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送信先 衛生管理部門 統合本部長
送信元 ラクーン特研部 災害対策委員会
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今回の「t-ウイルス」流出の件について、当委員会が実地調査を試みたところ被害の概算は当初の報告をはるかに上回るものであると推定される。
第一に、実数についての正確なデータを得ることは現状では非常に困難であるが、研究員の半数以上は「t-ウイルス」に被爆した時点で死亡しているとみられる。
また、生存者のほとんど全ては「t-ウイルス」感染者特有の症状が重度に現れており、死亡者数はさらに増加するものと思われる。
第二に問題となるのは、セキュリティーシステムがかろうじて作動しているものの、特務警備隊もほぼ全滅の状況であり、我が社の最高機密に属する研究事項が無防備のまま外部にさらされていることである。特にこの点は一刻の猶予もなく対策を講じられたい。
そして第三の問題として、これは第二の問題と重複する点もあるが、実験体の多くがその制御を失って暴走している状況である。
実は、我々が見たところ、研究員のうち実験体に殺害されたと思われる死者が決して少なくないのである。その死体は惨殺されたというにふさわしいものであり、奇しくも我々の研究の成功を裏付けるものであるが、このままでは報道機関に憂藘すべき材料を提供してしまう可能性もきわめて高い。
総じて事態はきわめて深刻である。
これらの事態をかんがみるに、中途半端な「t-ウイルス」の隠蔽は全く不可能と言わざるを得ない。望むべきは根本的で早急な解決策であると我々は考える。
特にラクーンにおける、州警察やS.T.A.R.S.の介入は迅速なものと思われる。この方面においても何らかの手を打つべきだろう。