初代『ポケットモンスター 赤・緑』を遊んだことがある人なら、ゲーム序盤に登場する豪華客船 アントアンヌ号(ゲーム内表記は「サント・アンヌごう」)にワクワクした記憶があるだろう。
クチバシティの港に停泊する豪華客船に乗り込み、さまざまなトレーナーとバトルしたり、アイテムを手に入れたりするイベントである。
本記事では、ネタバレを含めつつアントアンヌ号の魅力や攻略法、隠れた小ネタまで掘り下げて行く。
アントアンヌ号ってどんな船?
船の概要と乗船方法

アントアンヌ号はカントー地方のクチバシティに停泊している豪華客船。乗船には、マサキの家で彼を助けたあとにもらえる「ふねのチケット」が必要になる。
チケットを持って港にいる係員に話しかけると船に乗り込める。この船は世界各地を巡る豪華客船という設定で、ゲーム内でも「年に一度だけクチバ港に寄港する」と説明されている。
実際、船内には外国から来たトレーナーや船乗りが多く、異国情緒を感じさせるエリアになっている。
船はゲーム内の時間で長く停泊しているわけではなく、クチバシティに寄港しているのは主人公が訪れるタイミングのみ。そのため、船内でやり残したことがある状態で出港させてしまうと二度と戻れない。
ファンの間では「豪華客船なのに一度限りのダンジョン」として印象に残っている人も多いだろう。
船内の構造と雰囲気・提供料理

アントアンヌ号の船内は、調理場や客室、デッキなど細かく作り込まれている。船の1階には複数の客室が並び、その一部にはトレーナーがいる。
地下1階には船乗りが集まるエリアがあり、デッキでは潮風を感じながらバトルが楽しめる。2階の奥には船長室があり、ここで大事なイベントが起こる。
船内の装飾は豪華さを演出しており、レストランにはシェフが料理のアイデアについて話している場面もある。シェフは「牛フィレのステーキ」「シタビラメのムニエル」「さんまの塩焼き」といった実在する料理を考案しており、細かな生活感が感じられる。
また、ゴミ箱を調べると船長が船酔いのあまり吐いてしまった痕跡が分かるなど、ちょっとしたブラックジョークも仕込まれている。
サントアンヌ号のBGMと音楽の魅力

豪華客船の雰囲気を高めてくれるのが、船内で流れる専用BGM。初代のサントアンヌ号のテーマは増田順一さん作曲で、約1分12秒という短い曲ながら、陽気で優雅なメロディが船旅の高揚感を演出する。
8ビット音源ながらワルツのようなリズムが耳に残り、多くのプレイヤーにとって忘れがたい音楽である。
このテーマはリメイク作品でもアレンジされ、ゲームボーイアドバンス版の『ファイアレッド・リーフグリーン』では音色が豊かになり、ニンテンドースイッチ版の『Let’sGo!ピカチュウ・イーブイ』ではさらに爽やかな雰囲気に仕上がっている。
また、ホウエン地方の「うみのかがくはくぶつかん」では、サントアンヌ号の模型が展示されており、館内のBGMがこの船のテーマのアレンジになっていることも知られている。つまりこの曲は、海の科学博物館を訪れた際にも耳にすることができる。
加えて、このBGMはポケモン関連のサウンドトラックやコンサートでたびたび演奏されるほか、弦楽四重奏やオーケストラ用に編曲されることもある。
ファンコミュニティでは「豪華客船の浮遊感を伝える名曲」と評され、ゲーム音楽ランキングでもしばしば上位に入る人気曲の一つ。BGMの魅力を知ることで、サントアンヌ号がただのゲーム内イベント以上の存在であることが実感できる。
アントアンヌ号攻略のポイント
1. ライバル戦に備える

船に乗ると2階の通路でライバル(グリーン)とのバトルがある。
ライバルはレベル19前後のピジョンやラッタ、ユンゲラーに加え、御三家の進化形のリザード・カメール・フシギソウのどれかを繰り出しる。
序盤ではなかなか手強い相手なので、事前にポケモンを育てたり、回復アイテムを用意しておこう。船内にはトレーナーが多数いるため、乗船前にニビジムやハナダジムでの戦いでレベルを上げておくと楽になる。
2. 船長から「いあいぎり」を入手

ライバルを倒すと、さらに奥にある船長室に進める。
船長は船酔いで具合が悪く、主人公が背中をさすってあげるとお礼としてひでんマシン01(いあいぎり)をくれる。この技は、フィールド上の邪魔な木を切り倒すために必須であり、先へ進むための重要アイテム。
ちなみに、船長室にあるゴミ箱を調べると「見ないほうがいい」と表示され、船長が吐いたことを匂わせるメッセージが出て来る。
3. 出港後は戻れない – 意図的な敗北で船を残す裏ワザ
船長からいあいぎりを受け取ったあとに船から出ると、アントアンヌ号は出航してしまい、内部に二度と入れなくなる。
船内には「わざマシン08(のしかかり)」や「わざマシン44(ねむる)」「ピーピーリカバー」「ふしぎなアメ」など貴重なアイテムがあり、取り逃すと後から入手できないこともあるため要注意。
どうしても船を出港させたくない場合、船内のトレーナー戦でわざと負けてポケモンセンターに戻ると船が出航せずにそのまま残る。
この裏ワザを使えば、船内でレベル上げを続けたり、忘れ物を取りに戻ったりできる。ただし、出航させないままゲームを進めてもシナリオ上の影響はない。
4. 習得ポケモンを選ぶ
いあいぎりは攻撃力が高い技ではないうえ、一度覚えさせると忘れさせることができない。このため、専用のポケモンに覚えさせるのがおすすめ。
船内周辺の草むらにはナゾノクサやマダツボミ、サンドなどが出現し、いあいぎりを覚えられるので、出港後の移動中に捕まえておくと良いだろう。
アントアンヌ号にいるトレーナーとアイテム
船内には経験値稼ぎやアイテム回収に役立つ多くのトレーナーがいる
トレーナー
- たんパンこぞう – ニドラン♂ Lv21 など。
- ミニスカート – ポッポやニドラン♀などLv18前後。
- ジェントルマン – ガーディやポニータなど炎タイプを使用。
- ふなのり – シェルダーやタッツーなどみずタイプのポケモンが中心。
- つりびと – メノクラゲやトサキントを使うトレーナー。
- ライバル(グリーン) – ピジョン、ラッタ、ユンゲラーと御三家の進化形を使用。
トレーナーの数が多く、経験値を稼ぐには絶好の場所です。特に地下1階の船乗りたちはみずタイプが多いので、でんきタイプやくさタイプのポケモンが活躍する。
アイテム
1階では「わざマシン08(のしかかり)」を拾える。
地下1階では「まんたんのくすり」「ピーピーエイド」「わざマシン44(ねむる)」などが入手でき、隠しアイテムとして「すごいキズぐすり」もある。
2階には「ピーピーリカバー」や「ふしぎなアメ」があり、船長室で「ひでんマシン01(いあいぎり)」を入手できる。
いずれも出港すると取れなくなるので、隅々まで探索しておこう。
都市伝説と小ネタ

ミュウがトラックの下にいるという噂
初代ポケモン発売当時、友達同士の間でさまざまな裏技や都市伝説が広まった。そのひとつが「サントアンヌ号の端にあるトラックの下にミュウが隠れている」という噂。
出所が分からない謎の情報だったが、当時は「トラックを動かすとミュウが出る」「船の港からアメリカに行ける」など、実現不可能な裏技が学校で囁かれていた。
海外メディアも「当時はトラックの下にポケモンがいると信じるプレイヤーがいた」と紹介しており、今では懐かしい思い出として語られる都市伝説になっている。
この噂は後年、『Pokémon GO』でミュウが初めて登場した際に「トラックの下でミュウを見つけた!」という演出でファンを喜ばせた。20年以上も続いた噂が形を変えて実現したことで、古参トレーナーの間で話題になった。

筆者の住んでいた地域でもたくさんの噂や裏技が出回ってたけど、トラックに関しては一切回ってなかったな。
船長の船酔いと嘔吐シーン
ゲーム内で船長に話しかけると、彼が船酔いで苦しんでいる場面に遭遇する。
主人公が背中をさすってあげると感謝の印としてひでんマシン01を渡してくれるのだが、その際に船長室のゴミ箱を調べると「見ないほうがいい」というメッセージが出る。
これは船長が吐いた痕跡を示唆しており、子ども向けゲームながらブラックユーモアの効いた演出として有名。
海外のファンの間でも「船長はポケモンより弱い唯一のNPC」とネタにされている。

船長の背中をさすっている時に、ポケモンセンターの回復音が鳴るのがまた面白い(笑)
国際警察やシェフの存在
船内には国際警察を名乗る男がロケット団を追っていると話している。
後のシリーズに登場するハンサムというキャラクターの伏線とも言われ、ファンの考察が盛り上がった。
また、シェフが本格的な料理名を口にしているなど、細部の作り込みが印象的。
トラックへのアクセス方法とその後の報酬
アントアンヌ号の港には、船出の際にしか見られない謎のトラックが置かれている。実はこのトラック、普通にプレイしているとまず近付くことはできない。
プレイヤーがサーフィン(なみのり)を覚える前に船が出航してしまい、その後は港の奥に入れなくなるためである。それでも当時のプレイヤーは裏ワザやバグ技を駆使してトラックに辿り着こうとした。
具体的には「ひでんマシン01を手に入れたあとにわざと負けてポケモンセンターに戻る」「通信交換でいあいぎり持ちポケモンを先に入手し、クチバジムを飛ばして後で戻る」などの方法が知られている。
こうしたルートを経て港の奥へ行くと、確かにトラックは存在するが、初代では何も起こることはない。
後年、ファイアレッド・リーフグリーンではトラックの南側に隠しアイテムとして「フエンせんべい」が置かれ、ピカブイでは1日1回復活する「げんきのかけら」が隠されている。長年の都市伝説に配慮した遊び心と言えるだろう。
また、『ポケモンXD 闇の旋風ダーク・ルギア』のクイックバトルモードでは、ビューティー系トレーナーがバトル前に「トラックの下にはポケモンなんていないよ!」と歌の一節で噂をネタにしている。
噂は真実ではないが、ゲーム開発側もこの話題を意識していたことが分かる。
アントアンヌ号が戻るという噂とデマ
もう一つ有名な話として、「殿堂入りを365回するとアントアンヌ号が戻ってくる」というワザップに投稿されていそうな噂が出回った。
NPCのセリフに「サントアンヌ号は年に一度クチバに寄港する豪華客船」とあるため、プレイヤーが365回殿堂入り(=1年)すれば戻ってくるのではないかという理屈。
しかし、実際にはどれだけ殿堂入りを繰り返しても船は戻らず、この噂は完全なデマである。
また、ファイアレッド・リーフグリーン発売当時に「船員が『このゲームが好きなら買うか死ね』と警告するアンチ・パイレーツメッセージが現れる」というスクリーンショットが出回った。
これは海賊版対策ではなく、改造されたROMに仕込まれた偽メッセージで、公式には存在しないことが後に判明している。
このように、アントアンヌ号には真偽不明の噂が多数あり、ファンの想像力を刺激し続けている。
まとめ – 船の旅は一度きりの思い出
アントアンヌ号は初代ポケモンシリーズの中でも特に印象に残るイベントである。
豪華客船という非日常的な舞台で、ライバル戦や多数のトレーナーとのバトル、貴重なアイテムの入手など盛りだくさんの内容がある。
船長からもらうひでんマシン01(いあいぎり)は物語を進めるうえで欠かせないため、攻略上も非常に重要。【出航すると二度と戻れない】という緊張感もあり、寄港中に船内をすべて探索する楽しみがある。
また、都市伝説や裏ワザ、アニメ版での災難など、ゲーム外でも話題に事欠かない船だった。
ライトユーザーやシリーズ未経験者は、リメイク作品や『ポケモン レッツゴー!ピカチュウ・イーブイ』でもアントアンヌ号を体験できる。初代ならではの雰囲気や当時の噂話を知ることで、より深く楽しめるはず。
ゲームの舞台は一度きりだが、こうした思い出や語り草は色褪せることなく残り続ける。ぜひ再びクチバ港に足を運び、豪華客船の旅を味わってみて欲しい。
出典リスト
- ポケモンWiki「サント・アンヌごう」 – クチバシティの豪華客船で、ふねのチケットで乗船できることや船長が船酔いしていること、出航すると内部に入れないことなどを参照。
- ポケモンWiki「サント・アンヌごう」 – 船内で入手できるアイテムやひでんマシン01を船長からもらえることを参照。
- ポケモンWiki「サント・アンヌごう」 – アニメ版ではロケット団のパーティーが開催され嵐で沈没するエピソードが描かれたことを参照。
- ポケモンWiki「サント・アンヌごう」 – 船長室のゴミ箱の演出やシェフが料理のアイデアを語るなどの小ネタを参照。
- 初代ポケモン最短ストーリー攻略「サント・アンヌ号」 – ひでんマシン01を入手後に船を出ると出航して二度と入れないこと、トレーナー戦でわざと負けると船を残せる裏ワザ、周辺でいあいぎりを習得できるポケモンの情報を参照。
- GIGAZINE「『トラックの下にミュウがいる』という20年前のウワサが現実に」 – 初代ポケモン時代に広まった都市伝説「サントアンヌ号の端にあるトラックの下にミュウが隠れている」という噂についての記述を参照。
- Bulbapedia「S.S. Anne」 – トラックが港に置かれている理由やアクセス方法、初代では何もないこと、ファイアレッド・リーフグリーンで隠しアイテム(フエンせんべい)が見つかること、ピカブイではげんきのかけらが手に入ること、殿堂入りを365回すると船が戻るという噂がデマであること、改造ROMに仕込まれたアンチ・パイレーツメッセージが公式ではないことなどを参照。
- ポケモンWiki「サント・アンヌごう」 – ホウエン地方の「うみのかがくはくぶつかん」にサントアンヌ号の模型があり、館内のBGMがこの船のテーマのアレンジになっていることを参照。
- Wikipedia「List of Pokémon theme songs」 – サントアンヌ号のBGMが増田順一作曲で約1分12秒の長さであることを確認。
