1998年に発売された『バイオハザード2』は、ゾンビにあふれたラクーンシティからの脱出劇を描くサバイバルホラーゲーム。
近年は2019年発売の『バイオハザード RE:2』としてリメイクされ、最新技術で生まれ変わったことで新しいファン層も増えている。
本記事では、作品のダブル主人公の一人であるレオン・S・ケネディに焦点を当て、彼の活躍や成長を振り返って行く。
初登場時のレオンは頼りない新人警官ながら強い正義感を持つ青年であり、彼の人間味あふれる行動は多くのプレイヤーを魅了した。
⚠️この記事ではネタバレを含みますのでご注意あれ!
「レオン・S・ケネディ」とは?

ルーキー警官としての登場
レオン・S・ケネディは元々ラクーンシティの住民ではなく、山中で起きた「洋館事件」に興味を持ってラクーン市警(R.P.D.)への着任を志願した新米警官。
オリジナル版『バイオハザード2』では、恋人と大喧嘩した結果ヤケ酒をあおって寝過ごし、初出勤日に夕方遅くラクーンシティに到着するというユーモラスな設定があった。
一方、『バイオハザード RE:2』では数日前にR.P.D.から自宅待機命令が出されたため出勤が遅れ、連絡が途絶えた街の様子を見るために車を走らせたというスマートな理由へ変更されている。
どちらのバージョンでも、彼が新人警官として現場に居合わせた「偶然性」が物語の鍵になっている。
後の姿とシリーズでの役割
ラクーンシティでの体験を経たレオンは、後の作品でアメリカ合衆国政府直属のエージェントとなり、『バイオハザード4』『バイオハザード6』などで世界各地のバイオテロと戦う重要人物へ成長して行く。
シリーズの最新作『レクイエム』では歴戦のエージェントとして描かれており、ラクーン事件の後遺症と呼ばれる「ラクーンシティ症候群」に苦しみながらも過去と向き合い続けている。
しかし今回の記事では、そんな彼の原点ともいえる「ルーキー時代」に焦点を当てて行く。
バイオハザード2事件の沿革

本作は単なるアクションホラーではなく、シリーズ全体に連なる歴史の中で位置付けられている。
時系列を整理しておくと、レオンが巻き込まれた「ラクーン事件」の全体像がより鮮明に見えて来る。
ここでは洋館事件からラクーンシティ壊滅までの出来事を振り返っていく。
洋館事件からラクーン事件への序章

1998年5月11日、製薬会社アンブレラのアークレイ研究所でバイオハザードが発生し、市郊外やアークレイ山地で怪物の目撃が相次いだ。
この事件の調査のため、特殊部隊S.T.A.R.S.が7月24日に洋館へ投入され、研究所は爆破される。
俗に「洋館事件」と呼ばれるこの出来事によってアンブレラの暗部が暴かれ、クリス・レッドフィールドら生き残りはアンブレラを追ってヨーロッパへ向かう。
しかし、彼らが街を離れたことで、ラクーンシティは無防備なまま秋を迎えることになった。
感染拡大と警察署の崩壊


ウィリアム・バーキンが独自に開発したG-ウィルスを巡ってアンブレラとの利権争いが起こり、特殊部隊が地下研究所を襲撃した結果、バーキンは自らGウィルスを投与して怪物化する。
その際に破壊されたTウィルスのサンプルが下水道に流れ込み、ネズミを媒介にラクーンシティ全域へ拡散した。

9月23日頃から街では「人食い病」と呼ばれる異常な感染症が広がり、市長マイケル・ウォーレンは娘を残して市外へ逃亡したと言われている。
感染は急速に広がり、9月26日にはゾンビの集団がラクーン市警察署に雪崩れ込み、多数の警官や避難民が犠牲になった。この襲撃で通信設備が破壊され、外部との連絡がほぼ不可能になってしまう。
翌27日には署内のバリケードが突破されて犠牲者が増え、28日未明には会議室にもゾンビが侵入し、警察署は事実上崩壊した。
前日9月28日には、S.T.A.R.S.隊員のジル・バレンタインがラクーンシティから脱出を試みていたことが他作品で描かれており、同じ街で複数のサバイバル劇が同時進行していた。
レオンが現場に訪れた日

こうした混乱の中、9月29日の夜に新米警官レオン・S・ケネディと大学生クレア・レッドフィールドがラクーンシティへ到着する。
『バイオハザード RE:2』の作中の日付が1998年9月29日であると公式に明示されており 、洋館事件から約2ヶ月後の出来事であることが分かる。
二人が目にしたのは、t-ウィルス感染によって生ける屍者(ゾンビ)の街と化した故郷であり、生存者を求めて彷徨う中で運命の出会いを果たした。

この日、アンブレラはGウィルスサンプルを回収するためにタイラントT-103型を市内へ投下し 、街はさらなる混乱に陥る。
レオンはFBI捜査官を名乗るエイダ・ウォンと協力しながら地下研究所へ向かい、異常進化を続けるGバーキンと対峙した。
9月30日の早朝、レオンとクレアは最終形態に変貌したGバーキンを撃破し、バーキンの娘シェリーを救ってラクーンシティから脱出する。この際、エイダは行方不明となり、別ルートで脱出した特殊部隊員ハンクがG-ウィルスの回収に成功したことが明かされている。
滅菌作戦と事件の結末

レオンたちが脱出した後も街には無数の感染者が取り残されており、軍の救助部隊U.B.C.S.が投入され民間人の救出作戦が行われた。(バイオハザード3)
しかし、感染拡大を止めることはできず、アメリカ政府の高官たちは「滅菌作戦」と称するミサイル攻撃を議決する。
10月1日にはラクーン総合病院が証拠隠滅のため爆破され 、10月2日に戦術ミサイルが投下されてラクーンシティは完全に消滅。この極端な対応は事件を闇に葬るための措置であり、生存者は政府による保護と監視下に置かれた。
このように、レオンが巻き込まれたバイオハザード2の物語は、洋館事件を起点とする一連の感染拡大と陰謀の中で起こったものである。
時系列を知ることで、彼が新人警官でありながらいかに大きな流れの渦中に立たされていたかが伝わって来る。
ラクーンシティでの初出勤 – レオン編
街への到着とクレアとの出会い

1998年9月29日夜、ラクーンシティでは奇妙な殺人事件や「人喰い病」の噂が広がっていた。そんな夕暮れ時、二人の人物がラクーンシティを目指していた。
一人はR.P.D.に配属された新米警官レオン・S・ケネディ、もう一人は音信不通となった兄クリスを探す女子大生クレア・レッドフィールドである。
この時、二人は自分たちが向かう先に圧倒的な恐怖と絶望の世界が待ち受けていることをまだ知らなかった。

ラクーンシティへ向かう途中、レオンはガソリンスタンドでゾンビに襲われ、そこでクレアと運命的に出あう。二人はパトカーで市内へ向かうが、途中で潜んでいたゾンビに襲われ、暴走したタンクローリーと衝突してしまい離れ離れになってしまう。
再会を誓って別行動を取った二人は、それぞれのルートから警察署を目指すことになる。
警察署での奮闘

レオンがたどり着いたラクーン警察署はすでに壊滅状態でした。瀕死のマービン・ブラナー警部補から「t-ウィルス」が蔓延したバイオハザードであることを知らされ、脱出経路を見つけるため署内を探索を開始する。
『RE:2』では監視カメラ越しに「脱出経路を見つけた!」と叫ぶ警官を探しに行くイベントや、重傷を負ったマービンと出会う展開が描かれており、レオンは謎解きと探索で署内の隠し通路を開けるために奔走する。
警察署では「リッカー」と呼ばれる恐ろしいクリーチャーやゾンビ犬と遭遇する他、アイアンズ署長の不正を暴こうとした記者ベンと出会うシーンなど、多数のイベントが発生する。

重傷のマービンは自らの感染を悟ってレオンに「先に行け」と指示し、レオンは苦渋の決断で彼を残して先へ進む。
新人警官ながら、彼は常に生存者を救おうとする強い意志を持っており、その毅然とした態度は公式サイトでも「新人にもかかわらず警官らしい姿勢がかっこいい」と評されている。
ガンショップでの心の葛藤

警察署を抜けた先にはガンショップ「ケンド」がある。ここでレオンは娘が感染した店主ロバート・ケンドと対峙する。
彼は娘を見捨てず最後まで寄り添うことを選び、レオンは沈痛な面持ちでその背中を見送るしかなかった。
このシーンでは、彼が「人々を救いたい」という熱い志を胸に警察官となったことが明かされ、バイオハザードがもたらす悲劇に直面する。
エイダ・ウォンとの遭遇


地下駐車場でゾンビ犬に襲われたレオンは、自らFBIを名乗る謎の女性エイダ・ウォンに助けられる。彼女はアンブレラ社の不正を追うために潜入しており、二人は協力関係を築いて行く。
やがてレオンは、今回の事件が製薬会社アンブレラが開発した生物兵器「t-ウィルス」と、研究者ウィリアム・バーキンが生み出した「G‑ウィルス」によって引き起こされたものであることや、エイダがウィルスを奪取するために派遣されたスパイであったことを知る。
しかし、行動を共にするうちに惹かれ合った二人は、裏シナリオでキスを交わすなど複雑な関係へと発展。
レオンはエイダからカードキーの在処やアンブレラの闇を聞き出し、地下牢に閉じ込められた記者ベンからもアンブレラが支援する孤児院やGウィルスに関する情報を得る。
彼は真相に近付くにつれてアンブレラへの疑念を深め、「ラクーン警察署長がアンブレラと癒着している」と確信して行く。
下水道と研究所 – 物語の核心へ

警察署を脱出したレオンとエイダは下水道へ降り、そこでアンブレラ研究員でありシェリーの母でもあるアネット・バーキンと遭遇する。
アネットは、夫ウィリアムが特殊部隊の襲撃から研究成果を守るため自分にGウィルスを投与して怪物化した「G生物」であることを明かし、シェリーを追跡する怪物の正体を告白する。
研究所「NEST」では、レオンとクレアがシェリーを連れて貨物列車での脱出を図る一方で、ウィリアム・バーキンが複数形態へ変異しながら二人に迫る。
度重なる戦闘の末、レオンはエイダやクレアと協力してウィリアムを撃破し、ラクーンシティからの脱出に成功する。朝日を浴びながら、クレアは兄クリスを探すことを、レオンはアンブレラと戦うことを固く誓った。
物語の核心 – 真実との対峙
t-ウィルスとG-ウィルスの真相

物語を通じてレオンが知ることになる最大の衝撃は、今回のバイオハザードがアンブレラ社によって作られた生物兵器「t-ウィルス」と「G-ウィルス」の漏洩であること。
Tウィルスはゾンビやリッカーなどのクリーチャーを生み出し、Gウィルスはウィリアム・バーキンのような再生能力と異常進化を伴う怪物を生み出した。
アンブレラ社はこのウイルス研究を軍事目的で進めていた上、ラクーンシティの壊滅を隠蔽しようとしたため、政府機関も事件に関与していることが判明する。
シェリーと生存者たち

レオンは物語の途中でクレアが助けた少女シェリー・バーキンと合流する。
シェリーは感染によって体内にG-ウィルスの芽を宿しており、脱出時に治療を受けなければ生命の危機に瀕していた。レオンとクレアは彼女を守りながら研究所を進み、最終的には解毒剤によって彼女を救う。
この経験は、レオンにとって「誰かを救うために戦う」という信念をより強固なものにした。
アダム・ベンフォードとの出会い

ゲーム本編では描かれていないが、脱出後のレオンはシェリーとともにアメリカ政府に保護され、政府の諜報員アダム・ベンフォードからエージェントへのスカウトを受けることになる。
これがのちに『バイオハザード4』や『6』で描かれるエージェント時代へつながる伏線になっている。
レオンが残したもの – バイオハザード2から未来へ
アンブレラとの戦いを誓う

ラクーン事件から脱出したレオンは、「アンブレラを壊滅させる」という強い決意を抱く。この決意はシリーズを通じて彼を動かす原動力となり、各国で発生するバイオテロの原因を調査し、ウイルスと戦うエージェントとしての人生を選ぶきっかけとなった。
『バイオハザード4』では誘拐された大統領の娘アシュリー救出の任務に派遣され、『バイオハザード6』では世界規模のバイオテロと戦うなど、彼の活躍はさらにスケールアップして行く。
後の作品への影響
レオンのキャラクターは『バイオハザード2』での経験を土台に形成されており、彼の強い正義感や人間味ある優しさは後の作品でも一貫している。若き警官だった彼は、数々の死線を越える中で国家を背負うエージェントへと成長する。
ラクーンシティの生存者として心に傷を負いながらも、彼は「生き残ることの意味」と「他者を救うことの重さ」を知っているため、どんな危機的状況でも冷静に行動する姿が描かれている。
シリーズが進むにつれて彼の物語はより重厚になり、ファンの間でも絶大な支持を得ている。
あとがき
『バイオハザード2』におけるレオン・S・ケネディの活躍は、ただゾンビと戦うだけの物語ではあない。新人警官が極限状況の中で何を守り、何を選択するのか。その葛藤や成長が作品全体のドラマ性を高めている。
彼がクレアやエイダと出会い、マービンやケンドといった一般市民の悲哀に触れ、そしてシェリーを守り抜く姿は、プレイヤーに強い感情移入を促した。物語の最後で彼が決意した「アンブレラとの戦い」は、シリーズ全体を貫くテーマとなる。
ライトユーザーやシリーズ未経験者の方にとっても、レオンのルーキー時代を追体験できる『バイオハザード2』は筆者的にもめちゃくちゃおすすめ。
1998年のオリジナル版と2019年のリメイク版では描写や設定が一部異なるが、新人警官が自らの理想と現実のギャップに苦しみながらも信念を貫く姿はどちらでも変わりない。
ぜひ、レオン・S・ケネディの原点ともいえる物語をプレイし、その成長の軌跡を見届けて欲しい。
