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【特集】『あつまれ どうぶつの森』とは?巣ごもり需要がもたらしたスローライフゲームを徹底解説!!

この記事は約47分で読めます。

あつまれ どうぶつの森』(通称「あつ森」)は、2020年3月に任天堂から発売されたNintendo Switch用ゲームソフト。

発売直後から爆発的な人気を博し、ゲームファンのみならず幅広い層に受け入れられた。

本記事では、そんな『あつまれ どうぶつの森』についてストーリーからキャラクター紹介、舞台設定、ゲームシステム、開発秘話、評価、売上、そして社会的影響にいたるまで、余すところなく詳しく解説して行く。

ゆったりとしたスローライフの魅力から、世界的ヒットとなった背景まで、一般ゲーマーにも分かりやすくカジュアルな文体でまとめてみました!!

ぜひ最後までお楽しみくださいませ!!

💬ちなみに筆者は本作を600時間プレイしており、その経験を元に本記事を執筆しています!ただし、あくまで客観的な立場での解説になります。

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第1章:ストーリー・無人島で始まる新生活

本作では無人島が舞台となり、主人公(プレイヤー)はたぬきちが企画する「無人島移住パッケージプラン」に参加して島に移り住む。

島にはプレイヤーの他にどうぶつの住民が数名おり、一緒にゼロから島での生活をスタートするところから物語が始まる。

シリーズ従来作では「村」での生活が描かれていましたが、『あつまれ どうぶつの森』ではシリーズ初の無人島という設定が採用されている。プレイヤーはテントひとつと最低限の道具だけを手に、手つかずの自然が残る島で自給自足の生活を開始する。

ストーリーらしいストーリーは無いのが『どうぶつの森』シリーズの特徴だが、本作には一応の目標が存在する。それは島を発展させて行き、伝説のミュージシャン「とたけけ」を島に招待してライブを開催すること。

ゲーム開始当初は何もない無人島だが、プレイヤーが素材を集めて施設を建設したり、新しい住民を勧誘したりすることで徐々に島は賑やかに発展して行く。

やがて島の評判が高まり、とたけけが訪れてコンサートが開かれると、一つの区切りとしてスタッフロール(エンディング)が流れる。このライブ達成がいわば本作の「クリア」とも言えるイベントと言える。

もっとも、とたけけのライブ後もゲームは終わりではない。ライブ以降は借金返済や島クリエイトなども含め、以前のシリーズ同様にプレイヤーの自由なスローライフが続いて行く。

釣りや虫取り、家具集めや島の模様替えなど、エンディング後も無限に続くスローライフの日々こそが本作の醍醐味。ストーリーはプレイヤー自身が作っていく──それが『あつまれ どうぶつの森』の基本姿勢と言えるだろう。

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第2章:登場キャラクター紹介

『あつまれ どうぶつの森』には個性豊かなキャラクターが数多く登場する。

島で暮らす住民どうぶつは400種類以上にも及び、シリーズ最多のバリエーションとなった。

ここでは特にプレイヤーの島生活を支えてくれる主要キャラクターを中心に、簡単に紹介して行く。

たぬきち

https://www.nintendo.co.jp/kids/sp/character/tanukichi/index.html

本作に登場する企業「たぬき開発」の社長であり、島の案内人

昔は「たぬきち商店」や不動産業を営んでいた彼だが、本作では新たに不動産デベロッパー「たぬき開発」を立ち上げ、「無人島移住パッケージプラン」を企画した。

プレイヤーはこのプランに参加する形で島に渡り、たぬきちの指導のもとで新生活を始める。いわば無人島ライフのプロデューサー的存在であり、テント暮らしから家の建築、インフラ整備まで様々な場面でアドバイスをくれる。

ゲーム開始直後、プレイヤーはたぬきちからテントを与えられ、移住費用としてたぬきマイレージのプログラムを紹介される。シリーズおなじみの「ローン」を組ませてくるのも彼なら、島の発展計画を先導するのも彼。

「無人島生活の案内人」として頼もしい半面、その商売熱心さからプレイヤーに借金(ローン)を背負わせる展開は相変わらずで、「たぬきちに搾取されている?」なんて冗談もファンの間で語られる(もちろん返済期限は無く、利子も付かない良心的(?)ローン)。

いつも「だなも」が口癖で、穏やかな笑顔と腹巻きがトレードマークの、中年男性風のタヌキキャラ。

しずえ

シリーズ前作『とびだせ どうぶつの森』から登場した人気キャラクターで、本作でもプレイヤーをサポートしてくれる。

犬の姿をした彼女は役場(案内所)のスタッフで、島が発展して案内所の建物が完成したタイミングで島に赴任して来る。

それまではたぬきちが一人で切り盛りしていた案内所だが、しずえの着任後はたぬきちがインフラ担当、しずえが生活サポート担当となり、島民代表(プレイヤー)を二人三脚で支援してくれるようになる。

しずえは明るく真面目な性格で、島内放送や季節のお知らせなどを担当する。朝のゲーム起動時には「皆さん、おはようございます。〇〇島のしずえです♪」と爽やかな挨拶で一日が始まるので、お世話になっているプレイヤーも多いことだろう。

島メロ(島の音楽)や島の旗の変更受付、市民からの島の評判に関する相談も彼女の役割。また、プレイヤーや他の住民に困ったことがあれば相談に乗ってくれる頼れる存在でもある。

元々は前作で村長秘書としてプレイヤーを支えてくれたキャラだが、その有能さと愛らしさから瞬く間にシリーズの看板キャラとなった。本作でも「案内所のしずえさん」として、プレイヤーからの信頼は絶大。黄色い毛色にお団子ヘアが特徴で、いつも笑顔を絶やさない姿に癒やされた人も多いはず。

まめきち・つぶきち

たぬきちの弟子(もしくは店員)のような双子のタヌキの兄弟です。本作では無人島に移住するプレイヤーに同行し、雑貨販売をしている。

島の発展に伴って「タヌキ商店」というお店を開くことになり、以降は島で唯一の商店の店員として毎日お店に立っている。

まめきち・つぶきちはプレイヤーに日用品や家具、道具などを販売してくれる重要キャラクター。双子ならではの掛け合いで元気よく接客してくれる。営業時間は朝8時から夜10時までと長く、島での生活を陰から支えてくれる縁の下の力持ち的存在。

ちなみに二人は語尾に「~であります」といったかしこまった喋り方をするのが可愛らしいポイント。どちらがまめきちでどちらがつぶきちか見分けるのは難しいが(見た目はほぼ同じ)、ゲーム内では話しかけた時の名前表示で確認できる。

とたけけ

シリーズおなじみの白い犬のミュージシャン。彼は放浪のギター弾きで、前作までは毎週土曜の夜に村へライブをしに来るのが定番だった。

本作『あつまれ どうぶつの森』でも健在で、島を発展させる最終目標として登場する。前述のように、島の評判が星5に近づくと彼が訪れてコンサートを開いてくれる。

プレイヤーはとたけけのライブを見ることで島クリエイターなどの新要素が解禁され、エンディングを迎える。エンディング後は毎週土曜日に案内所前でライブを開催し、曲のリクエストを受け付けてくれるようになる。

とたけけの歌う楽曲は全部で90曲以上あり、フォークからテクノまで幅広いジャンルが揃っている。ライブでもらえる曲の音源(ミュージック)は自宅のオーディオで再生することが可能で、コレクション要素の一つ。

とたけけの名前は開発者の戸高一生さん(愛称とたけけ)に由来し、海外版では「K.K. Slider」として知られている。

裸にギター1本というミニマリストなスタイルと、ハスキーボイスで「ニンニンニン♪」と歌う独特のボーカルが特徴。

彼の登場によって島は一気に音楽で満たされ、エンドロールではプレイヤーの島での日々を写真とともに振り返る演出が流れるため、感動したというユーザーも多いことだろう。

その他の主要キャラクター

上記の他にも、プレイヤーの島生活を彩る魅力的なキャラクターが登場する。例えば、フクロウのフータ博物館の館長で、プレイヤーが寄贈する虫・魚・化石・美術品を喜んで受け取り、展示してくれる。彼は虫が大の苦手という設定だが、学者肌で知的な口調が特徴です。

フータの妹で流れ星好きのフーコは、夜に島に現れては星座にまつわるDIYレシピをくれるロマンチストなフクロウ。

他にも、日曜日の午前中に株(カブ)を売りに来るイノシシの子供ウリ(前作までカブリバおばあちゃんが担当だった商売を引き継いだ)、ローランというラクダの行商人(壁紙と床の専門家)、ジャスティンというビーバーの釣り大会主催者、レックスというトカゲの虫取り大会主催者、ゆうたろうという臆病なお化け、パニエルという写真スタジオのラマなど、枚挙にいとまがない。

さらにシーズンイベント限定で登場するキャラもおり、例えばハロウィンにはカボチャ頭のジャコヤ(パンプキング)が、クリスマスイブにはトナカイのジングルが、それぞれイベントを盛り上げてくれる。

こうした特別なキャラクターたちは、島での暮らしにアクセントを加える存在。

もちろん島に移住してくる普通の住民どうぶつたちも、ネコやウサギ、カエルやワシなど種族豊富で、それぞれ性格タイプ(元気系、ぼんやり系、姉貴系など)に応じたユニークな会話を楽しませてくれる。

お気に入りの住民を勧誘したり、写真(親愛の証)を集めたりと、住民との交流もプレイヤーそれぞれの物語を作り出している。

💬皆さんが好きなどうぶつは誰ですか?俺はリリアン、ブンジロウ、1ごうです😂可愛すぎる笑

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第3章:舞台設定:無人島で広がるスローライフ

本作の舞台は、無人島。シリーズで初めて文明から切り離された島を舞台に選んだことで、ゲームの雰囲気やシステムにも様々な新風が吹き込まれた。

無人島という舞台

無人島は「何もないから、なんでもできる」というキャッチコピーの通り、最初は本当に最低限の自然しか存在しない

美しい海と砂浜、広がる草地、川と崖に囲まれた島──そこにプレイヤーはテントを張り、ゼロから暮らしを築いて行く。島にはフルーツが生る木々や花々、魚が泳ぐ川や海、昆虫が飛び回る森など自然がいっぱい。プレイヤーはそれら自然の恵みを採取・利用しながら生活して行く。

島の名前や地形はゲーム開始時にプレイヤーが選択可能。島の地形はランダム提示される複数の候補から好みのものを選べ、島の名前も自分で命名できる。

さらに特徴的なのは、本作では北半球・南半球の選択ができること。これにより、自分の住んでいる地域に合わせてゲーム内の季節を現実と同じにすることも、逆の季節を楽しむことも可能になった。

例えば日本在住でも南半球設定にすれば、8月に冬の雪景色を体験できる。シリーズで初めて南半球の季節に対応したことで、世界中のプレイヤーがそれぞれの季節感を楽しめるよう配慮されている。

リアルタイムで流れる時間

現実と連動する時間経過も、『どうぶつの森』シリーズの重要な特徴。

本作でもNintendo Switch本体の時計と連動しており、ゲーム内の時間は現実と同じスピードで流れる。昼夜の移り変わりや季節の変化がリアルタイムに再現され、例えば夜に起動すれば島も夜、冬の時期には島も雪景色になる。

朝方には朝焼け、夕方には夕焼け、そして時間帯によって虫や魚の種類も変わるなど、まるで本当に島で暮らしているかのような没入感を味わえる。

このリアルタイム要素によって、季節イベントも現実のカレンダーに沿って開催される(詳細は後述の「季節イベント」セクションで解説する)。

また一日の中でお店の営業時間が決まっていたり、住民たちが朝起きて夜は寝ていたりと、島の中に時間の流れが存在する。プレイヤーはその日のマイペースなスローライフを過ごし、やり残したことはまた明日……という風に、のんびり遊べるのが魅力。

ただし「もっと先に進めたい!」というときには、本体時計を操作してタイムトラベルしてしまう上級者(?)もいるが、そうした遊び方も含めてプレイヤーの自由に委ねられている。

島の開発と施設

無人島とはいえ、ゲームを進めることで徐々に公共施設が建設され、生活が便利になっていく。初日はテント暮らしだが、頑張ってマイホーム用のローンを支払えば立派な家を建ててもらえる

次第に博物館がオープンし、たぬき商店ができ、仕立て屋エイブルシスターズの服屋さんが出店し……と、島はだんだんと村らしく発展して行く。

プレイヤーはインフラ整備として橋や坂(崖用の階段)を建設することもでき、川や崖を越えやすくすることで島中を行き来しやすくなる。

特筆すべきは、プレイヤー自身が建物の場所を自由に決められる点。家や商店、博物館など主要施設は設置場所を自分で指定して建てることができる(過去作では自宅以外は固定位置だった)。

さらに一度建てた建物も費用を払えば移設(引っ越し)可能で、これにより島のレイアウトを自分好みにプランニングできるようになった。この自由度の高さは本作の魅力の一つで、島を自分の理想郷にデザインするユーザーも数多くいる。

また、案内所(役場)が当初は簡素なテントだが、ある程度島の人口が増えると立派な建物に改築される。これに伴いしずえさんが島に赴任してきたり、できることが増えたりする。

案内所では「タヌポート」というATM+端末も設置され、郵便やショッピング、マイル交換などが利用できるようになる。無人島に徐々に文明の利器が備わっていく過程は、プレイヤー自身が開拓している手応えを感じられるポイント。

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第4章:ゲームシステム・のんびりスローライフと新要素いろいろ

本作のゲームシステムは、基本的には「スローライフシミュレーション」。プレイヤーは無人島の住民代表となり、現実と同じ時間が流れる世界で、釣りをしたり虫を捕ったり、家や島を飾ったり、住民たちと交流したりしながら自由気ままに生活を送って行く。

本作ではシリーズ従来の楽しみ方に加え、新要素も数多く導入された。ここではその主な特徴をいくつかの観点から解説して行く。

💬このゲームって本当にイラッてする場面が100%皆無で、「本当に癒されたい」時に遊ぶと最高なのよね☺️

スローライフと日常の過ごし方

『どうぶつの森』シリーズ最大の特徴は、ゲーム内で明確なノルマや制限時間がなく、自分のペースでスローライフを楽しめる点である。

本作でもプレイヤーは島でのんびりと一日を過ごすことができる。

朝起きたらまず郵便受けをチェックし、商店の商品ラインナップや株価を確認。島をひと回り散歩して埋まっている化石を掘り起こし、花壇の花が交配で増えていないか見る。ビーチを歩いてボトルに入ったメッセージ(DIYレシピ)を拾い、出会った住民と「おはよう!」と挨拶を交わす…。そんな何気ない日課も、スローライフの大切な一コマ。

昼間は虫取り網と釣り竿を手に、島を巡りながらコレクションや売却用の虫・魚を捕獲するのも定番の遊び。森の中でチョウを追いかけたり、川辺で釣り糸を垂れて大物を狙ったり、南の海でサメに挑戦したりと、季節や時間帯によって多様な生き物たちとの出会いがある

捕まえた生き物は博物館に寄贈してコレクションを充実させることもでき、お店に売ってベル(お金)を稼ぐこともできます。中には高額で売れるレアな魚・虫もいて、一攫千金を狙うのも楽しみの一つ。

夜になったら、静かな星空の下で流れ星に祈ることもできる。流星群の日にはお祈りすると翌日「ほしのかけら」が浜辺に落ちていて、それを集めると星座家具を作れたりする。

また、毎週日曜の夜には夏には花火大会が開催され、打ち上げ花火を眺めたり屋台の景品を集めたりといった季節ならではのイベントも楽しめる。

こうした何気ない日常の積み重ねこそが本作のゲームプレイの核であり、現実のリズムに合わせて無理なく進められる癒やしのゲーム性となっている。

DIYクラフトと家具集め

本作で大きく追加された新要素の一つがDIY(クラフト)。島で入手できるさまざまな素材(木材、石、鉄鉱石、粘土、枝、貝殻など)を集めて、自分で家具や道具を作成できるようになった。

これまでのシリーズでは釣竿や虫網といった道具や家具はお店で買うのが基本だったが、『あつ森』では素材を集めて自作する楽しみが加わった。

島の案内所には初めから「作業台」が設置されており、たぬきちが簡単なDIYの手ほどきをしてくれる。

レシピさえ手に入れれば、作業台で自由にクラフト可能。例えば、木の枝を集めて釣り竿を作ったり石を集めて焚き火を作ったりと、最初は素朴なDIYだが徐々に高度な家具も作れるようになる。

レシピは風船を割って落ちてきたメッセージや、瓶に入ったメモ、住民からの教えなど様々な方法で増えて行く。

素材を集めてクラフトすることで、すべての資源に活用先が生まれるというメリットもある。以前のシリーズでは、例えば雑草や安価な虫などは余り価値がなく無視されがちだった。しかし本作ではDIYのおかげで「どの素材も無駄にならない」デザインとなった。

雑草すら材料になったり、木を揺すって枝を集めることが日課になったりと、プレイヤーの行動の幅が広がった。

家具集め自体も、本作ではクラフトと従来の購入の両方で楽しめる。ショップに並ぶ既製品の家具をベルで買い揃えることもできるし、DIYでオリジナルの家具を作って配置することも可能。

さらにDIY家具はリメイクという要素で色や柄を自分好みに変更できる場合もあり、カスタマイズ性が高まっている。お気に入りの家具を自分色に染めて部屋や島に飾ることで、より個性的なコーディネートが可能になった。

島の開発とカスタマイズ(インフラ整備・島クリエイター)

無人島を自分好みに開発できるのも本作の醍醐味。前述のように、建物の場所を決めたり橋・坂を設置したりしてインフラを整えていくことができる。

さらにエンディング(とたけけライブ)を迎えた後には、「島クリエイター」という強力な機能が解禁される。島クリエイターとは、島そのものの地形や地面を編集できるツール。これにより、プレイヤーは島に道を舗装したり、川や崖を自分で造成・撤去したりできる。

例えば「ここに池が欲しい」と思えばスコップ片手に穴を掘って池を作れ、「この崖はいらない」と思えば削り取って平地にできる。あるいは逆に土を盛って新しい丘や崖を作ることも可能。

まさに島全体の地形を改造できる夢のようなシステムで、これによって島クリエイトの自由度は飛躍的に向上した。

もちろん無制限にできるわけではなく、島の外周部分は弄れない、高さ制限がある、島全体の広さも決まっている、といった制約はある。それでも「地形を自分で変えられる」というのはシリーズ初であり、ユーザーから大いに歓迎された。

特にSNS上では、自分の島をテーマパークや田舎町、迷路や大都市風に作り変える猛者たちが登場し、その創造性の発揮が話題となった。崖や滝を駆使した絶景スポット、マイデザイン(後述)を敷き詰めた街並みなど、島クリエイターのおかげで「自分だけの島」を具現化できるようになった。

また、本作では地面に道を敷くことが正式に可能になった。島クリエイターでは様々な舗装(レンガ道や石畳、砂道など)を選んで好きな場所に道路を描ける。

これにより村全体の区画整理や景観づくりが容易になり、島内を美しくデザインする楽しみが増えた。自分で描いたオリジナルの模様(マイデザイン)を地面に貼り付けてオリジナルの道にすることもできる

インフラ面では他にも、プレイヤーの自宅の増築(ローン返済で部屋数・広さが増える)、住民の家の移設(好きな場所に引っ越しさせられる)、さらには島の旗や島メロ(島の音楽)の設定変更といったカスタマイズ要素も豊富。

何もない無人島を、自分好みに発展させていく」というゲーム導入部分の革新は本作の目玉であり、その自由度が多くのプレイヤーを魅了した。

住民との交流

『どうぶつの森』シリーズでは住民どうぶつとの交流も大きな楽しみの一つ。本作の島にも様々な動物の姿をした住民たちが暮らしており、最初は2人(2匹)だが、島が発展するにつれて最大10人まで増やすことができる

住民たちはそれぞれ個性豊かな性格と口癖を持ち、プレイヤーとの会話から日々の暮らしが生まれる。

住民に話しかけると、その日の天気や世間話、趣味の話題など色々なおしゃべりを楽しめる。仲良くなると「ニックネームで呼んでもいい?」と提案してきたり、プレゼントのやり取りをしたり、時には写真(親友の証)をくれたりもする。

また、ときおり住民から「〇〇っていう虫が欲しいんだ」「かくれんぼしようよ」といったお願い事や遊びの誘いを受けることもあり、それを叶えてあげることで友情が深まる。

住民たちは島で自律的に生活しており、家でDIY作業をしていたり、外を散歩したり、虫取り網を振り回していたりと、行動も様々。時間帯によっては家でくつろいでいたり、夜中にこっそりラジオ体操していたりする子もいる。

プレイヤーが離席していても彼らは勝手に暮らしており、何日か遊ばないでいると「最近あなたを見かけないけど元気だった?」なんて心配してくれることも。

緩やかなコミュニケーションがこのゲームの癒し要素であり、住民との会話にクスッと笑ったりホロリとしたりする瞬間が、多くのプレイヤーにとって大切な思い出となっている。

また、お気に入りの住民を勧誘・追い出しできるのもシリーズの特徴的な部分。離島ツアー(後述のマイル旅行券で行ける無人島)で出会った住民を自分の島にスカウトできたり、キャンプサイトに遊びに来た子を勧誘して移住させたりできる。

その一方で、長く住んでいると「この島を出て行こうか悩んでる」と言い出す住民もおり、引き留めるか送り出すか選択が迫られる。こうした出会いと別れもスローライフの一部であり、プレイヤーそれぞれのドラマが生まれるところ。

プレイヤーは住民の家を訪ねて一緒に写真を撮ったり、誕生日プレゼントを贈ったり、時にはおそろいの服を着せてみたりと、交流の深め方は自由。

お気に入りの子に囲まれた島を目指すも良し、新しい住民を次々迎え入れて賑やかにするも良し。住民交流の温かみは『あつ森』の心臓部とも言え、コロナ禍で人と会えない時期にも仮想空間で住民たちとの交流に癒やされたとの声が多く聞かれた。

マルチプレイとオンライン要素

本作は一人プレイだけでなく、マルチプレイにも対応している。今作では1つの島に最大8人までのプレイヤーが一緒に集まれるようになった(オンライン通信時) 。

友達や家族と一緒に島を行き来したり、一緒に釣りや虫取りをしたり、写真を撮影したりと、コミュニケーションツールとしての魅力も抜群。

オンライン通信では、自分の島の「飛行場」から他のプレイヤーの島へお出かけしたり、自分の島に招待したりできる。

Switchのフレンド同士ならパスワード無しで繋がることができ、インターネット越しにパスワード(合言葉)を教え合えば見知らぬ人とも行き来できる。最大8人が一堂に会して鬼ごっこをしたり、ファッションショーを開いたり、島ツアーを案内したりと、その遊び方はプレイヤー次第。

また、本作から導入されたローカルおすそわけプレイ(パーティーモード)では、1台のSwitchでJoy-Conを分け合い、同じ島に最大4人のプレイヤーキャラが同時にログインして遊ぶこともできる。家族や友人とソファに座ってワイワイ遊ぶのにも適しており、コミュニケーションゲームとしての幅が広がった。

オンライン要素としては他にも、マイデザイン共有や夢見といったシステムがある。マイデザインは自分の描いたドット絵を共有できる仕組みで、作者IDや作品IDを公開すると世界中の誰でもそのデザインをダウンロード可能。

これによってユーザー間で服のデザインや地面アートの交換が活発に行われ、SNSでは有名ブランドの服を再現したデザインや、アニメキャラの服、道の装飾パーツなどが大量に出回った。

ファッションブランドのMarc JacobsやValentinoも公式にマイデザインを公開し、自社の新作服をゲーム内で着られるようにするなど話題となった。

一方、「夢見の館」という機能では、自分の島の状態をインターネット上にアップロードして夢番地というIDを発行できる。他のプレイヤーはその夢番地を入力することで、オンライン接続なしに(ホストがいなくても)その島を見学することができる

夢見では他人の島でアイテムを持ち帰ることはできないが、島のレイアウトを隅々まで見て回ることが可能。これにより有名なクリエイターの島を訪問してアイデアをもらったり、友達の島を時間を気にせず見たりすることができるようになった。

オンラインプレイにはNintendo Switch Online(有料サービス)への加入が必要だが、加入者向けにはスマホアプリの「タヌポータル」でボイスチャットやスタンプ送信ができる機能も提供されている。

これらのオンライン要素により、『あつ森』は人とのつながりを深めるゲームとしてコロナ禍おいても大いに活用された。

季節イベントとアップデート

本作では1年を通じて様々な季節イベントが開催される。これは現実世界の行事にちなんだもので、例えば春にはイースターイベント「たまご集め」(作中名称は「イースター」、卵を集めてDIYするイベント)、6月には結婚記念写真を撮る「ジューンブライド」、秋にはハロウィン、冬にはクリスマス(「トイデー」と呼ばれる)や大晦日のカウントダウンなどがある。

季節イベントの期間中は、限定のキャラクターが島を訪れたり(例:イースターのぴょんたろう、ハロウィンのジャック、クリスマスのジングルなど)、特別なアイテムやレシピが手に入ったりする。

イベントは毎年ほぼ同じ時期に行われるが、発売当初は全てのイベントがゲーム内に実装されていたわけではない。任天堂は季節ごとに無料アップデートを配信し、その都度新イベントや要素を追加して行った。

例えば、発売直後の2020年4月には初の季節イベントとしてイースターがアップデート配信され、続いて4月下旬には「アースデー」(地球の日)イベントや、美術品とつねきち(怪しい美術商)の要素が追加された。

夏には海での泳ぎ(素潜り)要素や花火大会、秋にはハロウィンとカボチャ栽培、冬にはクリスマスとお正月のアイテム追加など、一年を通して段階的にコンテンツが拡充されて行った。

アップデートによるイベント追加はプレイヤーを長期間飽きさせない工夫であり、「2年目以降も新鮮な気持ちで長く遊んでもらうため」だったと開発側も述べている。実際、発売から1年以上にわたり定期的に無料アップデートが提供され、そのたびにSNS上では新コンテンツの話題で盛り上がった。

2021年11月には最後の大型アップデート(ver2.0)が行われ、喫茶店ハトの巣のマスターや、ボートツアーのかっぺい、料理(調理)システムの追加、ラジオ体操など多数の新要素が一挙に実装された。

ハッピーホームパラダイス

同時に有料DLC「ハッピーホームパラダイス」も発売され、室内外のコーディネートをとことん楽しめる要素が追加されたのも記憶に新しい。

季節イベントは島に季節感と彩りを与える重要な要素で、特にハロウィンの夜に住民たちが仮装したり、クリスマスイブにプレゼント配りを手伝ったりするイベントは多くのユーザーに好評だった。

また現実の祝日と絡めて、現実では外出できない時期にゲーム内でお祭りを楽しむという人も多く、2020年の花火大会や年越しイベントはオンライン上で友人と集まって過ごすプレイヤーもいた。

このように、『あつ森』のゲームシステムは「スローライフの箱庭」をベースに、新しいDIYや島クリエイト、オンライン機能を盛り込み、さらに季節イベントで一年中楽しめる工夫が凝らされている。

シンプルな日常の中に豊富なコンテンツが詰め込まれており、「毎日少しずつ遊んでもやることが尽きない」と感じるプレイヤーも多かったようだ。

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第5章:開発秘話と制作の背景

『あつまれ どうぶつの森』がどのように企画・開発され、世に出ることになったのか、その裏側にも興味深いエピソードがたくさんある。

本作はシリーズ誕生20周年(2001年にN64版『どうぶつの森』が発売)という節目のタイミングで開発されたが、その歴史の中で培われた伝統と新規要素のバランスに苦心しつつも、新たな挑戦が数多く盛り込まれている。

ここでは開発秘話として、企画コンセプトの変遷や発売までの経緯、そしてコロナ禍との関係などについて触れてみたいと思う。

企画コンセプトの変遷:「村」から「無人島」へ

『どうぶつの森』シリーズはもともと「インターネットを介さないオンラインゲーム」として企画が始まったと言われている。プレイヤー同士がすれ違いで交流できるコミュニケーションゲームとしてスタートし、任天堂らしいアナログな温かみを持った作品として独自の地位を築いて来た。

歴代シリーズでは、初代・+(プラス)・e+が村でのスローライフ、DS版『おいでよ』での通信機能強化、Wii版『街へいこうよ』で街エリア追加、3DS版『とびだせ』でプレイヤーが村長になる要素など、毎回新たなテーマが設定されていた。

本作におけるキーワードはずばり「無人島ライフ」。このコンセプトは開発陣が「新作で何を目玉にするか」を検討する中で生まれたという。

前作『とびだせ』では「村長になって村おこし」という一言で伝わる新要素があったが、本作でもそれに匹敵する分かりやすいテーマが求められた。

そこで考えられたのが「無人島に渡って一から生活する」という設定。無人島ならではの「何もないからなんでもできる」自由さと冒険心が新鮮で、シリーズの伝統であるスローライフに新規性を持たせることができると判断された。

無人島という新舞台に合わせて、ゲーム序盤の導入部分のデザインも大きく変えられた。開発者によると、ゲーム開始直後からある程度ストーリー仕立ての流れを体験させる方針にした模様。

具体的には、プレイヤーが島に到着してからとたけけのライブが開かれるまでの間を「チュートリアル兼ストーリーパート」として位置づけ、無人島生活の新要素を順番に学べるように構成したとのこと 。

例えば、日を追うごとにテントから家へ、橋が架かり、お店ができ、住民が増え…とイベントが起こり、最終目標であるライブ開催まで導線が引かれている。

その後は従来通り何をするも自由な「いつものどうぶつの森」に戻る二部構成になっているわけです 。

開発陣はこの導入部分の刷新によって、新要素をしっかり体験してもらいながらもシリーズの伝統的な遊び方に自然に移行できるよう苦心したようだ。

序盤で一つの要素を解放すると、それに付随する複数の遊びが広がるデザインにすることで、プレイヤーにワクワク感を与え、過去作より序盤の没入感を強めることに成功した。

そしてライブ後には島クリエイターなど上級要素が解禁され、以降はプレイヤー各自の目標に向かって遊べる……という流れになる。

発売延期とコロナ禍のタイミング

本作の発売日は当初2019年内と発表されていた。しかし、2019年6月のE3(世界ゲーム見本市)の任天堂プレゼンテーションにて、発売日を翌年2020年3月20日に延期すると発表されている。

この延期の背景には、開発上の都合とともに「社員に無理な残業をさせないため」という方針があった。任天堂の米国法人社長ダグ・バウザー氏は、ゲーム開発者の労働環境を守るために『あつ森』の発売を延期したと述べており、ファンからは好意的に受け止められた。

延期によって結果的に発売日は2020年3月となったが、奇しくもこの時期は世界中で新型コロナウイルス感染症の拡大が深刻化し始めたタイミングだった。各国で外出自粛やロックダウン(都市封鎖)が行われ、人々が自宅で過ごす時間が急増する中、発売された本作は「巣ごもり需要」にドンピシャの形ではまり、空前のヒットに繋がった。

本来ならコロナ禍は予期せぬ事態だったが、本作にとっては追い風となった。外に出られない人々が仮想空間でのスローライフや友人とのオンライン交流に癒やしを求め、社会現象的なブームが巻き起こった。

任天堂側もこの需要増加に驚いたようだが、一時期はSwitch本体やソフトが品薄になるほどの人気となった。

もっとも、コロナ禍の影響で多少の誤算もあったという。例えば、本作の特別デザインNintendo Switch本体セット(あつ森仕様の限定モデル)は当初2020年2月予約開始予定だったが、中国の生産遅延により予約開始日が一旦未定となり 、後に3月にずれ込むなどの影響が出た。

それでも発売自体には間に合わせ、結果として「ステイホームのお供」として世界中のプレイヤーに迎え入れられることになった。

皮肉にも、開発チームが無理をせずクオリティアップのために発売を延期したことが、最良の発売タイミング(人々がゲームを求める瞬間)に繋がった形である。

まさに時運に恵まれたと言えるでしょう。このことから、一部メディアでは「社会現象とゲームの幸運な巡り合わせ」として本作の成功が語られたりもした。

また、日本では2020年の「ユーキャン新語・流行語大賞」に「あつ森」がトップテン入りを果たし 、「巣ごもり消費」を表す造語「凄森消費」が企業の企画で入賞したり 、Yahoo!検索大賞ゲーム部門を受賞したり と、ゲームの枠を超え社会現象として認知されることになった。

開発チームの狙いと工夫

本作の開発を率いたのは、プロデューサーの野上恒氏とディレクターの京極あや氏。京極氏は前作『とびだせ』でもディレクターを務めたシリーズの中心人物で、野上氏も『スプラトゥーン』シリーズなどを手がけてきた任天堂のベテラン開発者。

このコンビが目指したのは「シリーズ伝統の良さを残しつつ、新規要素で革新を起こす」ことだった。

開発当初、彼らは『どうぶつの森』が「かわいい動物と暮らす小さな女の子向けゲーム」という先入観を持たれがちだと指摘した。しかし実際のプレイヤーデータを見ると、男女比はほぼ同じで、最も多い層は20代前後だったという。この事実から、より幅広い層に楽しんでもらえるゲームデザインを意識したと言う。

実際、本作は可愛らしい見た目ながらゲームシステム的にはかなり奥深く、コレクション要素やクリエイティブ要素、オンラインコミュニケーションなど大人も熱中できる要素が豊富。

その一方で操作やUIはシンプルで、子供やゲーム初心者でも遊べる優しさも兼ね備えている。こうしたバランス感覚は、開発チームの狙い通りと言える。

また、開発にあたってはハード(Switch)の進化も存分に活かされた。例えば、グラフィック面ではHD化で細部まで表現が豊かになり、草地の模様や波打ち際の泡、木漏れ日や星空の輝きまで、非常に美しい島の景色が実現した。

キャラクターモーションも滑らかになり、住民が歌を口ずさんだり、感情表現で跳ねたり拍手したりといった細かな仕草が追加されている。Switchの性能向上に合わせて「リアルすぎないけれどリッチな表現」を追求した結果、従来のポップな世界観を保ちつつ、より没入感のある映像・音響体験が生まれた。

音楽面では、シリーズ恒例の時報代わりのBGM(毎時間ごとに曲が変わる)が今作でも数々の名曲を生み出した。作曲は戸高一生氏(とたけけの中の人)らおなじみのメンバーが担当し、昼夜や天気によってアレンジが微妙に変化する凝った作り込みで高い評価を得た。

環境音も強化され、波の音、風に揺れる木々の葉音、雨の降る音、虫の鳴き声などが立体的に響き、ヘッドホンで聴くと島にいるような気分になるほど。

一方で開発チームは、新要素を増やしつつも「やりすぎないこと」に注意を払ったという。例えば島クリエイターで何でもかんでも最初から自由にできると逆に戸惑うため、エンディング後のご褒美に設定した。

また新システムのたぬきマイレージは、ゲームに不慣れな人へのガイド役と同時に熟練者にも新しい遊びを提供する仕掛けだった。具体的には、マイレージの目標が「虫を5匹捕まえる」等であることで、上級者が普段スルーしがちな普通の虫にも目を向けさせ、遊びの幅を広げる効果があったという。

このように新規もコア層も楽しめる工夫が随所になされている。

その他、アップデートにより『マリオ』35周年コラボでマリオの家具や服が追加されたり、サンリオキャラクターとのコラボ住民がamiiboカードで登場したりと、ファンサービス的な要素もあった。

また、追加DLC「ハッピーホームパラダイス」の開発には、シリーズ外伝『ハッピーホームデザイナー』のノウハウが活かされ、インテリアコーディネートの自由度を飛躍的に高めている。

このように『あつ森』開発チームはシリーズの伝統を大事に守りつつ、新たな挑戦を恐れず盛り込む姿勢で本作を作り上げた。

その成果は発売後の大ヒットとユーザーからの絶賛という形で表れ、2020年には日本ゲーム大賞年間作品部門の大賞や、経済産業大臣賞まで受賞するなど 、ゲーム業界内外から高い評価を得ることになった。

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第6章:評価・レビュー

本作は発売後、世界中のメディアやユーザーから熱狂的な支持を受けた。

ゲームレビューのスコアは軒並み高く、販売数も記録的なものとなったが、その一方で細かな不満点や議論も存在した。

批評家の評価

専門メディアによる『あつ森』のレビューは概ね「絶賛」と言って差し支えない。海外レビュー集積サイトMetacriticではSwitch版が平均スコア90/100という高い評価となり、シリーズ最高評価を更新した。

日本のゲーム誌『ファミ通』のクロスレビューでも38/40点とプラチナ殿堂入りを果たしており 、国内外で非常に好意的に受け入れられたことが分かる。

批評家たちが特に称賛したのは、本作が提供する自由で創造的なゲーム体験だった。例えばIGNやGameSpotといった海外大手レビューでは、島クリエイターを始めとするクリエイティブな要素が高く評価されている

自分で地形をいじり、家具や建物の配置を決めて、まさにプレイヤー自身の手で島をデザインできる点は他のゲームにはない魅力だと評された。

GamesRadar+は「昔ながらのキャラクターやコンセプトを残しつつ、新しいゲームプレイ要素を加えた点」を称賛し 、Eurogamerのレビューも「全体的な構造が明確になり、過去作以上にプレイフィールが良くまとまっている」と好意的にコメントしている。

また、たぬきマイレージシステムの導入も好評だった。「小さな目標が常に提示されることで、プレイヤーにやることと達成感を与えてくれる」とPocket GamerやUSgamerなどが指摘し、特に初心者にとって親切な「任意のガイド」のような役割を果たしていると評価された。

DIYクラフトも「集めた資源が無駄にならず、全てに価値が生まれた」とNintendo Lifeが称賛し 、プレイヤーに新たな目的をもたらしたと述べている。

一方で、批評家から出たマイナス点もいくつかある。指摘が多かったのは序盤のスローペースに関して。ゲームの特性上、一日にできることに限りがあり、例えば家の建築や橋の完成などが現実の翌日まで完了しない仕様について、「序盤はやれることが少なく退屈に感じる」という声があった。

IGNのレビュアーは「時間操作(いわゆる日付変更)をする気はなかったが、テンポを上げるために15日進めてしまった」と告白しており 、一部のゲーマーにはこのリアルタイム進行がもどかしく映ることもあったようだ。

他には道具が壊れる仕様(耐久度システム)に不満を示す意見や、島一つにつき一人しか主要な進行を体験できない(※同じSwitch本体で複数プレイヤーがいる場合、島代表でないとストーリー要素が進まない)点が批判された。

この制約に関しては発売直後にレビュー爆撃(低評価投稿)が起きたとの報道もあり 、家族で遊ぶユーザーから「島を別々に作れないのは不便」との声が上がった。しかし、こうした否定的意見は全体から見れば少数派で、総じて批評家たちは『あつ森』を「この時代に求められた、癒しと創造性の傑作」と評価した。

特に2020年というパンデミック禍において、本作が絶妙のタイミングで発売されたことも評価を押し上げた要因だろう。米誌WIREDのレビュアーは「このゲームは精神衛生上まさに必要だったもので、同僚たちとお互いの島を訪れて心の安らぎを得ている」とコメントし 、Stay Home下での大きな救いになったと述べている。

また、本作のヒットにより「Cozy game(心地よいゲーム)」という用語が再注目され、他の農場系スローライフゲームにもスポットライトが当たるきっかけになったとも言われている。

ユーザーの評価と反響

ユーザーからの評価も総じて非常に高いものがあった。任天堂公式が公表したプレイヤーデータでは男女比や年齢層が幅広く 、老若男女問わず多くの人が『あつ森』に熱中したことが伺える。

実際、発売後しばらくはTwitterなどSNSのトレンドに連日「あつ森」関連ワードが登場し、社会現象とも言える盛り上がりを見せた。多くのユーザーが口にしたのは、「毎日『あつ森』を遊ぶ習慣ができてしまった」という喜びと驚き。

あるファミ通編集者は発売から約2ヶ月でプレイ時間250時間に達したと語り、それでもモチベーションが衰えず島いじりを続けていると述べている。過去シリーズに比べて格段に「飽きにくい」との声もあり、実際発売1年以上プレイを継続するユーザーが多く見受けられた。

その理由として、アップデートで新要素が供給され続けたことや、マイデザイン・島クリエイトによる終わりなき創作の余地、またオンラインで他人の島を訪れ刺激を受ける機会が豊富だったことなどが挙げられる。

ユーザーレビューサイトでも高評価が並び、例えば楽天ブックスの商品レビューでは平均★4.57/5(レビュー数約1,880件)という満足度になっている。

購入者からは「魚釣りや部屋のレイアウト、季節イベントなど楽しめる点が多い」「家族や友人とも一緒に遊べて癒される」といった声が寄せられ 、本作の持つリラックス効果やコミュニケーション効果を評価する意見が目立った。

特にコロナ禍でゲームをプレゼントされたシニア層などからも「ゲーム初心者の母(60代)でもどっぷりハマって日常生活の一部になっています」といった微笑ましい報告があり 、世代を超えて楽しめるゲームとしても注目された。

もっとも、ユーザーの中には熱心だからこそ出てくる要望や不満もある。SNS上で話題になったものとしては、収納(持ち物や家の収納スペース)の少なさやクラフト時のUI(まとめて作れない、不便)への改善要求住民からもらえるレシピや会話パターンの重複が多い点などが挙げられる。

発売から1年半後の大型アップデートでは、こうした要望に応える形で収納拡張やまとめ買い機能などが実装され、ユーザーも歓迎した。また、島一つ問題(1台のSwitchにつき島は一つ)の是非も議論されたが、任天堂は方針を変えず現在に至る。

とはいえ、総じてユーザーの満足度は極めて高く、「こんなにハマるとは思わなかった」という声が多かった印象です。発売前は「スローライフゲームだからすぐ飽きるかな」と思っていた人が、気づけば何百時間も遊んでいるというケースも珍しくなかった。

中には「毎日島に行くのが習慣で、もはやもう一つの生活」とまで言う熱狂的ファンもおり、そうしたユーザーコミュニティの盛り上がりも本作の評価を押し上げた要因と言えるだろう。

受賞歴と記録

はその年のゲーム業界の賞を多数受賞している。まず日本ゲーム大賞 2020では年間作品部門の「大賞」に選ばれ、さらに「優秀賞」や経済産業大臣賞まで受賞する快挙を成し遂げた。

経産大臣賞は社会現象になるなど特に貢献の大きかったコンテンツに贈られる賞で、本作の開発チームが受賞している。同年のファミ通・電撃ゲームアワード2020でもゲームオブザイヤーを受賞し、国内評価は軒並み最高クラスだった。

海外でも、The Game Awards 2020(ゲーム界のアカデミー賞とも言われるイベント)においてGame of The Yearノミネートを果たし 、最終的に「Best Family Game(最優秀ファミリーゲーム)」を受賞している。

またイギリスのBAFTAゲームアワード2021では「Game Beyond Entertainment(娯楽の域を超えたゲーム)」部門を受賞し 、コロナ禍で人々に与えたポジティブな影響が評価された。Golden Joystick Awardsでは「Best Game Community」にノミネートされ 、コミュニティの盛り上がりも評価対象になっている。

他にもCEDEC AWARDS 2020(日本の開発者会議)のビジュアルアーツ部門で受賞 、文化面では「現代用語の基礎知識」選 新語・流行語大賞2020で「あつ森」がトップテン入り 、Yahoo!検索大賞2020ゲーム部門賞受賞 など、ゲーム業界内外の賞を総なめにした。

さらに2020年末には「NHK紅白歌合戦」に『あつ森』が登場し、アイドルグループ嵐とコラボ演出をするという異例の出来事まであった。これはテレビの国民的番組にゲームが登場した例としても話題になり、本作の社会的認知度を物語っている。

このように、本作は批評的にも商業的にも大成功を収め、その評価は数々の賞によって裏付けられた。批評家とユーザー双方から愛され、さらにゲームの枠を越えて2020年という時代を象徴する存在となったことは、本作を語る上で欠かせないポイントだろう。

第7章:売上と記録

『あつまれ どうぶつの森』の販売実績は、任天堂の歴代タイトルの中でもトップクラスに位置している。

世界・日本それぞれで驚異的な売上を記録し、いくつもの記録を打ち立てた。

世界での売上

全世界における『あつ森』の累計販売本数は、2025年9月末時点で4,862万本に達している。これはNintendo Switch用ソフトとして歴代でも屈指の数字で、同ハードでは『マリオカート8 デラックス』に次ぐ2位となっている(参考:マリオカート8DXは2021年末時点で累計4,335万本 、その後も伸び続けている)。

『あつ森』は発売からわずか数年でこの数字に到達しており、Switchの普及台数約1億台(2022年時点)を考えると、世界中のSwitchユーザーの約半数近くが購入した計算になるほど。

特筆すべきはその販売速度。任天堂の決算発表によれば、本作は発売から約1年(2021年3月末)までに全世界累計3,263万本を販売した。

さらに2021年末までの9ヶ月でプラス500万本を売り上げ累計3,762万本に到達したことが報告されています 。発売1年で3000万本超えというのは任天堂史上でも前例のない驚異的なペースで、特にパンデミックが最も深刻だった2020年春~夏にかけての需要が爆発的だった。

実際、2020年3月の発売週に全世界同時発売されると、その週末だけで約1,188万本(うちデジタル版約500万本)を販売し、当時の世界記録的な月間販売本数を樹立したとの報道もある。

世界的な観点で見ても、『あつ森』は女性やライト層を取り込んだタイトルとして異例の成功と言える。多くのゲームが男性ユーザー中心の中、本作は女性プレイヤーの購入が非常に多く、米国などでも売上の半数近くが女性というデータがあった。

また欧米での人気もシリーズ過去作より飛躍的に伸び、特に米国では2020年年間売上で『CoD: Modern Warfare』などの超大作に次ぐ高位置につけるなど、任天堂タイトルとして異例の健闘を見せた。

2026年のNintendo Switch 2版発売に伴い、本作は引き続き売上を伸ばしている。Switch 2版は2026年1月に発売され、初週で3.1万本を販売 。それまでのSwitch版の販売分と合算すると、今後5000万本の大台も見えてきている。

Switchというハードを代表するソフトとして、そして2020年代を象徴するゲームとして、『あつ森』は驚異的なセールスを積み上げている。

日本国内での売上

日本国内での『あつまれ どうぶつの森』の売上もまた、歴史的な数字となった。発売初週(3日間)だけで推定188万本を販売し 、Switchソフト史上最大のローンチを記録。これは従来1位だった『ポケットモンスター ソード・シールド』(初週136万本)を大きく上回るスタートで、据置ゲーム機全体でも国内史上最高クラスの初動である。

その後の伸びも凄まじく、2020年内に国内累計600万本、2021年には800万本を突破。2022年初頭には任天堂から「国内累計1000万本を突破した」と公式に発表された。

これにより単一タイトルとして日本で歴代1位の売上となったことが明らかにされている。従来の国内トップ記録は1985年発売の初代『スーパーマリオブラザーズ』の約681万本だったが 、『あつ森』はそれを大きく塗り替えた。ファミコン時代からの記録を35年ぶりに更新したことになり、日本ゲーム市場における偉業と言える。

2025年3月末時点での国内累計販売本数は1,191万本となっている。この数は家庭用ゲームソフトの歴代国内売上でトップの記録(2位以下は『ポケットモンスター 赤・緑』約822万本(両バージョン合算)、『スーパーマリオブラザーズ』681万本など)。『あつ森』がいかに幅広い層に購入されたかが分かる。

Switch本体自体が日本で約2,800万台普及(2025年時点)している中、その4割以上にあたるユーザーが本作を持っている計算である。

さらに注目すべきは、この数字にはパッケージ版とダウンロード版の合計が含まれている点。デジタル比率が高まる昨今、本作も相当数がeショップ経由で購入された。

初週188万本のうち推計で約半分がダウンロードだったとも報じられており、コロナ禍で店頭販売が難しい状況も相まって、デジタル販売比率がかなり高いタイトルだった。それでもパッケージも売れ続け、2020年末には品薄になった店舗もあったほど

記録として挙げるなら、「日本国内で歴代最も売れたゲーム」となったことが最大のトピックだろう。また発売年である2020年の国内年間売上ランキングでは当然1位、さらに2021年も年間3位に入るなど、2年間トップクラスを維持した。

加えて、週販ランキングでも発売以降54週連続トップ10入りという離れ業をやってのけ、これも史上初の快挙です。要するに1年以上に渡り売れ続けたロングセラーだったということである。

以上のように、本作は世界・日本の双方で記録的ヒットとなった。販売本数の観点では、任天堂の看板シリーズであるマリオやポケモンに肩を並べ、場合によってはそれらを超える勢いを見せた。特に日本市場では文字通り過去最高となり、ゲーム史に名を残すタイトルと言える。

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第8章:社会的影響、コロナ禍のオアシスからコラボまで

本作は単なるゲームの枠に留まらず、2020年前後の社会現象とも結びついた。新型コロナ禍での大ヒット、SNSでのブーム、ファッション業界や教育分野とのコラボなど、ゲームを超えた影響力を発揮した。

コロナ禍での大ヒットとバーチャル社交

2020年、世界中が未曾有のパンデミックに直面し、人々は外出やイベントの自粛を余儀なくされた。そんな中、『あつ森』は「仮想空間で他者と繋がる場」として大いに活用された。発売直後から、現実で中止になった様々なイベントをゲーム内で代替しようという動きが見られたのである。

例えば、卒業式や結婚式といった人生の大切な節目がコロナで中止に追い込まれた際、一部の人々は『あつ森』内で卒業式・結婚式を再現する試みたりしている。

アメリカの大学生グループが島の上で卒業式を行ったり、日本の阪南大学が公式に「はんなんだいがく島」というキャンパス再現島を公開してオンライン卒業式イベントを開いたりした事例がある。

阪南大学のケースでは、教室や図書館、式典会場まで島に忠実に再現され、卒業生たちは各自自宅からSwitchを通じて島にアクセスし、仮想とはいえ思い出に残る式を体験した。生徒からも「自分の学校が好きなゲームの中にあるのは嬉しい」「卒業後も夢番地で母校に遊びに行けるのが良い」と好評だったという。

結婚式についても、SNS上で「ゲーム内で結婚式を挙げた」という報告が相次いだ。発売まもない頃に海外のあるカップルがキャンプファイアの前で簡素な式を挙げた投稿が話題になり 、その後は凝ったステンドグラスやバージンロードをマイデザインで用意し、多くの友人を島に招いて行う盛大な式まで登場した。

まさに「ゲーム内儀礼イベントの進化」が起きていたのである。

誕生日パーティーも、現実で友達を呼べない子供のために親が『あつ森』内でサプライズ開催するといったエピソードがあった。X(Twitter)上では娘の9歳の誕生日に友人たちが集まり祝った投稿がバズり(いいねが殺到し)、後には64歳の母親のために娘が島で誕生会を開いた話なども注目を集めた。

参加者同士が着飾り、ケーキや花束で飾ったパーティー会場で記念撮影している様子は、「実際に集まれなくても心は繋がっている」ことを象徴する光景として多くの人の心を打った。

このように、『あつ森』はコロナ禍で失われがちだった人と人とのふれあいをオンライン上で実現できるツールとなった。

同じ島に集まってわいわい会話したり、一緒に花火を見上げたりできることが、人々に大きな癒やしや充実感を与えた。通信プレイ中はキャラクターの動きや表情、チャット機能を通じて意思疎通が図れる。

会えない友達と島で再会し、ゲーム内で鬼ごっこをしたり記念撮影をする様子は、ある種の擬似現実のようでもあった。

また、本作は単にプレイヤー同士だけでなく、政治・社会的な場面でも利用された。例えば、2020年米大統領選ではバイデン陣営が『あつ森』内に選挙キャンペーン用の島を作り、バイデン候補の顔写真看板や投票を促すメッセージなどを配置した(いわゆる「じみん島」ならぬ「Biden島」)。

香港の民主化活動家はゲーム内で抗議活動を行い、中国当局に問題視されてしまうという事件も起きている。こうした政治利用について任天堂は後に利用ガイドラインを策定する事態になったが、一連の出来事は『あつ森』の社会への浸透度を如実に示すものだった。

総じて、コロナ禍において『あつ森』は「人々のオアシス」となった。Stay Home期間中、本作は世界各地で売上記録を塗り替え、Nintendo Switch本体が品切れになる国も出るほど需要が爆発。社会学的にも「なぜこんなにヒットしたか」が分析され、新聞やテレビでも特集が組まれた。

仮想現実で第二の生活を営む」という現象を指して「デジタルな村社会の出現」などと評する論考もあった。まさにゲームが一つの社会基盤となり得ることを証明したとも言える。

SNSとコミュニティのブーム

『あつ森』はSNSとの親和性が極めて高いゲームだった。プレイヤーたちは自慢の島やマイデザイン、可愛い住民とのエピソードなどXやInstagramに次々投稿し、一大#あつ森ブームが巻き起こった。

発売直後からしばらく、「#どうぶつの森」「#AnimalCrossing」のハッシュタグは世界中でトレンド上位に君臨し、ゲームの枠を超えたカルチャーとして人々の話題に上がった。

特にマイデザインの共有文化はSNSがあってこそ広がったもの。ユーザーはドット絵で描いた服や床の模様を作品IDとして公開し、Twitter上で「〇〇の服作りました!IDはこちら」と発信した。

するとそれを見た別の人が自分の島で着用しスクリーンショットを投稿する、といった創作と共有のサイクルができあがった。

ネット上では有志が「マイデザイン配布まとめサイト」まで作り、人気の高いデザインは瞬く間に世界中に拡散して行った。

ファッションブランドや企業もこの波に乗った。先述のように有名ブランドのMarc JacobsやValentinoは自社の最新コレクションの衣装デザインを『あつ森』用に公開し、世界中のプレイヤーがそれをゲーム内で着て楽しんだ。

また日本のジェラートピケ(ルームウェアブランド)は「あつ森」とのコラボルームウェアを現実に販売し、さらに同デザインの服をゲーム内で着られるよう公式マイデザインも配布した。

ユニクロも2021年にUTコレクションとして「あつ森」デザインのTシャツを発売し、同時にゲーム内でそのTシャツを着られるマイデザインIDを公開している。

他にもPUMAとコラボしたスニーカー&アパレルが発売され、ベル袋(お金袋)やたぬきちの柄をあしらったスニーカーが登場するなど、ゲームとリアル双方で商品展開が行われた。これらはファッション業界とゲームの融合の象徴的出来事であり、従来ゲームでは考えにくかった規模で進行した。

SNS上では「島訪問会」や「マルチプレイ交流会」の呼びかけも盛んだった。あるユーザーが「○月○日に花火大会やります!参加者募集」と投稿すれば、世界中から参加希望者が集まり、当日はその島に一度に8人まで訪れて一緒に花火を見て楽しむ、といったコミュニティ形成が起こった。

Discordなどを使って定期的に集会を開くグループもあれば、YouTubeで実況者が自分の島紹介や有名プレイヤーの島訪問動画を次々投稿し、それを見た人々がまた触発されて…という良い循環が生まれていた。

このようなコミュニティの盛り上がりはゲームアワード等でも評価され、Golden Joystick Awardsの「Best Game Community」部門にノミネートされたほど。開発チームもSNS上のフィードバックを参考にアップデートを検討したり、公式Twitterでユーザー投稿を紹介したりと積極的に関与していた。

結果として、本作は「ユーザーと共に成長するゲーム」という側面を持つに至り、そのコミュニティ規模は任天堂のゲームとしては史上最大級となった。

ファッション・企業コラボ

前述のファッションブランドコラボに加え、他業種とのコラボレーションも多々実現した。例えば美術館・博物館との連携がある。

米ロサンゼルスのゲティ博物館は自館の名画を『あつ森』のマイデザインに変換できるウェブツールを公開し、誰でもモナリザやゴッホの「星月夜」などを自分の島に飾れるようにした。

英大英博物館や日本の島根県立美術館なども所蔵作品をマイデザイン配布し、コロナ禍で実物を見に行けない人々がゲーム内でアート鑑賞できるよう工夫。ゲーム内博物館を持つ『あつ森』ならではの文化交流であり、教育的意義も兼ねていたと言える。

企業コラボでは、日本では伊勢丹(百貨店)が「あつ森デザインの浴衣」を限定発売し、ゲーム内でも同じ浴衣を着られるデータを配布する施策を行った。

コンビニのセブンイレブンは店内放送でしずえの声を起用したり、限定アイテムコードを配ったりといったプロモーションを展開し話題になった。

アメリカのペンシルベニア大学は新入生歓迎イベントをあつ森島で実施したり、イギリスの観光局が名所を再現した島を公開したりと、プロモーションプラットフォームとしても注目された。

ゲーム内アイテム面でも、スーパーマリオ35周年コラボとしてマリオの帽子やクッパのコスチューム、土管などを家具として導入する大型コラボアップデートが実施された。マリオの土管はワープ機能があり島内移動に使えるなど便利な要素で、ファンを喜ばせた。

またサンリオ(ハローキティなど)とのコラボでは、専用amiiboカードでサンリオキャラをモチーフにした住民や家具を登場させ、キティちゃんの服やマイメロディの椅子などが手に入るようになった。これもグッズ発売と連動し、ゲームファンとサンリオファン双方を取り込む展開だった。

さらに興味深いのは、本作の人気にあやかって自治体や企業が「あつ森」で町おこしを図った例もあること。兵庫県は公式に「あつまれひょうごの森」という島を公開し、県内名産品や観光地をPR。Microsoftは自社TeamsのPRとして「あつ森」とTeamsのコラボCMを打ち出した(在宅勤務の同僚たちがあつ森で会議する、というCM)。

テレビ朝日の番組「Mステ」(音楽番組)がゲーム内で観覧システムを模索したり、NTTが島開発のコンサルティングビジネスを始めたりと、ビジネスチャンスとしての側面まで見えたのは驚きであった。

教育分野への波及

本作は教育・研究の場にも思わぬ影響を与えた。先述の卒業式開催や美術館の活用に加え、学校教育者からも「子どものコミュニケーションや創造性を育むツールになる」と注目された。

実際、ある小学校教師が授業で『あつ森』をテーマに取り上げ、算数の問題(カブ価の計算)に応用したり、作文のお題にした例もある。子供たちに身近なゲームで興味を引きつけ、そこから学びに繋げる取り組みである。

また、社会科の授業で「無人島開拓」を題材に自給自足や環境問題を考えさせるディスカッションを行った教師もいる。

『あつ森』内で自然を乱獲しすぎると昆虫が出なくなる現象(木を全部切ると虫が減る等)をヒントに、生態系について議論するなど、ゲーム体験が教育素材となった。

大学の研究者たちも本作を文化現象として分析した。心理学の面から「どうぶつの森が人の心に与える安らぎ効果」を調査したり、経済学の視点で作中通貨ベルや株(カブ)価の市場原理を研究したりする動きもあった。

ある人類学者は『あつ森』のコミュニティを観察し、仮想社会におけるルールやモラルの形成過程を論文にまとめている。

また建築デザインの分野では、島クリエイトで秀逸な島を作るプレイヤーのセンスが注目され、「新しいデジタルアーキテクチャ」して評価されたりもした。

教育的視点でユニークだったのは、子供と親のコミュニケーションツールになった例である。外出できない子供に親がSwitchと本作を与え、一緒に島を作る過程で協力したり会話が増えたりしたという家庭が多数ある。ゲームを通じて世代間の橋渡しができ、「普段ゲームに否定的だった親世代が自らハマってしまった」なんてエピソードも聞かれた。

このように、本作はゲームの枠を超えて様々な社会領域に影響を与えた。巣ごもり需要に応えて人々の心を救い、SNSやファッションで新たな文化を生み、教育やビジネスにも一石を投じた

任天堂自身も「ここまで社会に浸透するとは」と驚きをもって受け止めていたようで、2020年の任天堂決算説明では「本作はゲーム人口の拡大に大きく貢献した」とコメントしている。(ゲーム人口の拡大は、故・岩田聡氏が経営理念として掲げていた)

ゲームが単なる娯楽ではなく、人々を繋ぎ、創造性を刺激し、時代の象徴となり得ることを、『あつ森』はまざまざと示してくれたのである。

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あとがき

以上、『あつまれ どうぶつの森』のストーリーから社会的影響までを網羅して解説しました。

無人島でのスローライフというコンセプトは、多くの人々にとって心の拠り所となり、ゲーム史に残る大ヒットと豊かなコミュニティを築き上げた。

可愛いどうぶつたちとのんびり過ごす日々は、現実が大変な時期にあっても私たちに笑顔と癒やしを与えてくれた。

今後もシリーズの新展開や、Switch後継機での展開が期待されているが、『あつ森』が残した功績は色あせることはないだろう。間違いなくゲーム史に残した屈指の名作と言っても過言では無い。

ゲーム内で聞いた風の音、小川のせせらぎ、しずえさんの朝の挨拶、そして夜空に流れるとたけけの歌声──それらはプレイヤーの心に刻まれたかけがえのない記憶。

『あつまれ どうぶつの森』は、ゲームが持つ優しさと可能性を存分に示した作品として、これからも語り継がれていくに違いない。

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