による救援ヘリに拾われ、市外へ脱出した。
  • 10月1日
    • 未曽有の生物災害に政府は極秘裏に決断を下す。早朝、ラクーンシティに向けて核ミサイルが発射され、市街地は徹底的に爆炎で浄化された。
    • こうしてラクーンシティは地図上から消滅し、生存者はごくわずかしかいない惨劇となった(ラクーンシティ壊滅事件) 。
    • 事件後、米政府は公式に「核廃棄物処理施設の事故による消毒作戦」と発表し真相を隠蔽。しかしジャーナリストの調査や生存者の証言により徐々にアンブレラの関与が明るみになり、同社は世界的非難を浴びることとなる 。
  • 1998年末~1999年
    • ラクーン事件の影響でアンブレラ社は株価暴落・経営悪化に陥る。各国政府による業務停止命令や訴訟が相次ぎ、事実上壊滅状態となる(ゲーム『UC』エピローグ)。
    • 残党勢力はウィルスやB.O.W.をテロリストに闇取引するなど細々と存続を図るが、もはや巨大企業としての力は失われた。

以上、t-ウィルスについて、その性能・開発の歴史・事件の経緯を詳しく解説しました。

アンブレラ社の野望から生まれたこのウィルスは、シリーズを通じて多くの悲劇と脅威をもたらした。その強力すぎる感染力と変異効果は一度暴走すれば手が付けられず、まさに「人類が生み出した最悪の災厄」と言えるだろう。

しかし同時に、このウィルスとそれに立ち向かう登場人物たちの物語こそがバイオハザードシリーズの核でもある。

今後もシリーズ作品内で語られるt-ウィルスのエピソードや設定に注目しつつ、引き続き生物兵器の恐怖と戦いのドラマを見届けて行こう。

その他のウィルス解説もお楽しみに!!

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