皆様、こんにちは!
皆さんは『転売ヤー』という言葉を耳にしたことがありますか?
「転売ヤー」とは、商品を自分で使う目的ではなく、需要が高い商品を買い占め、定価より高い価格で転売して利益を得る人を指す俗称である。
この方々による転売ブームが近年深刻化しており、ゲーム業界だけでなく、多方面に侵食している。故に「本当に欲しい人が定価で買えない」という不健全な事態が続いている。
きっとこの記事にたどり着いたあなたは、そんな転売に対して嫌気や憤りを感じていることだろう、、、。
そこで本記事では、転売問題の背景に潜む大きな要因を分析し、客観的な視点から解説して行こうと思う。
第1章:転売ブームが起きた背景

なぜゲーム機の転売がここまで流行したのだろうか?
背景には、発売当初の深刻な供給不足や限定販売、需要の急増など複数の要因が重なっている。
発売直後の品薄と需要過多

PS5は2020年11月の発売直後から世界的な人気に対し供給が追い付かず、深刻な品薄状態が続いた。
日本国内でも発売直後25万台以上が販売された一方で、対応ソフト販売本数はそれを大きく下回り、転売目的の購入が少なくなかったと推測されている。
任天堂のNintendo Switch(初代)も2017年3月発売時から長期にわたり品薄となり 、特に2020年前後の「巣ごもり需要」で需要が急増した際には、中古品ですら定価の1.5~3倍という高値で取引される事態となった。
このように「欲しい人に行き渡らない」状況が、転売が横行する土壌となった。
半導体不足と物流の乱れ

PS5の品薄要因には、当時の世界的な半導体不足やコロナ禍での生産・流通の停滞も影響した。
製造部品の調達難や輸送遅延が重なり、生産台数が需要に追いつかない状態が1年以上続いたのである。
その結果、「正規店では買えないのにフリマでは高額出品が相次ぐ」という状況が生まれ、ユーザーの不満を高めた。
限定販売と話題性
人気ハードの初回出荷が少なかったり、抽選販売が採用されることで一層入手困難になるケースも見られた。販売方法を抽選にすると外れた多数のユーザーの購買欲が残り、そこに転売ヤーが付け入る隙が生まれる。
また「限定〇〇台」「○○限定セット」といった謳い文句は希少価値を生み、転売市場で高値を付ける要因になる。
企業側としては需要に応じ生産を増やしたいところだが、計画生産のズレや予想を超える人気ぶりで供給不足となり、結果として話題性が先行してしまうケースもあった。
インターネットの発達と転売の容易さ

昨今ではメルカリやヤフオク!などオンラインフリマやオークションサイトが普及し、個人が簡単に売買できる環境が整っている。
人気商品が入手困難な状況下では「定価で買えたら即出品すれば利益が出る」という図式が成立し、一般層まで転売に手を出しやすくなった。実際、PS5発売当時には「5万5千円で買ったPS5がすぐ8万円以上で売れる。確実に稼げる商品だ」という転売業者の証言も報じられている。
こうした転売益の誘惑が、多くの人々(中には普通の学生や主婦まで)を転売行為に駆り立てた。
また、人気商品の在庫情報を察知して自動購入する「ボット(BOT)」というプログラムを駆使する組織的転売集団も登場し、一般ユーザーが太刀打ちできないスピードで商品を買い占める事例も指摘されている。
以上のような背景により、ゲーム機の発売初期には供給不足と需要過多が生まれ、「安く買って高く売る」典型的な転売ビジネスの格好の舞台が整ってしまった。
第2章:近年、転売ヤーの標的となった主なゲーム機・ソフト
実際にどのような製品が転売の対象になったのでしょうか?
ここでは、転売ヤーに狙われた代表的なゲーム機やゲームソフトの例を紹介していく。
PlayStation 5(PS5)

ソニーの家庭用ゲーム機「PS5」は、2020年11月の発売直後から現在に至るまで転売ヤーの格好の標的となっている。
希望小売価格はディスクドライブ搭載モデルで約5万5千円(税込)だったが、発売当初は品薄に乗じて8~10万円もの高値で売買されていた。
実際、発売から年末にかけ秋葉原の買取ショップでは1台7~8万円の買取価格が提示され、年末商戦時には10万円で購入されるケースもあったという。

筆者もPS5が本当に欲しくて、相場推移をよく調べてたんだけど、メルカリでは本当に10万円台でもぽんぽん売れてて驚いた。定価の約2倍の値段で買うのはあまりにも勿体なさすぎる。
その後も長らく供給不足が続いたため、フリマアプリ上では定価の2倍前後が常態化し、本体やコントローラーが定価の二倍近い値段で取引される状況が見られた。
PS5は高度なグラフィック性能や話題性から国内外で需要が高かったことに加え、当時の半導体不足で生産が追いつかなかったことが重なり、「確実に稼げる商品」として大量購入・高額転売の対象になったのである。
Nintendo Switch(初代)とSwitch関連商品

任天堂の「Nintendo Switch」初代モデルも、2017年の発売当初から約8ヶ月にわたり慢性的な品薄が続いた。定価約3万円に対し転売価格は一時最大で約8万円(約2.7倍)にまで高騰したとのデータもある。
特に発売翌年の2018年頃までは需要が供給を大幅に上回り、ネット上では「Switch難民」「転売屋からは買うな」といった声が飛び交っていた。
また2020年にはコロナ禍の影響で急激な巣ごもり需要が発生し、任天堂が増産を発表するまで新品はおろか中古品ですら定価の1.5~3倍もの価格で売買される「転売地獄」と呼ばれる状況が発生した。

筆者は普通にTSUTAYAで見つけて買いました(笑)
加えて、Switch関連では特定ソフト同梱版や限定カラーのJoy-Conなども人気化するとすぐプレミア価格となりがちだった。
例えば、人気ゲームと本体がセットになった限定版Switchは、公式在庫切れ後にフリマサイトで定価を大幅に上回る価格で取引される例が多数見受けられた。
Nintendo Switch 2(次世代機)

2025年に発売された新型「Nintendo Switch 2」も、発売直後から転売の対象となった。任天堂は初期出荷分について公式オンラインストアや量販店で抽選予約制を導入し、正規ユーザーに行き渡るよう工夫を凝らした。
さらに発売日に先立つ2025年5月27日には、フリマ大手3社(メルカリ、Yahoo!オークション/フリマ、楽天ラクマ)との協力による不正出品防止策まで発表。具体的には「Yahoo!オークション」「Yahoo!フリマ」ではSwitch2本体の発売日から当面の出品を禁止し、メルカリやラクマでも高額出品や不正な出品の削除などで連携するとした。
こうした事前策にもかかわらず、発売日当日にはメルカリで定価4万9980円のSwitch2が軒並み7万円前後で出品され、即座に売れていく事態が確認されている。
SNS上では「結局メルカリは抜け穴だらけ」「発売日に転売地獄」と批判が殺到。発売直後の高騰は一時的なものとはいえ、Switch2もまた転売ヤーのターゲットとなった代表例と言える。

メルカリ側から出品が削除されてもすぐに出品という地獄絵図のような戦いが繰り広げられていた。金の亡者ってすごい。
限定版ゲームソフト・コレクターズエディション

ハードだけでなく、限定版のゲームソフトやコレクターズエディションも転売ヤーに狙われがち。人気シリーズの限定生産パッケージ(フィギュアやアートブック同梱版など)は予約開始と同時に完売し、その直後にフリマサイトへ定価以上で出品されることが珍しくない。
近年問題となったのは、新作ゲームソフトが発売直後に定価を大きく上回る価格で出品されるケース。たとえば人気RPGのコレクターズBOXが抽選販売で完売後、ネット上で倍額以上の値が付く、といった事例が各所で報告されている。
こうした状況を受け、LINEヤフー株式会社(ヤフオク!運営)は2025年11月より「新作ゲームソフトの発売直後1ヶ月間は定価超えの出品禁止」というルールを導入する方針を打ち出した。発売日直後に定価以上の値段でソフトを転売できないようにする初の試みであり、限定版ソフトの高額転売対策として注目されている。
このように、「品薄×高需要」の状況が生まれるゲーム機本体や限定版ソフトは、例外なく転売ヤーの標的となって行った。人気ハード(PS5やSwitch系)はもちろん、話題作の限定版・グッズに至るまで、高リセールバリューが見込めるものは何でも狙われるのが実情である。
第3章:転売ブームの問題点
それでは、ゲーム機転売ブームにはどのような問題があるのだろうか?主な問題点を整理してみよう。
価格の高騰とユーザー負担

転売によって市場価格が吊り上げられることで、本来であれば定価で買えるはずの商品が数倍の値段になり、一般ユーザーが手を出しにくくなる。
例えば、PS5では定価5~6万円の商品が10万円前後になり、Nintendo Switchも一時は定価の2~3倍に跳ね上がった。
これにより、「お金を積まなければ買えない」状態が発生し、経済的に余裕のないファンや子供へのプレゼントを望む家庭ほど大きな負担を強いられる。
実際、「子どもの誕生日に間に合わず、泣く泣く8万円で中古Switchを購入した」という親御さんの嘆きも報じられている。ユーザー側の経済的・精神的負担増は、転売ブームの最も直接的な弊害と言える。
公平な購入機会の喪失
本来、人気商品であっても適正に抽選販売や先着販売が行われれば誰にでも入手チャンスがある。しかし転売ヤーが組織的に買い占めを行うと、一般ユーザーの当選確率や購入機会が著しく低下する。
「抽選に20回連続で外れ、結局転売品に手を出した」という声や、「発売日に店頭に並んだけど買えず、帰宅後ネットで倍額購入した」という例もよく聞かれる。購入機会の不公平感はユーザーのフラストレーションを高め、メーカーや販売店への不信感にも繋がる。
偽物・詐欺の横行
入手困難な商品には便乗した詐欺行為も発生しがち。
実際にPS5発売当初、X(当時はTwitter)で「定価以下で譲ります」と個人間取引を持ち掛け金銭をだまし取る詐欺未遂事件が起きたとの報告もある。
またフリマアプリ上でも、空箱だけを出品して本体と誤認させる悪質なケースや、海外版・偽物のコントローラーを正規品と偽って売る例などが見られた。
公式販売ルート以外で高額商品を買わざるを得ない状況は、このような詐欺被害リスクも伴う。

こういう「早く欲しい!!」という焦りが出てると冷静な判断ができないものである。
メーカー・業界への影響
転売ブームはメーカーやゲーム業界にも負の影響を及ぼす。第一に、ブランドイメージの低下がある。品薄が長引くと「メーカーがわざと出荷絞って高値転売を許しているのでは」といった根拠のない憶測まで呼び 、ユーザーの不満が企業イメージを損なう恐れがある。
第二に、ソフトウェアの販売機会損失。本来ハードがユーザーの手に渡ればソフトや周辺機器が売れていくところ、倉庫に積まれたまま転売待ちの本体や海外に流出した本体はその地域でのソフト販売に繋がらなくなる。
事実、PS5は発売直後、国内本体販売台数に比してゲームソフト販売本数が極端に少なく、「肝心のゲームが売れていない」と分析された。これは国内向け本体が転売目的で国外に流れたり、実際にはプレイされていなかったことを示唆している。
また、ユーザー離れの懸念もある。欲しくても正規に買えない状態が続けば、ユーザーは興味を失ったり競合サービスに流れてしまう可能性がある。こうした点で業界全体の健全な発展を阻害する要因とも言えるだろう。
小売店・流通へのしわ寄せ
転売対策の負担は主に小売店側にかかっている。後述するように各店舗は抽選販売の実施や購入制限、本人確認など様々な対策を講じているが、そのために追加の人件費やシステム対応コストが発生する。
また、店頭販売時に発生する混乱(行列や買い占めを巡るトラブル)も、現場の小売店スタッフにとって大きな負担である。2021年1月には秋葉原ヨドバシカメラでPS5販売をめぐり客が殺到し、一時騒然となる事態があった。
このように転売ブームは販売現場の混乱も招き、末端の流通現場にも影響を与えている。
以上のような問題点から、ゲーム機の高額転売は単なる個人間取引以上にユーザーの体験や業界健全性を阻害する深刻な課題となっている。
第4章:転売ブームが社会に与えた影響

ゲーム機転売の流行に対し、社会全体でも様々な動きが見られるようになった。小売店の対応策から政府の介入、コミュニティでの反応まで、その影響を追ってみよう。
小売店による転売対策
多くの小売店が、転売を防ぐため独自の工夫を凝らした。代表的な対策としては以下のようなものがある。
抽選販売の徹底
店頭での先着販売にすると転売目的の買い占めや行列混乱が起きやすいため、PS5やSwitchの販売では発売直後からほぼ全ての主要販売店が抽選販売を採用した。
ネットや専用アプリで応募・当選者のみ購入できる方式により、転売ヤーの大量購入をある程度抑制している。
2025年発売のSwitch2でも任天堂公式をはじめ各量販店が抽選予約制とし、応募条件を付与することで「正当なファンが定価で買える」機会を作ろうとした。
購入条件の設定
一部店舗では購入者に独自の条件を課した。例として、エディオンではPS5購入に自社クレジットカード会員であること(年会費有・PS5購入履歴が無いこと)を条件とし 、ヨドバシカメラやビックカメラでも自社のポイントカード会員・クレジットカード決済限定といった措置が取られた。
これにより転売グループが組織的に買い漁るハードルを上げる狙いがある。
もっとも、前述のように代理購入アルバイト(条件を満たす第三者に報酬を払い代わりに買わせる手口)で抜け道を図る転売組織も現れており 、イタチごっこの様相も呈している。
本人確認と購入数制限:
転売ヤーの複数購入を防ぐため、「一人一台限り」「一家族一台まで」といった制限は業界標準になった。
加えて、抽選応募時や店頭受取時に運転免許証などで本人確認を行い、不正な複数応募・購入を排除する動きもある。
また、店舗によっては購入履歴をデータベース化し、過去に当選・購入した人の再購入を一定期間禁止する仕組みも導入されている。
これらは地道ながら転売屋の常套手段である「複数名義・多重応募」を防ぐ効果がある。
商品の転売防止加工
特にPS5の販売現場では、商品に手を加えて転売価値を下げるユニークな対策も実施された。
ゲームショップ「ゲオ」は受取時に本体同梱のコントローラー袋にマジックで大きく「×印」を書き込ませる措置を取った。またゲオやTSUTAYAでは、本体外箱に剥がしにくい「開封済シール」を貼付して販売する対応も行われている。
このシールはメーカーであるソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)自らが配布したもので、未開封の新品ではないことを示すことで転売時の価値を下げる狙いがある。
さらに家電量販店ノジマでは、PS5購入者に本体外箱へ油性ペンで氏名を書かせた例もあった。これは中国など海外への横流し防止策として話題になった。
こうした物理的・視覚的な転売対策は、商品価値の棄損を伴うため賛否もありますが、「そこまでしないと転売が防げない」という深刻さを物語っている。
これら小売店の対策は一定の効果を上げたが、絶対的な解決策とは言えない。事実、名前を書かれたPS5やシール付きPS5も、その状態のままメルカリで高額出品されている例が確認されている。
転売ヤー側も「未使用だが箱に名前あり」と断り書きを添えつつ売り抜こうとしており、対策の網をかいくぐる動きが後を絶たないのが現状である。

それでも買うユーザーがいるのがすごい。
政府・業界の規制と協力
ゲーム機転売問題に対し、政府や関係企業も無視できなくなって来ている。法律面ではどうなっているのか、また業界横断的な協力策について見てみよう。
現行法の限界
日本の法律では、商品転売そのものを直接禁止する規定は基本的に存在しない。
チケット転売については2019年施行の「チケット不正転売禁止法」で規制されているが、ゲーム機や家電製品は対象外。一部に「古物営業法」で許可なく中古品売買を業とすれば処罰可能という見解もあるが、新品を一度個人で購入して転売する行為自体は原則合法とされている。
そのため「法律で転売ヤーを取り締まってほしい」という世論があっても、現行法では動きづらいのが実情。ただし社会問題化を受け、国会でも転売問題が議論されたことがあり、一定のガイドライン策定や業界への要請が検討された経緯はある。
メーカー・プラットフォームの協力
法規制が難しい中、業界の自主的連携による転売抑止策が打ち出された。前述のように任天堂はSwitch2発売に際し、メルカリ・ヤフー・楽天という国内主要フリマプラットフォーム3社と協力して不正出品の削除や情報共有を行うことで合意している。
具体策として、ヤフオクとヤフーフリマではSwitch2本体の当面の出品禁止、メルカリでも極端な高額出品に注意喚起表示を行うなどの対応が取られた。
さらに2025年11月からは、LINEヤフー社が前述のとおり新作ゲームソフトの定価超え出品禁止措置を導入し、これは「二次流通市場で初めての取り組み」と報じられている。
メルカリも当初は「市場の健全な発展」という観点から出品禁止に慎重だったが、Switch2転売騒動で批判を受け方針転換し、高額転売品に対しては出品禁止も含めた対応を取る新方針を示した。
このようにプラットフォーマー側が動き始めたことは、転売問題への社会的認識が深まりつつある証と言える。
競争法との兼ね合い
一方で、メーカー自らが転売を強権的に抑え込むことには法的なハードルも存在する。日本には独占禁止法(競争法)があり、企業が市場流通や価格形成を過度に支配する行為を禁じている。
例えば、SIE(ソニー)が「PS5を会員以外には売らない」「転売目的には販売しない」といった措置を厳格に行うと、自由競争の阻害と見なされる可能性があると指摘されている。
そのためメーカーができることは限られ、前述のような開封済シール配布など間接的な策に留まっているという事情もある。この問題は海外でも同様で、各国に競争法が存在する以上、「メーカーによる転売対策は難しい」というジレンマがある。
コミュニティ・ユーザーの反応
SNSでの批判と炎上
転売ヤーに対するユーザーの視線は極めて厳しく、「転売ヤー」という言葉自体が侮蔑的ニュアンスで使われるほど。PS5やSwitchの品薄期にはXのトレンドに「#転売ヤー許すな」「メルカリ」「○○(商品名)買えない」といった関連ワードが何度も浮上し、多くの怒りの声が投稿された。
「本当に欲しい人が買えないのはおかしい」「目先の金儲けでユーザーの楽しみを奪うな」といった正論はもちろん、中には過激な表現で転売屋を非難する書き込みも散見され、ネット上で炎上状態になることもあった。
転売ヤーへの嘲笑と自己責任論
皮肉なことに、2023年以降PS5などの供給が潤沢になると、今度は「在庫を抱えた転売ヤー」たちがネット民の笑い種にされる場面も出て来た。
SNSでは「完全にザマァ案件」といった痛烈なコメントが飛び交い 、「価格崩壊ざまぁみろ」「自業自得だ」といった嘲笑が見られた。
さらに「ここで在庫を買い叩いたら彼らの資金源になる。転売品は絶対買うな」と、転売ヤー根絶のため不買を呼びかける声も上がっていたりもする。ユーザー側でも「転売からは買わない」というモラルが徐々に共有され始めており、コミュニティ全体で転売を許さない雰囲気が醸成されつつある。
情報共有と支え合い
転売に対抗するため、ユーザー同士で正規ルートでの購入情報を共有する動きも盛んである。
「○○店で抽選やってる」「△日のオンライン販売で買えた」といったリアルタイムの在庫情報がTwitterや掲示板で飛び交い、転売から買わず正規にゲットするための知恵が交換されている。
また、有志が在庫入荷通知ツールを作成したり、抽選応募のコツをまとめたブログが人気になるなど、ファン同士で協力して転売に頼らず購入するための工夫も見られる。これは企業や政府の対策とは別に、ユーザーコミュニティによる自衛策と言えるだろう。
このように転売ブームは、消費者側にも強い感情的反発や行動の変化を促した。購入できなかった悔しさや、転売屋への怒りが原動力となり、「絶対に転売品は買わない」「地道に抽選に挑む」といった姿勢が広がっている点は、今後の転売対策にも少なからず影響を与えるはずである。
第5章:転売ヤーの代表的な失敗例

一攫千金を狙った転売ヤーたちも、常に成功しているわけではない。需要予測の誤りや企業側の動きによって失敗に終わった例も少なくないのである。ここでは転売で痛い目を見た代表的なケースを紹介して行く。
供給改善による在庫抱え(PS5の例)
2023年に入りPS5の増産が進むと、市場価格は急落し始めた。かつて9万円前後だったフリマ相場が見る見る下がり、2023年4月頃には定価(約6万円)を下回る出品も続出する。
メルカリでは5.5万~5.9万円という新品未使用PS5が複数見られ、いずれも割安なため即売れしていた。つまり転売品の方が安い逆転現象が起きたのである。
これには転売ヤーも大打撃で、仕入れた在庫をさばくため泣く泣く赤字販売に踏み切る者も出た。「値下げしても売れない」「在庫の山で詰んだ」といった声も漏れており 、ネットでは「当然の報いだ」「完全に自業自得(笑)」と嘲笑の的になった。
このケースは供給が安定化すれば転売益は長続きしないことを示す象徴的な例と言える。
プラットフォームでの販売禁止措置
転売ヤーにとってネット市場は生命線だが、そのプラットフォーム自体から締め出しを食らうケースもある。
Switch2発売時にYahoo!オークション・フリマが出品禁止措置を取ったことは前述したが、その他にも明確な規約違反と判断され出品削除・アカウント停止となる事例が増えている。
メルカリでも悪質な高額出品者はガイドライン違反として削除対象となり 、2025年には運営が「安心・安全を損なう場合は出品禁止も辞さない」という方針転換を表明。これは転売ヤーにとって大きなリスクで、在庫を抱えても売る場所がなくなる可能性を意味する。
実際、「プラットフォームに出せない在庫」を抱えた転売業者が、知人や他国のサイトに流すも価値が付かず損失を出したという話も聞かれる。市場そのものから締め出されるリスクは、転売ヤーのビジネスモデルを根底から揺るがす失敗例だろう。
SNSでの大炎上
転売ヤーが自慢したことから批判を浴び、大炎上して撤退に追い込まれた例もある。海外では、英国のとある転売グループが「PS5を2000台確保した」とXで自慢したところ世論の猛反発を受け、アカウントを非公開にする騒ぎが起きた。
日本でも、ある人物がSwitchを大量購入した写真をSNSに上げて自慢したところ、「転売ヤー晒し上げ」として拡散され激しいバッシングに遭ったケースがある。
結果的に本人がアカウント削除に追い込まれるなど、目立ちすぎて炎上することも転売ヤーのリスクである。社会的信用やプライバシーを失いかねないこれらの炎上事例は、「転売は恥ずべき行為」と世間に認識させる一助にもなっている。
戦略ミスによる損失
転売ヤーは常に利益が出る商品ばかり扱えるわけではない。中には価値が下がる製品に手を出して失敗するケースもある。
例えば生産数が読みにくい限定グッズで、実は後日増産が決定して価値暴落、在庫が捌けず赤字…といった事例である。
また、需要を見誤った例として、次世代機発売の噂が出た旧世代機を在庫抱えてしまったり、新型モデル(例えばPS5 Proなど)の需要が想定より低く値下がりして損をしたという話もある。
このように転売自体が必ずしも安定した利益を生むわけではなく、リスクも高いことが徐々に露呈して来た。
以上の失敗例から浮かび上がるのは、転売ビジネスは決して一方的に儲かる楽なものではなく、供給状況や市場の動向に大きく左右される脆い商売だということ。
そして何より、ユーザーや社会の目は厳しく、それ相応のリスクを伴う行為である点が強調されている。
第6章:現在進行中の対策と企業の動き

最後に、転売問題に対して現在どのような対策が講じられているか、企業や関係者の最新の動きをまとめる。
抽選販売と認証強化
転売対策の基本として定着した抽選販売は、今後も主要な手段として継続される見通しである。
任天堂はSwitch2で抽選予約制を導入した際、応募条件に「過去のNintendo Switchソフトプレイ時間が一定以上」などユニークな縛りを加えている。これは転売目的の新規アカウント応募を排除し、既存の正規ユーザーを優先する狙いであった。
また、ソニーも自社通販サイトでPS5の抽選販売を行う際、PlayStation Plus会員や過去の購入履歴を加味した当選優遇を試みている。
さらに、ゲーム機に限らずプレミア商品全般で本人確認の厳格化が進んでおり、メルカリでは2023年より一定額以上の高額取引に本人確認を必須化した。今後も「一人一台」「本人確認」の組み合わせで正規購入者以外を排除する流れが強まることだろう。
プラットフォームでの価格統制
前述のYahoo!オークション・フリマによる新作ゲームソフト定価超え禁止(発売後1ヶ月)のように 、プラットフォーム側で価格統制を行う動きは注目されている。これはゲームソフトに留まらず、今後はゲーム機本体や限定グッズなど他カテゴリにも広がる可能性がある。
また、メルカリも転売問題への反省からガイドライン強化を表明しており、「極端な価格の乱高下を招く商品は出品禁止も含め対応する」と発表した。
具体的には、Switch2発売時に同社が導入したオークション機能の一時停止(入札合戦による高騰防止)や 、画像無断転載出品の削除、本人確認の徹底といった施策が挙げられている。プラットフォーム各社が本気で臨めば、少なくとも露骨な高額転売をしづらい環境を作ることが期待できる。
需要予測と十分な供給
メーカー側では、そもそも転売が起きにくいよう需要に見合った十分な供給を確保する努力が続けられている。
ソニーのCEOジム・ライアン氏は2023年初頭、「今後は欲しい人が簡単に買えるようになるはずだ」とPS5供給改善を宣言し 、実際に生産体制を強化して不足解消に努めた。
任天堂もSwitch初代での品薄を教訓に、Switch2では初回出荷台数を大幅に増やすとの観測もある。また需要予測の精度向上のため、予約状況やSNSの反響データを分析し、生産計画に反映する試みも行われている。
供給さえ潤沢になれば転売ヤーは付け入る隙がなくなるため、「作れるだけ作る」という姿勢は最も根本的な対策と言える。
法制度の今後
段階でゲーム機転売を直接違法とする法律はないが、社会の声を受けて今後法制度が見直される可能性もゼロではない。
海外では、米国でオンライン購入ボットの禁止法案(通称「グリンチ・ボット法」)が提出されるなど 、転売を規制しようとする立法の動きもある。
日本でも「生活必需品やチケット以外も転売規制すべき」という議論が高まれば、何らかの立法措置が検討されるかもしれない。
ただし、市場原理や商取引の自由との兼ね合いもあり、実現にはハードルが高いのも事実。しばらくは業界の自主規制と消費者のモラルに委ねられる部分が大きいだろう。
企業の新たな販売戦略
転売対策として企業自体が販売戦略を変更する動きもある。例えば直販強化である。
任天堂は自社オンラインのマイニンテンドーストアを活用し、Switch2をできるだけ自社経由でファンに行き渡らせるよう抽選販売を行った。
また「Switch2日本国内限定モデル」の投入を発表し、海外への転売流出を防ぐ地域限定版ハードを用意するという踏み込んだ策も講じている。
ソニーもPlayStation Direct(直販サイト)での販売枠を増やし、転売ヤーに買われにくいユーザー登録者限定販売を展開した。さらに、デジタル版ハードの投入や需要分散策も取られている。
PS5はディスクドライブ無しのデジタルエディションを安価に提供することで需要を分散させたり、Switchも有機ELモデルやLiteなどバリエーションを増やすことで「これしか買えない」という状況を緩和した。
こうした企業努力による供給方法の最適化も、転売ブーム抑止に寄与している。
まとめ
ゲーム機転売ブームは一時代を象徴する社会現象となったが、多方面からの対策と市場環境の変化により少しずつ沈静化の兆しも見え始める。
とはいえ、新型ハードや限定商品が出れば転売の火種は再燃し得るため、今後もメーカー・販売店・プラットフォーム・ユーザーコミュニティが一丸となって健全な取引環境を守っていく必要がある。
適正価格で欲しい人に行き渡り、誰もが安心してゲームを楽しめる日常が戻ることを、筆者もイチゲーマーとして願いたい。
