レベッカ・チェンバースは、カプコンのサバイバルホラーシリーズ「バイオハザード」に登場する18歳の新米隊員。ラクーン市警の特殊部隊S.T.A.R.S.ブラヴォーチームに所属し、科学知識に秀でたメディック(衛生担当)でもある。
シリーズ屈指の若さと可愛らしい見た目ながら、彼女は並外れた度胸と優しさを持ち合わせている。
この記事では、『バイオハザード0』から初代(リメイク版含む)そして『アンブレラ・クロニクルズ』に至るまで、レベッカの人物像や行動、関係性の変遷をカジュアルな語り口で振り返ってみよう。

皆さんがシリーズで一番好きな女性キャラは誰ですか?筆者はレベッカっす!!
1998年『バイオハザード0』-初任務とビリーとの出会い

シリーズ前日譚である『バイオハザード0』は、レベッカにとってS.T.A.R.S.隊員としての初任務の物語。彼女は上司であるリチャード・エイケンの指導のもと、ラクーン森林地帯で相次ぐ奇妙な事件の調査に赴く。
18歳にして大学を飛び級卒業したエリート新人のレベッカだが、現場経験はゼロ。当然ながら緊張感たっぷりの状況で、ブラヴォーチームのヘリは不時着し、彼女は単独行動を余儀なくされる。そんな中、レベッカは偶然乗り込んだ洋館行きの列車「黄道特急」で、大量のゾンビに襲われてしまう。
絶体絶命の彼女を救ったのは、なんと軍法会議にかけられ脱走中と噂されていた元海兵隊少尉のビリー・コーエンだった。初対面時、レベッカはビリーが「23人もの人を殺した死刑囚」と聞かされていたため強い警戒心を抱き、「凶悪な殺人犯なんて絶対信用できない!」という態度だった。しかし、生き延びるため否応なく彼とバディを組むことになる。
奇妙なコンビとなった二人は、列車から地下施設へと続く壮絶なサバイバルを共に切り抜けていく。レベッカは医療係らしくハーブの調合や薬品の扱いに長けており、ビリーの頼れる戦闘力を支えた。
道中で彼女はビリーの本当の人柄に触れ、彼が冤罪である可能性を感じ始める。実際にビリーは無実の罪を着せられていたため、彼の冷静で誠実な行動はレベッカの心を動かした。次第に打ち解けた二人は、アークレイ山地の洋館付近に存在するアンブレラ社の訓練施設で事件の黒幕ジェームズ・マーカス博士と対峙する。
数々のB.O.W.(生物兵器)や恐怖体験を経ても、レベッカは持ち前の度胸で食らいつき、ビリーと協力して女王ヒル(マーカスの変異体)を倒すことに成功する。若く頼りなかった彼女も、この極限状況で次第に逞しさを身につけていったのである。
事件終結後、レベッカはビリーと別れる直前に敬礼を交わし、お互いの健闘をたたえ合った(ゲーム中のエンディングでは、二人がお互いに敬意を示すシーンが印象的)。
レベッカはビリーを正式には逮捕せず、その場で逃がす。そして彼からドッグタグ(認識票)を託され、それを首に掛けて別れるシーンは感動的。このときレベッカは心に決める――たとえ規則に反しても彼を信じ抜くと。
実際、後に彼女はビリーが「死亡した」とする虚偽の報告書を提出し、罪を着せられた彼を守る道を選んだ。真面目で責任感の強いレベッカだが、無実の人のためなら規則を破ることも厭わない芯の強さと優しさを持っている。こうしてレベッカはビリーとの短い冒険を経て大きく成長し、仲間たちが待つ洋館へ徒歩で向かって行った。

本作は主人公二人は非常に魅力的なのだが、後の作品でほとんど出演していないことがファンの間で悲しまれている。ビリーに至っては出演ゼロ!
1998年『バイオハザード』初代-洋館事件でのサポート役

黄道特急と訓練所での惨劇を生き延びたレベッカは、そのまま事件の発生源である洋館(スペンサー邸)へと辿り着く。時系列的には『バイオハザード0』の直後、1998年7月24日深夜から25日未明にかけての出来事である。
洋館では既に彼女の所属するブラヴォーチーム隊員たちが調査中だったが、レベッカが合流できたのは負傷中の同僚リチャード・エイケンだけであった。リチャードは巨大な毒蛇「ヨーン」に噛まれ重傷を負っており、レベッカは懸命に応急処置を試みる。
しかし新米の彼女一人では心細いところに、アルファチームのクリス・レッドフィールドが駆け付けた。ここがクリスとレベッカの初対面となる(実はレベッカはそれまでクリスやジルなどアルファチーム隊員と面識がなく、洋館事件が初顔合わせだった)。
クリスの協力で血清を手配するも、残念ながらリチャードは命を落としてしまう。落ち込む暇もなく、館にはアンブレラ社が開発したT-ウイルスによって生まれたゾンビやクリーチャーが徘徊していた。レベッカは新参ながら、クリスのサポート役として健気に奮闘する。
例えば、クリスが毒蛇ヨーンとの戦いで毒に侵された際には、プレイヤー操作でレベッカが館内を走り回って血清を取りに行くイベントもある。
また、クリス編ではレベッカが謎解きや救護で力を発揮する場面も多々ある。彼女は化学の知識を活かし、寄生植物「プラント42」を弱らせるための薬品V-JOLTを調合する手助けをした(このあたりゲーム的にも彼女しか薬品調合できない設定)。
さらに、音楽が苦手なレベッカだが、館のピアノ部屋では必死に練習を重ねて隠し通路を開通させるという見せ場もある。最初はうまく弾けず途中で匙を投げかけた彼女だが、ゾンビだらけの屋敷の中で意地を張って「もう一度挑戦!」と粘り強く練習し、ついに「月光」を奏で切る。怖がりつつも任務を投げ出さないその姿は、レベッカの芯の強さを物語っている。
『1』のレベッカ自身は非力な部分もあり、クリスに守られる場面もあった。リメイク版『バイオハザード(HD版)』では、クリス不在時にレベッカが凶暴なハンター(爬虫類型B.O.W.)に襲われるイベントがあり、プレイヤーが急いで駆け付けないと彼女が命を落としてしまうことも…(もちろん公式ストーリー的にはクリスが間一髪で救出し、彼女は無事生還)。こうした危機もありつつ、レベッカは最後まで諦めなかった。
最終的に洋館事件では、ブラヴォーチームの生存者はレベッカただ一人に。彼女はクリスやジル・バレンタインらと共に何とか洋館から脱出し、目の前で施設ごと爆発炎上する恐怖の現場を後にする(エンディングではクリスたちとヘリに乗って脱出する描写があり、シリーズ公式でも彼女の生存は確認されている)。新人隊員ながら仲間を最後まで支え抜いたレベッカは、この洋館事件を経て大きく成長したと言えるだろう。
事件後、彼女はビリーとの約束通り彼の死亡報告書を提出し(実際には偽造だが)、自らはラクーンシティ警察を去る決意を固める。若干18歳にして過酷なバイオハザードを二度も生き延びたレベッカは、強い精神力とサバイバル能力を示したのであった。

そもそも『0』では『1』以上の化け物と戦って来ただけに、『1(リメイク)』のハンターの演出には違和感を感じざる得ない(笑)
2003年『アンブレラ・クロニクルズ』と事件後のレベッカ

その後、レベッカ・チェンバースは表舞台から姿を消す。洋館事件(1998年7月)の後、彼女がどうなったのか長らく不明だったため、ファンの間でも「レベッカはその後アンブレラ追跡に加わったのか?」といった議論があった。
実際、洋館事件から数か月後に発生したラクーンシティ壊滅事件(『バイオハザード2』『3』の舞台)にはレベッカは登場せず、ゲーム内のファイルで名前がちらっと出てくる程度。この間、クリスやジルといった仲間はアンブレラ社の陰謀を追って動いていたが、レベッカはというと、一旦ラクーンシティを離れ身を潜めていたようだ。
18歳の彼女にとっては、怒涛の初任務の連続で心身ともに消耗し、市警や上司(実は黒幕だったウェスカー)との折り合いもあり、表立った活動を控えたのかもしれない。結果的に彼女はラクーンシティ壊滅の難を逃れ、その命を繋ぐことになる。
2007年発売の『バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ』は、それまでのシリーズを振り返る形で様々なエピソードを描いた作品。レベッカもプレイアブルキャラとして登場し、洋館事件直前から脱出までの活躍が再現されている。
オリジナル版では描かれなかった追加シナリオとして、洋館到着後にレベッカとリチャードが協力してブラヴォーチーム隊長エンリコを探索するエピソード(通称「ナイトメア」シナリオ)が盛り込まれた。そこではレベッカが悪夢にうなされ目覚めると、傍らにリチャードがいて「仲間は散り散りになったようだ、他のみんなを探そう」と励ますシーンから始まる。
二人で館の地下を進み、巨大グモやゾンビの大群を相手に必死で逃げ延びる緊迫の展開が描かれ、レベッカのサバイバル能力の高さが改めて強調されている(新人とは思えない冷静さで危機を切り抜けていく)。こうしてリチャードと共に何とか館の内部まで辿り着いたレベッカは、その後のクリスとの合流へと繋がって行く。
『アンブレラ・クロニクルズ』のおかげで、レベッカがあの洋館でどう行動していたかが補完され、彼女の奮闘ぶりを改めて実感できる。一方で、『アンブレラ・クロニクルズ』はアンブレラ社の最期も描いている。洋館事件から数年後、クリスやジルたちが執念深くアンブレラ社を追跡し、2003年にはロシアの拠点でついにアンブレラ崩壊の引き金を引くことになった(ゲーム中の「アンブレラ終焉」シナリオに相当)。
レベッカ自身はこのアンブレラ追撃の直接の場面には登場しないが、仲間たちの活躍を陰ながら支えていたのかもしれない。少なくとも、洋館事件での経験から彼女がアンブレラ社の脅威を憎んでいたのは確かだろう。その証拠に、後年になってレベッカが再びバイオテロとの戦いに身を投じていたことが明らかになる。
💬『バイオハザード5 オルタナティブ・エディション』では『ザ・マーセナリーズ』のプレイアブルキャラとしてゲスト参戦し、「I’m a Rebecca!!」と元気にマジニを挑発してたのが印象的だった(笑)
2020年『バイオハザード ザ・ステージ』で久々に再登場

実は2015年に上演された公式舞台劇『バイオハザード ザ・ステージ』において、レベッカのその後が詳細に語られた。この物語はゲーム『5』と『6』の間(2010年)のエピソードで、30歳になったレベッカが登場する。
なんと彼女は洋館事件後すぐにラクーンシティを離れ、西オーストラリア州のフィロソフィー大学(架空の大学)で教授職に就いていた。さらにバイオテロ対策組織BSAAのアドバイザーも兼任しており、学究の立場からバイオハザードに関わり続けていた。
舞台劇のクライマックスでは2010年8月にその大学でバイオテロ事件が発生し、偶然駆けつけたクリス・レッドフィールドやピアーズ・ニヴァンス(BSAA隊員)と共闘するレベッカの姿が描かれる。
白衣姿で教壇に立つ教授になっても、彼女の正義感と行動力は健在で、自ら銃を手に取って学生たちを守ろうと奮闘。クリスも「レベッカ、お前がいてくれて心強い」とばかりに再会を喜び、現場での頼もしさに目を見張る。こうしてレベッカは研究者としても戦う人としても成長を遂げ、アンブレラ壊滅後も続くB.O.W.の脅威に立ち向かっていたのであった。
なお、映像作品『バイオハザード: ヴェンデッタ』(2017年)ではさらにその先の活躍も描かれ、レベッカはニューヨークで発生した新型ウイルス事件に巻き込まれながらも、クリスやレオンと協力して解決に貢献している。
シリーズを通して彼女は表舞台には少ない登場ながら、確かな存在感を示し続けている。
若さ、優しさ、そして芯の強さ-レベッカの人柄と成長
レベッカ・チェンバースの魅力は、そのギャップにある。天才的な頭脳を持ちながら少々子供っぽく純粋な一面があり、怖い状況では涙目になることもある。
しかし同時に、「多少のことでは動じない」図太さや天性のサバイバル適応能力を秘めており、いざという時には年齢に見合わぬ落ち着きで事態に対処する。
実戦経験ゼロの新人だった彼女が、生物兵器が跋扈する極限環境を二夜にわたって生き延びた事実こそ、レベッカの肝の据わり方を物語っている。
作中でも、上官のエンリコが不在になってもパニックに陥らず、年上のビリーやクリスに食らいついていく姿は印象的。「怖いけど、逃げない」――弱さを抱えつつも正面から困難に挑む彼女の姿に、プレイヤーも何度励まされたことだろう。
またレベッカはとびきり優しい心の持ち主。負傷した仲間を必死に看護する姿や、危険人物とされたビリーにも分け隔てなく接する姿から、その献身的な性格が伝わって来る。特にビリーに対しては、当初こそ反発したものの、彼の人間性を理解すると命がけで信頼を寄せた。
そして彼を救うためなら自分の経歴に傷が付いても構わない、と勇気ある嘘の報告まで行った。このエピソードは、レベッカの中にある「信じる強さ」と「他者を思いやる優しさ」を象徴している。
真面目一本ではなく、正しいと思ったことのためには規則を破る決断力すら持ち合わせていた――彼女の芯の通った生き方が垣間見える場面である。
シリーズを通じたレベッカの成長にも注目。
『0』では右も左も分からない新人だった彼女も、ビリーとの冒険を経て精神的に鍛えられた。
『1(初代)』ではクリスのサポート役として自ら考えて動くようになり、先輩隊員たちに負けない活躍を見せる。
そして年月を重ねた後の物語(『アンブレラ・クロニクルズ』や舞台劇など)では、知識と経験を積んだ大人の女性として登場し、自信と落ち着きを身に付けている。かつては頼りなかった彼女が、自ら先頭に立って状況を打開する逞しさを発揮するまでになったのである。
最後に
総じて、レベッカ・チェンバースは「小さな英雄」と呼ぶにふさわしいキャラクターだろう。若さゆえの未熟さも持ち合わせつつ、持ち前の優しさと強い芯で困難に立ち向かう姿は、多くのファンに愛されている。
シリーズ初期の事件を生き抜いた彼女の存在は、まさに奇跡そのもの。 実験体だらけの悪夢から生還したレベッカは、その後も静かに自分の道を歩みながら、人々を救う戦いに身を投じ続けた。
これから先の物語でも、彼女のような懸命で芯の強いキャラクターが活躍してくれることを願わずにはいられない。
